「デスペラード」
君はまた傷を負い、裂けた肩から血を流してる、
突き立てられたままの鋭利な悪意を抜きもせず、
夥しい命のかけらを落としてる、
人殺しの夜をくぐり抜け、
愛する人の待つ部屋に、
体中から半分以上を流してしまい、
肘で這って帰ってきたんだ、
恋人は君の傷口なめる、
〝鉄みたいな味がする〟
彼女は色が分からない、灰色世界に生きている、
赤と黒の区別がないから、流れた血がオイルに見えた、
〝痛いの？〟
彼女は不思議そうな顔、君は黙って首を振る、
〝少しオイルが流れたんだ、
僕は鉄でできているから痛くなんてないんだよ〟って、
冷たくなりゆく体ごと、彼女にあずけて目を閉じた、
君は傷を負い続ける、
裂けた薄い肌から血を流す、
受けとめる優しさに、
溢れる命のかけらを委ねるだろう、
人殺しの夜をくぐり抜け、
愛する人の待つ場所に、
たどりつけ、傷つけられても、
君を待つ人がいる、
無駄吠えでもいい、
その叫び声は誰かに届く、
歯ぎしりするくらいなら 、
ときにその牙、剥いてやれ、
人殺しの夜を生きのびよう、
この醜くも美しい世界のどこかで
人殺しの昼をくぐり抜けよう、
この儚くもしぶとい世界で、
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