先日、神田の古書店に注文していた本が届いた。
待ちわびた一冊。

よはい草表紙

よはい草 
小林富次郎 編輯 全六巻
株式会社 思文閣
昭和三年七月二十日初版発行
昭和四十六年九月一日再版発行

「よはひ草」は昭和2年ライオン歯磨本舗が「歯展」を東京,大阪,名古屋などで開いた時の資料をもととして編集され,昭和3年~6年までの3年間に計6冊が刊行された.本書は歯に関する古医書の考証から文献の出典や記録又,伝説,迷信から揚枝,歯磨,意匠,染黒歯など,歯学史上のみならず文学,風俗学,人類学など歯に関する極めて重要な文献資料の大集成である.

鈴木 勝ほか:「よはひ草」を読んで,その内容の検討、日本歯科医史学会会誌 1(1)、51-54、1973.抄録より抜粋 




よはい草重箱よはい草6冊

今、歯にまつわる史実、史話に知的欲求が高まる自分にとって、まるで馳走をつめこんだ重箱のような佇まい。
小冊子6冊により構成された中身は、今では入手が困難な古く、貴重な資料、文献で溢れている。

ライオン歯磨き

上の画像は巻末の奥付。
発行人(編集者)である小林富次郎は現ライオン株式会社の創業者であり、発行所となっている株式会社小林商店は同社設立年(1918年)の社名である。

パラパラとページを捲ると、当然のことながら文語体筆記。難解な文章多数ながら、何とか解読できるものもある。

下は以前このブログでも触れた歯ブラシの原点とも呼べる”楊枝(ようじ)”に関する資料。楊枝に用いる材料、至適長さ、削り方等が記されている。

ようじ



ふと目にとまったのが、”歯痛の呪い(まじない)”に関する資料図。

足裏まじない

足裏2


足に顔!?

第1輯 「歯に関する俗信一覧表」にこの詳細が記されており、
どうも和歌山県の歯痛止めの呪い(まじない)らしい。
”歯痛の時に患者の右足の型を白紙にとり、これに目鼻を書き入れる。この紙を柱に打つ付けておくと痛みが止まるという。また、口の中に歯を書き入れ、痛む歯の場所に釘を打ち付ける事もある。”とある。

おそらく、この呪いにも歯痛止めの基となった事象があるに違いない。
歯痛に効く足のツボだろうか?あるいは痛みへの憎しみ表現だろうか?
想像をめぐらすだけで楽しくなってくる。