…を、観てきました。
『引越し大名』と『きおくにございません』と、どれを観るか迷いましたが、この二作は、レンタルになって家で観ているときに、子供が来ても大丈夫だろうと。
人間失格』は、子供どころか、旦那とですら、一緒に観ることができないのではないかと(^_^;)
で、感想は。

私は太宰作品は、中学のとき学校で勉強した『走れメロス』ぐらいしか読んだことがないので、滅多なこと言うと、太宰ファンに怒られちゃうかもしれないのですが、あくまで、この映画の感想。

この人は、三人の女性につくされて、つくされて、ある意味それを粗末にしてしまう人。
作品のために。

こんなにひどい男なのに、三人とも彼の作品に心酔してるから、余計、哀れで。

(ここからはネタバレです)

宮沢りえさん
太宰の妻。
夫に尽くして、彼の不倫にも耐え、最後には彼に名作を書かせるため、非情ともいえる叱咤激励をする。

とにかく綺麗でした。
しかし、自分がいない間に太宰が愛人を家に入れ、掃除をさせてたのを知ったときの涙は哀しかった
たとえ、自分が招いたことだとしても。
そして最後のシーンの、『やっと晴れたので』の台詞は、凄みを感じました。

沢尻エリカさん
太宰の愛人
『斜陽』のモデルになった人(実物の方は、沢尻さんより、二階堂ふみさんに似てる気がする)

彼女も哀しいけれど、才能もあって、没落したとはいえ、家柄もあって、自分を心配してくれる弟もいて、太宰との子供もいて。
果てには、太宰の本に自分の名前まで入れることができて。

一番安定してて『勝ち組』だと思います。
彼女は強かさがあったから、太宰の陰の方面には引きずられることなく、生き抜けたのかな?
一人だけ、明るい光のなかにいるような気がする。

沢尻さん、ヌードがあるのですが、後ろ向きの背中の線、括れた腰がすごく美しい〜❤

二階堂ふみさん

太宰の愛人。最期の女
この人は、真面目さゆえに壊れてしまった人。
あの、背徳的な色気たっぷりの、小栗太宰に
『大丈夫。君は僕が好きだよ…』なんて言われたら、真面目ぶんだけ、引き込まれるのも早かろうと。
蟹を買うシーン。
編集さん(一番の常識人)と怒鳴り合うシーン。
太宰の家に上がり込み、流しに残った茶碗やら、窓のへり?に溜まった埃やらを見るシーン。
何より、心中の直前、躊躇する恋人に、『今、死なないと、あなたと一緒にいられない』と美しく微笑みながら言うシーン。

怖かった…。

太宰との間に子供が出来れば、またなにか違ったのかな…。

彼女は一緒に死ねて満足だっただろうけど…。

そして、小栗旬くんなのですが。
とてもとても素敵で色っぽくて『屑』な太宰。

そりゃ、女が放っておかないかも。
とっっっっっっっても『かまってちゃん』な癖に(『あ、虫がいる!なんだこの虫は!』の、シーンとかね。)何一つ、責任を取らない人。
全部を文学の才能に捧げてしまった人。
人として大切な何かが壊れている人。
特に最後のシーンの『とうとう、年貢の納め時かあ…』、みたいな顔が印象的でした。

そして、映像美!!
さすが、蜷川さんの作品だけあって、一面に咲き乱れる『花!花!花!』
伊豆の邸宅の美しい調度品。
女優さんたちの衣装の美しさ。
倒れた太宰の上に降り積もる花…。
晴れやかでもあり、幻想的でもあり、毒々しくもあり。
美しかったです。

私は好きな作品です。
でも、やはり、夫や恋人、息子はもちろん娘とも一緒には観ることができない作品かなぁ(^_^;)