箔を焼く。 | 日本画いろは 川村愛

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福岡在住の日本画家 川村 愛 の【 ことのは帳 】です。
絵のこと。日々のこと。綴ってまいります。

箔を焼く、と言っても火で炙っていぶし銀にするわけじゃありません。

シルバーの指輪や、銀食器などが黒っぽくなってしまったことはありませんか?
それは空気中や温泉の湯・蒸気に含まれる硫黄に反応して銀が変色する現象です。

日本画ではこれをあえて使った技法があります。
有名なところでは、尾形光琳の「紅白梅図屏風」の流水部分はもともと銀箔だったのが長い年月で黒変しています。

同じように、銀や銅を多く含む洋金箔でも焼くことができます。
洋金箔は焼くと茶色くなり柔らかな雰囲気になりますので、今回はこれを利用しようと思います。

まず紙に洋金箔を貼ります。
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ここで硫黄の粉を全面にふりかけて丸一日おけば全部が黒っぽくなりますが、今回は雰囲気作りなので、少量の硫黄を水に溶かして箔に塗ります。

最近、硫黄は簡単に手に入らなくなりました。温泉地には売ってますが、画材店だと問い合わせてからでないと売ってくれません。

次にその上から当て布をして、スチームアイロンを当てます!
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熱を加えるドライアイロンよりもスチームアイロンの方が早く変色しますし、雰囲気もイイ感じになります。
ただし、蒸気を吸い込むと身体に良くないかもしれないので、マスクをしたり換気をしてくださいね(^▽^;)

軽く当てるとこんな感じ↓
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少し茶色くなりました。

画面に塗った時のムラや硫黄の濃さで変化してきます。
更にアイロンを当てるとこんな感じになりました↓
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最後にアルコールで硫黄を洗い、礬水(どうさ)液を塗っておきます。

硫黄をかけて時間をかけすぎると黒くなり過ぎたり、箔自体が弱くなってしまいます。
礬水を塗るのは変色どめと箔の上に絵具を乗せやすくするためです。

ただ描いてるだけじゃなくて、こんなややこしいことをするのも楽しいですо(ж>▽<)y ☆

さて、これを使った作品はまた次回。


【2017年2月追記】
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