最近の東京はポカポカ陽気で桜が咲いているのを見かけました。ああもうすぐ春なんだなぁ。

というときに夫の泰三くんが救急車で運ばれました。
ことのあらましはこうです。

だいぶ遅めの夕食をとったあと仕事のためしばらく机に向かっていましたが、胃がキリキリと痛むらしく早めに寝室へやって来ました。

冷や汗べっとりで何度も着替え、けれども救急車に来てもらおうか?との提案は、大丈夫だからと断ります。

お風呂に入って体を温めれば治るかもしれないと思いついたらしく、なんとか自力で湯船にお湯をためて入りました。

お風呂場からは音がせず、のんびり入ってるってことは大丈夫なのかと思いきや。ぜーんぜん良くならない、と言いながら戻ってきます。

この時点で朝の4時。泰三くんは何度も吐いて、トイレと寝室を行ったり来たり。わたしも寝るのを諦めて洗濯物を畳んだりしながら様子をみます。

買い置きの胃薬を出してきて飲んでたけれどそれでも一向に上向かず、わたしが行ってくると言っても聞かず薬を求めてコンビニへと出かけました。

戻ってきてベッドに横になり、どんどん増す痛みにまったく眠れず寝がえりばかりうっています。

外も明るくなり始めた7時ごろ、もうご近所にも迷惑じゃないだろうと洗濯機のスイッチを入れようとしたら「救急車よんで」と寝室から這いでてきました。

分かった、とシュレッダーにかける紙置き場から住所の書かれた紙を取り出し119へ電話する。「火事ですか、救急ですか」との問いかけに「救急です」と答える。「住所を教えてください」と言われ、落ち着いて住所を答える。シュレッダーかけそこないの紙がとても役立った。こういうときって自分の住所なのに咄嗟に出ないことがあるよね。

病状を説明して電話を切る。

そこから怒涛の身支度が始まり、わたしのお財布、泰三くんの保険証が入ったお財布、わたしのスマホ、泰三くんのスマホ、このまま入院とかなったら困るからとりあえずスマホの充電器、マスク二人ぶんを用意。

泰三くんは自力で交通事故にあったときのレントゲン写真を出してきてた。人工血管が関係してたら怖いもんね。

そこでわたしの電話が鳴った。救急隊員からでした。

本人が大動脈解離で人工血管になったことを伝えてほしそうで、病状をもうすこし詳しく説明する。玄関先までは連れていくからそこから先をお願いすることになった。マンションのエレベーターには担架が入らないから、支えて運んでくれるそう。

お部屋の電気やエアコンの電源が切れてるのを確認してマンションの外をみると救急車がやってくるのが見えた。

泰三くんが玄関まで這うようにやってきて外に出る。待てないのだ。一刻も早く楽になりたいんだろうな。


ぜんぜん関係ないけどホノルルマラソンの時だってゴール付近はわたしをぶっちぎってこれまでで最もスピードあげて走ってったからね。あとで本人に聞いたら辛すぎて1秒でも早くゴールしたい一心だったって言ってた。へー、わたしを置き去りにしてまでね、へー。


なのでさっきまで起き上がれなかったくせに渾身のチカラで玄関まで来たんだね。でも靴をはく余力はなかったからサンダルはいてる。

そのままエレベーターのところまでよろよろ行ったら、ちょうどエレベーターの扉が開いて救急隊員さん3名と鉢合わせ。すぐに降りて救急車に飛び乗り(実際はスローです)後部に寝かせてもらう。

そしてわたしに火の元と戸締りは大丈夫か確認された。本当に大丈夫だったから「大丈夫です」と答えた。しかしこういうときに慌ててる人って大丈夫かどうかも分からないけど同じように「大丈夫です」って言うんだろうなと思う。


救急隊員さんに行きつけの病院をたずねられたりレントゲン写真を見せたり、受け入れてくれる病院にかけあってくださる。近くて希望した病院はダメでした。次の候補の病院は泰三くんが前に行って対応が不服だったらしく、苦しみながらもそこは嫌だと意思表示。でもその病院の素晴らしさを聞かせてもらい、結局そこに運ばれた。(結果とてもよかった)


泰三くんはすぐに処置室へ運ばれ、わたしはロビーでひたすら待つ。まだ外来の受付は始まってないのに数人がロビーにいて受付開始を待っている。

そういえば泰三くんがらみで病院のロビーで待たされるのは前にもあったな。


これだこれ。
泰三くんが交通事故で意識不明と聞いて台湾から長崎にかけつけたはいいけどどこの病院にいるのか分かんなかったからしらみつぶしに探し回ったときだ。
このときも病院のロビーではスマホも使えないし、ただひたすら待つことしかできなかったな、と思い出す。


 そのあたりのことはこちらに詳しく載っています。

パラレルワールドで待ち合わせ




泰三くんはいま苦しんでるんだろうか。

そんなこと思ったらいてもたってもいられなくなって龍使い優花さんに連絡した。科学で解明できることは病院のかたがやってくださってるんだから、科学で解明できないほうのサポートをしてもらわなくちゃ。「泰三くんが救急搬送されましたので、お力添えをお願いします!」と、われながら図々しいお願いだ。

あとで聞いたらありとあらゆることをしてくださったそうです。ありがとうございます。


そうこうしているとお医者さんがやってきて
「いま痛み止めと水分の点滴をしています。検査はすべて終えました。ここが原因かなという部分はあるんですけど、血液検査の結果が出てからお話しますね」と。どうしよう。大丈夫だったらとっとと話してくれそうな気もするんだけど、もしかしたらすごく悪いんじゃないかしら。

30分ほどして処置室へ呼ばれる。


異常は見つかりませんでした。


え?


でもこんど痛みがでたら入院です


だって。


花柄にくるまれて説明を聞くおじさん。ときおり寝るのが難点。


このあと会計を待つのも辛そうで、先に帰っていいよと病院の外まで連れてってタクシーをつかまえようとしたら、「うちはどっちだっけ?」とか言い出すの。この病院ね、家から歩いて5分かからないくらいの距離なの。毎日のように前を通ってるのに分かんなくなってる。

信号ふたつ先がマンションだよと教えると、歩いて帰ると言い張るから見送った。


そして会計を済ませて帰宅するとクークー寝てる。痛みがやわらいで眠れるようになったみたいでよかった。

そのあとわたしは急いでお出かけして予定を済ませ、息をしてるかいったん確認しに帰宅し、再び外出。夕方もどったらすっかり元気な顔になっていてお腹がすいたと騒いでいた。


ものすごく雑に雑炊を作って食べさせる。
もちろん大きいお椀がわたし。


そのあと15時間寝た。わたしが。


そして今日はバレンタインデー。半分こしようと言ったけど一人で食べるって言うから胃薬を添えて。

痛くなったら入院しようね。



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