負け逃げ
こざわたまこ

「けもの道」
高校の教師をしている妙子
妙子の食事を拒否し、目の前でコンビニのおにぎりを食べる娘のリカ
夫はチンケな浮気をしているけど、妙子も同僚と浮気していた
三話目の「蠅」で、秀雄と不倫していた妙子の話
うわあああああ!!
田舎の閉塞感ばかり目についていたけど
夫婦も、家族も、
深くて暗いほら穴のように
閉塞的だよなぁ!



というお話。
夫婦も家族も、歴史が長ければ長いほど
「絆」も深まるかもしれんが
綺麗事抜きで、「傷」も増えるのかもね
その「傷」をどうやって癒したり、気にしないようにして生活するかが大事だけど
家族も夫婦も、距離が近いだけに
どうしてもちょっとしたことで「傷」に触れてしまう
瘡蓋を剥がしてると傷の治りが悪いように
家族や夫婦の真ん中に、
いつも拗れた傷口が居座って
膿がたまるばかり。
物語の中盤、拗れに拗れた夫婦が意味不明なタイミングでセックスしはじめて
そのムチャクチャ加減が滑稽なほどだったのだが
ほら穴の奥で、傷口にたまる膿をなんとかしようともがく二人からしたら
しごく真剣だし、ほかに手段がなかったのだろう
ただ、
ここまで「村」や「田舎」に飲み込まれる人ばかりだったこの小説だが
このお話のラストを読んで、
「彼ら」はもしかしたらここから逃げおおせるかもしれないと少し希望が持てた
破滅が待っているかもしれないけど…



破滅かもしれないし、僥倖かもしれないし。