にのさかクリニック公式ブログ

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福岡市早良区で外来診療と在宅医療(訪問診療・往診)を行っているクリニックです

にのさかクリニック公式ブログ、略して「にのログ」

院長二ノ坂 建史です。

 

1月29日(水)

日頃患者さんの行き来でお世話になっている、

白十字病院(福岡市西区)で講演の機会を頂き、お話ししてきました。

 

昨年末にご挨拶に伺った際、地域連携室のスタッフの方たちと、

「家に帰りたい患者さん、帰れるはずの患者さんを、なかなか帰してあげられない・・・

どうしたらいいんですかね?」

という話題になったのが事の発端でした。

 

こんな悩みに対する僕の答えは明確です。

病院の先生やスタッフさんたちに、

在宅医療のことを正しく知ってもらうこと!

これに尽きます。

 

調子に乗って、「それだったら、僕、いい話できますよ」 と言っていたら、

早々にこんな機会を用意してくださいました。感謝。

 

 

 

↓患者さんやご家族に、こんな風に言ってませんか?

基本的にどんな状態でも家に帰れるし、

家でも点滴はできるし、

あるいは、点滴を減らしたり止めたりしたら食べられることだってあるし、

在宅医が家で診ることもできるし、

訪問看護師が家で看ることもできるし、

他にもヘルパーや福祉用具など、色々な社会資源があるし、

「在宅医療=看取り」 じゃなくて早くから介入できるし、

“治す治療” ができなくても、症状を和らげるために、

できるだけ良い状態で過ごすために、在宅でできることはたくさんあります!

 

 

↑「●●がまだできていないので・・・」

ということで、かえって在宅への移行が遅れることを時々経験します。

良かれと思ってのことだとは思いますが、たいていのことはこちら(在宅側)でできます。

在宅移行を検討する患者さんの場合、残された時間が短いことも多いです。

早めにご相談ください。

 

↑当院で学んだ研修医たちのことばも借りました。

まさにこれが、僕たちが知ってほしいことです。

当院で1ヶ月学んだ彼らは皆、「在宅医療を正しく知る病院医療者」 に成長します。

 

そして、患者さんが病院から家に帰ったら終わり、ではなく、

その後も、患者さんとご家族を支えるチームの一員として、

必要な時は連携をお願いします!

ONE TEAM!!

 

質疑応答では、多くの方から質問・コメントを頂きました。

特に、同院の研修医からの 「感銘を受けました」 というご感想は嬉しかったです。

こうして、「在宅医療を正しく知る病院医療者」 が1人でも増えることを願います。

 

一方で、

「にのさかクリニックだからこれだけできるけど、どこでもこんなにやっているわけじゃない。

在宅医療の質の標準化を望みます」

というベテラン医師からのコメントもありました。

 

ご指摘の通りですね。

自惚れではなく、在宅医療界を引っ張る立場にいる者として、

しっかりと受け止めなければなりません。

在宅医療界全体のレベルアップのために尽力しなければと、認識を強くしました。

これからも頑張ります。

 

 

というわけで、家で過ごしたいという患者さんについては、

“色々と整えてから” でなくても構いませんので、

できるだけ早くにのさかクリニックにご相談ください。

 

また、このような講演のご依頼もお受けしております。

ご相談ください。

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院長二ノ坂 建史です。

 

新年あけましておめでとうございます。

今年も“スーパーチーム”の皆で力を合わせて

「患者さんとそのご家族のため」 という目標のために進化を続けたいと思います。

 

 

医療に従事している人のおそらくほとんどが、

「世のため、人のため」 という強い思いからこの仕事を志し、

試験や実習などの高いハードルを越えてきました。

そして医療の世界に飛び込んでからも、

「患者さんのため」 という使命感を持って臨みます。

決して簡単な仕事ではありません。

どうしても避けられない悲運に無力さを感じることも少なくありません。

しかし、患者さんやそのご家族の幸福に貢献する喜びは、それを上回る「やりがい」です。

 

一方で、「働き方改革」 の時代でもあります。

「患者さんのため」 という大義の陰に存在していた少なからずの自己犠牲が、

医療者の心身を徐々に蝕むということも認識されてきました。

かく言う私も、昨年、一昨年と、働き過ぎから心身の危機を経験し、

自身の働き方や、家族との関わり方を見つめ直す契機となりました。

使命感ややりがいだけでは乗り越えられない、初めての壁でした。

自己犠牲ありきではなく、医療者の 「ワークライフバランス」 が守られないと、

「サステナブル(持続可能)」 にはなり得ません。

 

しかし、それでも。

ワークライフバランスの尊重だけでは成り立たないことも、どうしてもあります。

そんな時は、「根性」で踏ん張るしかありません。

頑張りすぎないことを念頭に置きながらも、

頑張りどころは逃さず、根性全開で尽力する覚悟です。

 

高い志を持ち、やりがいを感じながら、

十分な対価と休息も頂きながら、

ワークライフバランスを保ち、

時には人一倍の根性を出して、

「患者さんとそのご家族の幸福と、職員とその家族の幸福」

という使命を永く果たし続けられるよう努めます。

 

2025年もにのさかクリニックをよろしくお願いします。



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院長二ノ坂 建史です。

 

昨年に続き、小学6年生への 「がん教育」 の授業をしてきました。

 

「よろしくお願いします!」 

の挨拶から、超元気!

 

内容は昨年とほぼ同じですが、難しい話はできるだけ省いて、

とにかく子どもの心に響くところを強調しました。

 

前半は、

がんってこういう病気だよ、

とっても身近な病気だよ、

こんな風に発生するんだよ、

できるだけがんにならないようにこんなことに気を付けようね、

でも、どんなに心がけていてもがんになってしまうこともあるよ、

などなど、がんについての一般的な事項について話しました。

 

一方的に話すのではなく、

「知ってる?」 とか、「どう思う?」 などと、

子どもたちに投げかける形を意識しました。

 

そして後半。

にのさかクリニックで関わった患者さんのリアルな話を交えながら、

僕たちが日頃どんな風に関わっているかを話しました。

昨年同様、ここからは子どもたちの目が変わります。

明らかに集中力が増します。

子どもは正直で、純粋です。

 

終末期ながらも具合が良いから、

息子さんが買って来てくれたジュースで乾杯した話や、

クリニックの裏庭の桜の木の下で患者さんと娘さんと一緒に写真を撮った話や、

研修医がバイオリンを弾き、患者さんがとても喜んでくれた話や、

野球好きの患者さんを元気づけるために、

僕が野球のユニフォームを来て訪問した話、などなど・・・

 

僕自身も、亡くなった患者さんの話をする時には、

やはり胸にぐっと来るものがあります。

 

リアルタイムで診療している時には、

医療者としての立ち位置を無意識に確保しているものですが、

こういう時には、シンプルな 「ただの人」 の心に近くなりますね。

 

 

感想を言ってくれたり、質問もたくさんしてくれたりして、

とても盛り上がりました。

 

大切な人に 「がん」 ができたら、あなたは何ができますか?

この問いへの答えが、これから少しでも増えたら良いなと思います。

 

「大切な人にがんができたら、にのさかクリニックに行くように勧める」

と言ってくれた子もいました(笑)

 

一生懸命聴いて、感じてくれた子どもたち、ありがとう!

僕も元気をもらいました!

小学校の先生方も、ありがとうございました。

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院長二ノ坂 建史です。

 

色々な職種・お立場の方から、“ご挨拶” として来院頂くことがあります。

いわゆる “営業” というやつです。

 

多くは、製薬会社さんや医療機器メーカーさん、その卸業の方、

他には、新たに開設した訪問看護ステーションさん、などなど。

 

事前にアポイントの依頼があった時には、

午前の診療が終わる13時にお願いしています。

(診療が押した場合にはお待たせしてしまうことがありますが・・・ご容赦ください)

 

たまに、このブログを見てくれている人もいて、

よく運動なさっていて凄いですね、とか、

腸活、いいですね!とか、

痙攣を起こしたそうですが、その後は大丈夫ですか、とか言って頂くことがあり、

ひっそりと喜んでおります(笑)

 

まぁそれはいいとして。

あちらもお仕事ですし、こちらにとって有用な内容であることもあるので、

基本的にきちんと対応するように努めています。

 

が・・・

アポなしの来院には閉口してしまいます。

他の業界ではどういうものか知りませんが、

患者さんの診療が仕事である僕としては、アポなし訪問は “ナシ” です。

 

例えば、診療を終えて帰院した18時頃に、

「院長先生とお話しできますか」 と言って来院した製薬会社さんとか・・・

 

仕事を終えて疲れて、よーし帰ろう!

と思っている時に、勘弁してください。

普通、いやでしょ?

 

あるいは、外来診療時間中(9~13時)に、

“新規立ち上げのご挨拶”として来院した訪問看護ステーションさんとか・・・

 

外来患者さんは、受付をして、診察を待って、お金も払っているんです。

その患者さんよりも優先する “ご挨拶” はありません。

 

一応、会わずにお帰り頂くということは基本的にはしませんが(待たせますけどね)、

上記のことは臆することなく伝えます。

 

というわけで、面会をご希望の方は、事前にお電話の上、

アポイントを取って頂くようお願いします。

 

 

さて、最近僕も他の医療機関へ “ご挨拶” に伺うことがあります。

(もちろん、事前にアポイントを取ってから伺います)

こちらがお願いした患者さんがお世話になっていることのお礼や、

当院もまたお役に立てることがあれば是非ご紹介ください、

というお願いのためです。

 

そういった診療連携の際に、お手紙やお電話でのやりとりはよくあるのですが、

直接顔を合わせてお話しすることで初めて感じられるものも多々あります。

 

ある患者さんがよく行き来している病院に初めて伺った時には、

病院の雰囲気が良いのがすぐに分かりました。

“一枚岩” というか。

トップの人たちのポリシー、理念のようなものが、

しっかりと職員さん全体に浸透して、

そういう風土が作られているのでしょう。

お願いしている患者さんがとても良くしてもらっていることが分かり、

嬉しく思いました。

 

その点、当院は大丈夫だろうか・・・?

大丈夫、と思いますが、この機会に今一度足元を見つめ直し、

信念を強く持って、精進したいと思います。

 

外来でも在宅でも、お困りの方がいましたら、当院にご相談ください。

(ホームページのお問い合わせフォームからご連絡ください)

他の医療機関様からのご紹介もお引き受けします。

 

(早朝、自転車で上ったある公園からの景色です)

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院長二ノ坂 建史です。

 

だいぶ前(今年春頃)のことなのですが、

嬉しい報告を、今年のうちに。

 

なんと!

僕の書いた論文が、『在宅救急医学会誌』 に掲載されました。

オンラインでも公開されています。

 

「PDFをダウンロード」 から全文を閲覧できます。

 

Trousseau症候群 (トルソー、またはトルーソーと読みます) とは、

端的に言うと、癌がある人に発生する脳梗塞のことです。

これを発症した時には、原疾患である癌自体も予後不良であることも多く、

新たな脳梗塞に対するアプローチには悩むところです。

 

それぞれの患者さんから学んだことや、

病院との連携の上で無念な思いをしたことも、

これは絶対形として残さなければ!と強く思い、論文作成に取り組みました。

 

内容についてはここでは言及しませんが、

とにかく伝えたいのは、

癌だから、末期だからと言って、

「もうできることはない」 と安易に判断するのではなく、

「病気そのものは治せなくても、

患者さんの状態やQOLが少しでも良くなるためにできることはないか?」

という意識で診ることが重要だ!

そのために、必要な時には在宅と病院で適切に連携しよう!

それがBSC(ベストサポーティブケア)だ!

真の意味を知らずに、安易にビーエスシービーエスシーって言ってんじゃねぇ!

っていうことです。

(すみません、後半声を荒げてしまいました)
 

 

GoogleやYahoo!で、「在宅医療 トルーソー」 などのワードで検索すると、

この論文が一番上にヒットします。

 

(↓スクリーンショットです)

 

つまり、誰かが同じような症例や状況で悩みを持った時に、

この論文が役に立つ可能性があるということです。

これがとても嬉しいです。

 

雑誌などに依頼を頂いて執筆したことは何度かありますが、

学術論文は、医師17年目にして初めてです。

頑張ってよかった!

 

多くの人に読んで頂き、役立てて頂けたら嬉しいです。

よろしくお願いします。

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院長二ノ坂 建史です。

 

にのさかクリニック忘年会を開催しました。

コロナ禍を経て、実に5年ぶりです。

 

いやぁ~楽しかった。

 

けっこう直前に開催決定したので、

特に手の込んだ企画は何もなかったのですが、

こんな感じで“式次第”を用意しました。

 

 

 

画用紙にサインペンで、直前に作りました。

 

“新人さん挨拶”、5年分です。


2020年夏に入職した先生は、その当時に戻った感じで、

新人さんらしく平身低頭に挨拶してくれました。

 

新人さん挨拶、5年分・・・何人いたっけな?(笑)

 

そして、こんなシーンも・・・

M君、ありがとう・・・

 

盛況のため時間がだいぶ押しましたが、“中締め” は二ノ坂理事長(前院長)から。

 

そして、“本締め” を僕から。

2024年、皆ありがとう!

2025年も皆でがんばろう!

 

今年は本当に良い一年でした。

周りの皆に感謝ばかりです。

 

このようなボードがあると、写真映えが良いんです。

モザイクがもったいないけど、最後の集合写真!

 

帰り際に一部のスタッフがこれを持って。

 

翌日、クリニック内にこれが貼られていました(笑)

 

というわけで、もう一度、

2024年、皆ありがとう!

2025年も皆でがんばろう!

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院長二ノ坂 建史です。

 

これまた、話題のタイミングを逃してしまったのですが、

熱中症の話です。

 

と言っても、熱中症に気を付けましょう、ということではなく、

僕が熱中症で痙攣を起こした話です。

 

 

今年5月の、ある日曜日のことでした。

日中は家族でちょっと遠出をし、普通の休日を楽しみました。

程よい疲れで午後に帰宅し、一息ついてからの夕方、

僕はある用のために1人で自転車で再度家を出ました。

 

あーこの施設はあの患者さんが入ってるところだよなぁ、

などと思いながら自転車で目的地へ向かっていたところ、

何とも言えない気分不良を自覚しました。

どうもおかしかったので、自転車を降り、自転車を押して歩くことにしました。

 

 

ここまで記憶があります。

 

 

次に憶えているのは、救急車の中でした。

 

 

救急隊の方曰く、倒れて痙攣を起こしていたため、

通行人の方が救急車を呼んでくれたということでした。

僕に確認を取って、僕の携帯電話から妻に連絡をしてくれました。

 

 

この後、また記憶がありません。

 

 

気付いたのは、ある近隣の病院の救急外来で、

諸々の検査を終えた後でした。

ストレッチャーの上で、点滴が繋がれていました。

いつから居たのか分かりませんが、家族が来てくれていました。

 

 

ぼんやりと意識は戻ってきたようでしたが、なんとなくすっきりしません。

ERで診療する立場の時にはよく見ていた、“痙攣の後” という感じです。

また、痙攣が疑われる時には口の中を噛んだ傷がないかを見るのですが、

この時の僕はまさに舌と口腔粘膜に傷がありました。

本当に痙攣を起こしたんだな・・・

 

この日検査してもらった頭部CT、MRIでは異常なし。

後日、脳波検査の予約を取ってもらい、帰宅しました。

 

仕事は、翌日から2日休ませてもらうことになりました。

とりあえず、しっかり休みました。

 

数日後、脳波検査をしてもらい、さらに数日後、結果を聞きに外来受診・・・

結果、「異常なし」

 

ほ~っ・・・

 

 

痙攣を引き起こす特定の病気がないということなので、

状況から 「原因として熱中症が疑われる」 ということになると思います。

 

「5月に!?」 と思われるかもしれませんが、

急に気温が上昇し始めるこの時期も、

まだ体が熱さに順応できていないため、

熱中症のリスクはそれなりにあるようです。

確かに、「最近一気に暑くなった」 という実感はありましたし、

車移動とはいえ、それなりに外で過ごした一日でもありました。

 

そして何より、日頃の心身の疲れも溜まっていたのでしょう。

痙攣の素因を持たない、生来健康な人が痙攣を起こすなんて、

よっぽどのことですからね・・・

やっぱり、働き過ぎは良くない、ということです。

特に昨年から意識していたことですが、さらに強く認識しました。


 

以降、後遺症のようなものはなく、体調は良好です。

この時よりもさらに暑かった真夏も元気に乗り切りました。

もちろん痙攣は起こしていません。

 

しばらく静養してからは、ほぼ日課である朝の運動もまた続けています。

最近の “モニチャリ” (早朝サイクリング) での一枚です。

 

 

もう一度言います。

働き過ぎは良くない。

 

自分を大事に。

家族を大事に。

それができて初めて、他の人を大事にできる。

 

それを痛感させられる経験でした。

 

「健康管理」 には、自身の働き方も含まれます。

「働き過ぎ」 を美徳にしていてはいけません。

どの仕事にも当てはまることだと思います。

これまで以上に 「適切な働き方」 に留意し、健康に努めたいと思います。

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院長二ノ坂 建史です。

 

今日は、「在宅ホスピスボランティア養成講座」 の講師を務めました。

福岡県主催の講座です。

僕の担当は「症状緩和と薬の理解」 というテーマのひとコマでした。

 

薬については、医療用麻薬のことを中心に。

医療用麻薬については、とにかく正しく理解すること。

すなわち、誤解や偏見を解くことから始めました。

“命を縮める”、“意識がおかしくなる”、“中毒性・依存性がある”

などといったことがもっともらしく言われることがありますが、

医師が症状に合わせて適切に使用する限りにおいては、

そのようなことはありません。

 

そして、「痛みを我慢しなくて良い状態」 を目標にすること。

(往々にして患者さんは我慢しがちですから・・・)

後半は、在宅医療について、僕の経験から思うところを話しました。

 

在宅医療って、「在宅で看取ること」 にフォーカスされがちだけど、

看取りの場所がどこか、ということよりも、

自分の望む場所で、良い時間を過ごせるかどうか、じゃないかな、

ということを、いくつかの例を示して伝えました。

 

それと、「病院か在宅か」の二元論ではなく、

「病院 ⇔ 在宅」の双方向の連携が重要ですよね、という話もしました。

いつもここで言っていることですね。

 

ボランティアの人たちも、患者さん・ご家族を支えるチームの重要な1人です。

 

聴いてくれたボランティア志望の皆さん、ありがとうございました。

今日の学びが、明日の患者さん・ご家族の支えにつながれば幸いです。

 

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院長二ノ坂 建史です。

 

「この一年」 と言える時期をだいぶ過ぎてしまったのですが・・・

 

昨年の9月1日から、オンコール代行サービスとの提携を開始しました。

当院にとって大きな変化でした。

それから一年(+2ヶ月ちょっと)が過ぎました。

 

ちょっと振り返ってみます。

これまでにここでお話ししてきたことと重複する部分もあるかもしれません。

 

僕が非常勤(週1回勤務)から常勤になったのが2017年。

以降、オンコール可能な医師は最大で5人という時期がありました。

今思えば、とても有難いことでした。

 

しかし、そんな恵まれた時期は長くは続きませんでした。

1人減り、2人減り、1人増えて、また減って、ということが続き・・・

2023年の夏には、オンコール可能な医師が (ほぼ) 僕1人という状況になりました。

 

※「ほぼ」 としているのは、

当時の非常勤医師が週2回程度引き受けてくれていたからです。

これだけでも本当に有難かった・・・

(M先生、あの時はありがとうございました)

 

オンコール要員が2人から僕1人になることは

少し前から分かってはいたものの、

いざそれが目の当たりになると、

気が遠くなるような絶望感を自覚しました。

 

 

人が壊れるってこういうことか・・・

 

 

(運転しながら) あ、なんか事故るかも・・・

 

 

「うつ病の人に激励は禁忌」 って、こういうことか・・・

 

 

焦ったり、慌てたり、動揺したり、恐怖を感じたりするわけではなく、

落ち着いているんだけど、すーっとこういう思考が頭に浮かんでくるような、

もう一人の自分が今の自分を傍観しているような、

初めての感覚でした。

 

今思うと、人の心が壊れるって、こういうことなのだろうと思います。

過労で体を壊す、心を病む、最終的に自ら命を絶つという、

それまでニュースでしか見たことのない、他人事だったことが、

一気にリアリティを持つようになりました。

 

家族に向けて「遺書」を書いておいた方が良いかな、とさえ思いました。

 

 

2023年8月半ばのことでした。

 

 

その少し前に、オンコール代行サービスの会社と一度だけコンタクトを取ったことがあり、

その時は迷いながらも見送っていたのですが、

ここから改めて連絡し、急ピッチで提携の準備を進めました。

 

葛藤はありましたが、もう躊躇はしませんでした。

文字通り、僕が 「生きる」 ための選択肢はこれしかなかったからです。

 

当院の事務スタッフ、提携する会社側も頑張ってくれて、

どうにか9月1日から稼働できるようになりました。

それまでの8月後半は、「今日は倒れなかった」、「今日は倒れなかった」、

そんな綱渡りの毎日でした。

 

 

(記念すべき9月1日の夜景です)

 

 

それ以降、心身の回復には思いのほか時間を要しました。

後頭部~後頚部の嫌な痛みが続いたので、

何かあってはいけないと思い、脳MRIを撮ってもらいましたが、

異常はありませんでした。

やはり、極度の過労だったのだと思います。

 

それから徐々に回復し、今僕は 「生きてます」!!

 

適切な働き方を意識することは、

家族との関わりを見直すきっかけにもなりました。

当時より、今の方が家族を大切にできているんじゃないかな・・・

たぶん・・・笑

 

 

オンコール代行サービスについては、

最初から万事OKというわけではないですが、

それを提供する会社とよくコミュニケーションを取り、

できるだけ質を保てるよう努めています。

 

新時代の地域・在宅医療の発展のために、

今後もその努力を続けて行きます。

 

僕自身が心身充実して、自分を大事に、家族を大事にして、

その上で、アクティブに、パワフルに、質の高い仕事を。

そんな魅力的なライフスタイルを示したいと思います。

 

 

↓こちらの関連記事も、併せてご覧ください。

 

 

 

 

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院長二ノ坂 建史です。

 

この季節は、多くの病院の 「地域連携の会」 三昧です。

日頃診療連携している病院が主催してくださる“懇親会”です。

 

9月から、

九州がんセンター(南区)

白十字病院(西区)

福西会病院(早良区野芥;当院から最寄り)

山王病院(早良区百道)

福岡大学病院(城南区)

浜の町病院(中央区)

と続きました。

 

日頃、患者さんの診療をお願いしたり、

引き受けたりする行き来の中で、

お手紙などでお名前を認識している先生は多くいるのですが、

顔を合わせる機会はなかなか貴重です。

顔の見える関係、大事ですからね。

 

そして昨日は、僕の古巣・福岡徳洲会病院の連携の会に参加させてもらいました。

 

福岡徳洲会病院は春日市なので、

早良区野芥にある当院との診療連携は年に1回あるかどうかくらいなのですが・・・

 

少し前の福岡大学病院主催の連携の会で、

福岡徳洲会病院のお知り合いの方とお会いした時に、

「僕も呼んでくれませんか?」

というなんとも厚かましいお願いをして、ご招待頂いたのです。

 

 

いやはや、マジで図々しい。

 

 

というわけで、僕としては “同窓会” みたいなワクワク気分で乗り込みました。

お世話になった先生方や、事務系の方にもたくさん再会でき、

本当に楽しかったです。

皆さんにお声かけ頂き超嬉しかった!

 

消化器内科時代の上司と一緒に撮ってもらった写真を見ると、

我ながら超ニッコニコで驚きました(笑)

 

僕が在籍した時代の消化器内科は、この教え上手な上司をはじめ、

そのトップを支える人間的にも素晴らしい先輩方、

研修医時代からの同期(内視鏡では先輩)、ユニークな後輩たち、

公私とも仲の良い仲間で、とても恵まれていました。

このTシャツは、当時の仲間でリレーマラソンに出場した時に作ったものです。

 

当時は当たり前に過ごしていたけど、

あんなに素晴らしい環境はなかなかないよなぁ。

本当に幸せなことです。

 

 

さて、会の冒頭で診療科紹介の講演があったのですが、

そのうちの1人の先生の言葉が非常に印象的でした。

 

現代は格差社会が広がっている。

その下層にいる人も、徳州会病院は、分け隔てなく引き受ける。

そういう人に我々が優しくしなかったら、

その人たちはどこからも誰からも優しくされない。

そんな気持ちで患者さんを診療しています。

 

そんな内容の言葉に、はっとさせられました。

“医療の原点” とも言うべき徳洲会マインドを思い出しました。
 

どこかで、高いところからの医療者目線になっていなかったかなぁ・・・?

もう一度、足元を見つめ直さなければと思いました。

 

初期研修医として2年間、

その後3年間は徳州会を離れ、

6年目から消化器内科で2年半、ICUで約1年半、

計6年間お世話になった福岡徳州会病院。

 

僕の原点は、ここだ。