思い出の花 -123ページ目

『スライド』


季節が変わっても
何かが変わった訳でもない

強いて言えば
少し大人に成ったのかな

秋に成り
浮ついた気持ちが落ち着いて

海の波は高く成り
心の波は低く成り
傾く夕日に潤む記憶

夏の光の眩しさが
今をくすませる

季節が変わり
何かが変わった訳でもない

強いて言えば
少し思い出が増えたのかな

『長靴を履いた僕』


とんでもない靴を
履いたものだ

家の中で履くから
とんでもない

市民は郊外に避難し
街はゴーストタウンと化し
僕は部屋で煙草を吹し
休日に暇潰し

黙々と吸う煙草に
大盛りの灰皿
モクモクと煙る部屋に
大の字の廃人

市民は行楽と悲観し
街はトーンダウンで寂し
僕は嫌な想いを寝かし
休日を塗り潰す

僕は退屈と言う靴を
履いてしまった様だ

『焼肉甲子園』


黄金の汗は
泡と消える
思い出の夏

好牛苑の陣
言霊弾ませ
投球しては
受け取って
受け流した

熱く成るな
心“軽火”
緻密な作戦
策“弄す”

日頃の疲れ
何のそのと
度々来れぬ
焼き付けて
味わいたい

黄金の光も
泡に消えて
家臣の者に
想いを託し
洗水に流す

立ち去る侍
後はお愛想
宵は楽しく
懐は寂しく


=補足=
軽火:カルビ
弄す:ロース