釈迦牟尼スーパースター ~仏教のつれづれ~ -191ページ目

世界最古の大乗仏典『ヘレニズムと仏教』

ブログを読んだ方から、
「大乗仏教の起こりを知るのに良い本」として教えて頂いた
『NHKスペシャル 文明の道(2)ヘレニズムと仏教』を読了しました。


なかなか、おもしろかったです。
番組の書籍化なので、いろいろな話に飛ぶのですが、
一番面白かったのは、世紀の大発見「最古の大乗仏典」。


1996年頃に、ガンダーラで、「現存する最古の大乗仏典」らしき
ものが発見されたときの話です。

以下、「 」は本からの引用です。


その数は、小さな断片も含めるとおよそ1万点。白樺の樹皮や椰子の葉、
動物の皮などに記されていた。
この多数の経典が見つかった場所は、ガンダーラの西の端に位置する
アフガニスタンのバーミヤン渓谷。(中略)

(1996年に)タリバン政権から逃れようとした難民が、逃げ込んだ洞窟で、
偶然に仏教の古文書を大量に発見した。」



釈迦むに・スーパースター ~仏教のつれづれ~  バーミヤン渓谷で見つかったカローシュティ文字の仏典


これが仏典の切れ端だとわかったときは、
どれだけ感激・驚愕したしたことでしょう!
この1万点は、ドバイの美術商などの手を経て、
ノルウェーの実業家&蒐集家のスコイエン氏が買い取りました。
さっそくスコイエン氏の山荘に、世界11ケ国の研究者が集結して解読、
さらにPCにスキャンして、小さな断片をパズルのようにつなぎあわせる
気の遠くなる作業が続けれました(たぶん現在も)。


その断片の中に、「世界最古の大乗仏典」と思われるものが発見されます。
ワシントン大学のリチャード・ソロモン教授(カローシュティー文字の
第一人者)が、「紀元2世紀のクシャン朝時代に記録された経典の中から、
『シャット・パーラミター(六波羅蜜)』という言葉を発見した
」のです。


大乗仏教が、いつ・どこで・どうやって誕生したのか、
多くの謎に包まれていました。が、この発見によって、
大乗仏教の教えが、紀元2世紀のガンダーラで、クシャン人のもとに
育まれたことを裏付ける、有力な証拠となった
」。


どうやら、お釈迦さまがインド人に説いた仏教は、
2世紀頃ガンダーラのクシャン人を通して激しく変容し、
「大乗仏教」として世界に広がっていったらしいのです



釈迦むに・スーパースター ~仏教のつれづれ~  クシャン朝の勢力図。


クシャン人とは、謎の遊牧騎馬民族で、
恐怖のヒンズークシ山脈を超えてインドに南下します(紀元1世紀ごろ)。
もとはゾロアスター教を信仰していたようです。


ところが、最盛期のカニシカ王(2世紀)時代の貨幣をみると、
表は王の姿やゾロアスターの神「アブラ・マズダ」で、
裏にはインドのシヴァ神、イランの太陽神ミトラ、ギリシヤの神アネモス
などが、刻まれたものがあるというからビックリ。

複数の宗教の神が適当に同居する貨幣なんて、聞いたことがありません。
要は、当時のクシャン王朝は、インド人・ギリシャ人などもいる
多民族国家だったので、宗教的に寛容な統治をしていた証拠だと。


で、1~2世紀頃に、世俗のクシャン人たちが、
大挙して仏教に改宗したらしいのです

ガンダーラのラニガト遺跡から、「ストゥーバ(仏塔)の異常増殖」
が発見されたのです。カニシカ王時代の150年間に、
ほとんど無秩序に、大量にストゥーパが建てられていたのです。
彼らによって仏教は「大乗」に変容したと思われる、と本書は結論づけます。



釈迦むに・スーパースター ~仏教のつれづれ~  
カニシカ王の像(首なし)。見るからに騎馬民族。


これらの話を読んで、私は、ようやく少し合点がいきました。
今まで、「原始仏教・テラワーダ仏教と、大乗仏教とは、
なぜこんなにも違うのか?」が不思議でした。

でも、大乗仏教が、馬に乗ってやってきた異民族・クシャン人に育まれ、
しかもゾロアスターやらギリシヤの神もなにげに混じっているなら、
そりゃあ原始仏教と激しく違うのは当然かも、と思います。


ネットで探したら、この研究に参加している佛教大学の松田和信教授
の論文(2000年)がアップされていました。
http://www.classics.jp/RCS/NL07/NL07Mats.pdf
それによると、この1万点の小片の中から、
「大般涅槃経」「八千頌般若経」から「勝鬘経」まで、 
2~8世紀の大乗仏典がザクザク発見されているそうです。


「Nスペ」の本が2003年ですから、
その後の研究成果も調べてみようと思います。


ヘレニズムと仏教【第2巻】 (NHKスペシャル文明の道)/前田 耕作
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自殺・貧困・仏教シンポジウム(3月10日)

派遣村村長として一躍有名になった「反貧困ネットワーク」事務局長の湯浅誠さん
湯浅さんの長年にわたる反貧困活動は、著者を読んだりイベントに出てみたりして
それなりに知っていました。


3月10日に、湯浅さんも参加する「貧困と自殺」のシンポジウムがあるのですが、
コーディネーターが中下大樹さんという、真宗大谷派のお坊さんだということで、

ますます興味をそそられています。

中下さんは、サラリーマンを経て僧侶になって、
仏教系のホスピスで終末医療にたずさわり、
「寺ネット・サンガ」という組織を立ち上げた方です。


貧困・自殺・仏教・・・興味あること3連発なので、行ってみようと思っています。

(福島みずほさんには興味ないけど)


私も、生活苦で自殺した親戚がいますし。

以下、ご案内メールのコピペです。



釈迦むに・スーパースター ~仏教のつれづれ~ 釈迦むに・スーパースター ~仏教のつれづれ~

湯浅さん                   中下さん


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反貧困ネットワーク・ NPO法人ライフリンク共催~貧困と自殺を考えるシンポジウム~
「自殺と貧困から見えてくる日本」

【日時】2010年3月10日(水)17:30開場 18:00~20:40頃
【場所】日本教育会館(一ツ橋会館)3階ホール
http://www.jec.or.jp/
(千代田区一ツ橋2-6-2:電話03-3230-2831)
地下鉄都営新宿線・東京メトロ半蔵門線神保町駅(A1出口)下車徒歩3分


【シンポジウム内容】

自死遺族・未遂者からの発言を聞いた後、パネルディスカッションを行います。

【パネリスト】

福島 みずほ 内閣府特命担当大臣(自殺対策)
清水康之   内閣府参与・NPO法人ライフリンク代表
湯浅誠    反貧困ネットワーク事務局長
コーディネーター  中下大樹(僧侶)


【参加費】500円(カンパ歓迎)

【定員】800人

【申し込み】お名前・所属(ある方のみ)・連絡先をご記入の上、メール
(
nakashita@athena.ocn.ne.jp )かFAX(03-5272-2401)でお申し込みください。
(いただいた個人情報は、本シンポジウムの申し込み確認以外では使用しません)

【情報保障】要約筆記と手話通訳がつきます

【当日配布資料】自殺や貧困問題など、困った時の相談先リスト一覧を配布予定

【問い合わせ】反貧困ネットワーク(自殺対策ワーキングチーム)
中下大樹 
nakashita@athena.ocn.ne.jp (080-1138-1971)
山本創  
yamamoto@dpi-japan.org (090-6193-1232)まで


※シンポジウム趣旨説明※

現在、私たちの国では「もう生きれない」「生きていても仕方がない」
と自らの命を絶ってしまわれる方々が12年連続で3万人以上いらっし
ゃいます。

自殺者の多くが中高年以上の無職者であること、生活困窮者であること
を考慮すると、貧困問題と自殺問題の根っこは同じであると考えること
が出来ます。

自殺に至る要因は決して一つではなく、失業、多重債務、うつ病、家庭
問題など、様々な要因が複合的に重なり合って死に至ることも専門家の
調査によって分かっています。

“自殺者は社会に殺された”とも言えます。

一方、自殺問題に関しては、社会が悪いというだけでなく、私たち
市民の側にも責任があるように感じています。

それは経済至上主義、お金儲け優先で、何よりもあたたかい人と人
とのつながりや思いやり、日々のささやかな暮らしの営みをあまり
にも軽視してきた私たちの社会、私たちの生き方そのものを象徴し
ているのではないでしょうか。

自殺は弱い人がするものと無関心を装ってきた結果、12年連続で3万
人を超えてしまったのではないでしょうか?

貧困問題と同じく、自殺問題を正面から考えることは、私たちひと
りひとりが「どのような社会を望み、どのような生き方をするのか」
という問題でもあります。

私たちは自殺で亡くなった、多くの方々に心より哀悼の意を捧げた
いと思います。

そして、繰り返される悲劇を引き起こしている社会のありようを根本
から見据え、私たちひとりひとりがどんな状況になっても「生きてい
てもいいんだ」と自分の生を肯定できる社会、どんな人でもそれぞれ
が尊重される世の中にしていきたいと強く願っています。

自殺により失われてしまった命は戻ってはきません。

今、私たちに出来ることは自殺という形で大切な方を喪ってしまった
ご遺族の声に耳を傾け、この社会を作ってしまった一人ひとりとして、
自分に何ができるのかを考えることだと思います。

自殺に関する集会を開くことで、私たちそれぞれの「生き方」を正面か
ら考えてみたいと思います。

自殺問題、貧困問題に関心のある方、そして「生きづらさ」を抱
えている全ての方々に、私たちの集会への参加を呼びかけます。

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盤珪禅師に関する法話会


私が何度か行っている東京禅センター(龍雲寺で、
2月20日(土)に法話会があるそうです。


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又玄窟 河野太通老師をお招きして法話会を開催いたします。
太通老師は山田無文老師の後任として神戸祥福寺専門道場師家をつとめられ、
花園大学学長を歴任された現代の臨済禅を代表される老師のお一人です。
現在は、兵庫県姫路市の龍門寺に大衆禅堂を開創され、
一般の方々のための本格的な修行の場を提供されております。
江戸時代に龍門寺を中興された、盤珪禅師の仮名法語をテキストにして
ご講話いただきます。テキストは、コピーを配布いたします。

【日  程】 平成22年 2月20日(土)
【時  間】 午後2時~4時
【講  師】 河野太通老師 (龍門寺大衆禅道場師家、住職)
【会  費】 無料(お申込は不要です)
【会  場】 世田谷 龍雲寺(東京禅センターとなり)
TEL 03-3421-0238

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釈迦むに・スーパースター ~仏教のつれづれ~


盤珪禅師は、公案を使わずに、誰でもわかる日常の言葉で
禅をといた人なんだそうです。

今回は、私は所用で行けないのですが、
ここでやる講座はいつも面白いです。
龍門寺もいい雰囲気ですし。

http://www.myoshin-zen-c.jp/index.htm

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