銀箔と硫黄の日本画的反応実験。 | 日本画いろは川村愛

日本画いろは川村愛

ご訪問ありがとうございます。

このブログを見に来られる方の中には、
『箔を焼く』で検索してヒットしてこられた方が結構いるようですね。
Yahoo検索では2番めに出てきます
ありがとうございますm(__)m
ちょうど卒論・卒制の時期かな?
お役に立てていますでしょうか?

箔の変化に関しては合わせてこちらもご覧ください♪


箔に関しては独学ですので、もっと効率の良い方法もあるかと思います。
まだまだ研究中です。

私はよく銀箔を硫黄で黒変させて用います。
またピンク色に自然に変化するのを待って使うこともあります。
これは空気の中の硫黄分に反応するためです。
自然に、というのは3カ月くらいかかります。
市販の親和箔を使ってもいいのですが、均一になるのでなんだかおもしろくありません。
箔押ししてドーサをかけず放置して待つと、2カ月はあまり変化がないのですが、徐々に色が変わっていき、3カ月くらいで淡いピンク色になります。変化するところしないところがあって、まさに自然な色合いになるので好きです♡

しかし、この反応は時間がかかるので、どうにか色のコントロールできないかなと試行錯誤してます。

今日は、制作に煮詰まったので実験をしてみました♪

便宜上、『箔を焼く』と言いますが、燃焼ではありません。銀の硫黄による反応、つまり硫化です。
銀箔の硫化による色の変化は、銀→金→茶→赤→紫→青→黒と言われます。
ピンクになるのはこの変化のはじめのほんの一瞬です。この一瞬を捉えるのは本当に難しい。
そこで今回は青を目指します。

黒くするだけなら直接ふりかけたりするんですが、微妙な変化を見たいのと、後始末が楽かなと封筒に入れるのを思いつきました。
{D16F1B14-F306-467B-8F74-EAF4FA05DB09}

技法書や芸大の授業では紙に硫黄を塗りつけて硫黄紙をつくったりするそうですが、その方法は私にはわかりません。
硫黄は水に溶けません。→入試で化学の過去問にあるくらいややこしいことらしいです(^_^;)
融点は115℃です。
鍋に入れて溶かして塗るのかなあ?でもこわいのでちゃんとした方法がわかるまでやめときます。

硫黄を封筒に入れ、当て紙をして、アイロンを約5秒間ずつかけました。
アイロンを当てると硫黄が封筒から浸み出してきますので注意してください。

ではまず、硫黄だけ大さじ2杯を入れた封筒をはさみ、低温でアイロンをかけます。
{7F28141C-2115-4129-9AC7-2B3DE4489D98}
左上①から順番に変化しています。②と④は角度が違いますね(^_^;)
③で微妙な緑色になったので、いけるかなと思いましたが、黒くなっただけでした…。

ここで、調べていくうちに、
『シルバーのアクセサリーをきれいにするのに、硫黄と重曹を入れたら青くなった』という失敗談を発見。
「おいおい、硫黄を入れちゃいかんだろ」と思いつつ、「逆にこれは使えるかも!?」ってことで、重曹を投入。

重曹(炭酸水素ナトリウム NaCO3)を入れると硫化水素の発生が中和され、反応がやや緩やかになるようです。

☆硫黄を加熱して実験を行うのは硫化水素が発生するので危険です!換気をしてマスクをするなど安全には十分注意して行ってください!自己責任でお願いします!もし何かあっても私は責任を負えません‼︎

では、実験再開。

まず硫黄:重曹=1:1。大さじ1杯ずつ。
低温。スチームなし。10秒おきに様子を見ます。
写真はわかりやすく変化をしたところですので、2,30秒の間隔があると思ってください。
{C040399F-46E5-4413-A9A5-0D28D346EB54}
うーん、青は出ましたがなんか微妙。⑥以降あまり変化しませんでした。

今度は中温。硫黄:重曹=1:2。
{8D765DA9-F74E-4C91-8922-BC4BB9D7BEB1}
おおっ!青がきれいに出てきました!
重曹が多い方がいいのかな?
模様にかたよりがあるのはアイロンの当て方だと思います。

次に、中温。硫黄:重曹=2:1。
{67FA02CD-BDC6-4E34-8220-B57379502CE6}
さすが反応が早いです。
青も出ていますが黒くなるのが早く、アイロンの当て方が同じ方向だと、一部分だけ変化が進んでしまいます。

さて次は高温でスチームありです。
硫黄:重曹=1:2。
{04E5972D-D0B2-4346-9DBD-DCD479D03F59}
温度が高いと反応が早いです。青の出方も全体に広がっていて、蒸気によるモワレがなかなか良い感じです♪

最後に、高温スチームあり、硫黄:重曹=2:1。
{16BDA431-1C46-4B40-9245-DDE4CA11390D}
反応が強すぎます。
一部紙から硫黄が溶け出て黒くなってしまいました。
この時が一番匂いも強かったので、硫化水素が発生してたのかも…。一瞬クラっとした気がしたのですぐ換気しました(>_<)
火山の硫黄谷のような窪地でガス中毒になるのはこの硫化水素が原因だそうです…。実験する時は本当に気をつけましょう‼︎

最終結果を並べてみました。
{E5A44C00-FD0C-49C8-86FA-B7AB222C67D5}
左上下は1:1の低温。
中上下は中温。右上下は高温。
上の段は硫黄:重曹=1:2。下の段は硫黄:重曹=2:1。


今日の実験では、硫黄:重曹=1:2の割合の方が色がきれいに変化し、扱いやすかったように思いました。
温度も高いほど反応が早いです。
低温だと待ちきれないしw

市販の親和箔などは、亜硫酸ガスみたいなのを吹きつけてるはずです。
どうやってるのか一度メーカーさんに聞いてみたいです。。。

これ以上変色しないようにするには、ドーサ液(明礬水)を表面に塗っておいてくださいね。

実験後の封筒の中身はこうなっていました。
硫黄だけのものは滲み出てほとんどありません。
{51F629E4-41C4-446C-817E-8A19E50B88E7}

1:1。比較的さらさらしてます。
{0CED02B6-121B-42BA-AEE0-38C8FE039B18}

硫黄:重曹=1:2。ちょっと変色して若干ダマがある感じです。
{25D38E75-3404-4EBE-823C-5F1FAC2901A4}

硫黄:重曹=2:1。
硫黄がとけて固まり、板状になっています。
硫黄は結合が強い物質だそうで、アイロンをかけてる時から『あー、飴になってるー』ってわかるくらいガチガチです。
{5CEBD2E7-A0B3-4964-94F4-9AD3EACE6E7B}

喜々として実験をしてたら子どものごはんの用意するの忘れてました…。やっぱりこういうのは楽しいですね♡

さあ、この結果を作品に活かしてみたいと思います♪( ´▽`)