若い素敵なお坊さんたち
昨日、仏教季刊誌『サンガジャパンVol.2』出版記念講演に行ってきました。
スマナサーラ長老と、若いお坊さんや論客が壇上に 並び
長老に質問したり半ばくってかかったり、
それを長老が比喩や笑いでかわしたり。
http://www.samgha.co.jp/products/spcontents/samjap_kouen20100726.html
本願寺ニューヨークのイケメン僧侶・中垣顕実さんも
スカイプで参加されました。
日本では仏教というと死=葬式のイメージがありますが、
中垣さんいわく、
「アメリカでは、仏教と死のイメージは結びついてない。
もっと普通に、生きる上での価値観として仏教を学びたい人が多くて、
(教会のように)日曜日に寺にお参りに来る、というような方もいる」とのこと。
以前、別の方が「アメリカでは、特定の宗派に関係なく、
寝る前にひとりで仏教の本を読んだり瞑想をする
<ナイトスタンドブディスト>が増えている」と言っていました。
なんか、日本よりアメリカのほうが、
本来の仏教らしい根付き方をしてる気もしますね…。
中垣顕実さんの著書『ニューヨーク坊主、インドを歩く』は
アメリカの仏教事情を知るとともに、インド仏蹟ガイドとしても面白そうです。
それから、こちらもイケメン僧侶の松下弓月さんも参加されていて、
静かに果敢に、スマナサーラ長老に食い下がっていました。
一部では有名な「インターネット寺院・虚空山彼岸寺」のお坊さんです。
http://www.higan.net/
先月、彼岸寺に集う若きお坊さんたちの活動を記した共著書
『お坊さんはなぜ夜お寺を抜け出すのか?』が刊行されたそうです。
主催者である出版社・サンガの島影秀社長もいらっしゃいました。
同社HP「社長メッセージ」の切実さは胸に迫るものがあります。
「お釈迦様、僕にはあなたしかいない」。
http://www.samgha.co.jp/company/message1.html
ちなみに『サンガジャパンVol.3』(9月発売?)は
「仏教と心理学」がテーマだそうです。
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「十二因縁絵巻」にのけぞった(根津美術館「いのりのかたち」展)
根津美術館(東京・表参道)でやっている
「いのりのかたち 八十一尊曼荼羅と仏教美術の名品」展に
行ってまいりました。日曜日に出かけていく価値おおありでした。
根津美術館は、仏教に帰依した実業家の初代・根津嘉一郎氏が蒐集した
宗教美術品を500点も所蔵しているそうで、
今回は重文クラスを含む30点が展示されました。
◆笑撃の「十二因縁絵巻」
今回の売りは「八十一尊曼荼羅」をはじめとする密教美術なのですが、
私が楽しみだったのは「十二因縁絵巻」(鎌倉時代、13世紀、重要文化財)。
つまり、お釈迦さまの教えの基本中の基本、「十二支縁起」を絵巻にしたものです。
展覧会のチラシで、「十二因縁絵巻」と書いてあるのを見て、
いったいどうやって絵にするのだろう?と不思議に思っていたのです。
だって「十二支縁起」といえば、
「無明によって行あり、行によって識あり」と続く観念的な命題の連鎖であって、
これを絵にするとなると抽象画なのか?
あるいは、誰かの悟りの過程をストーリーにしているのか?
ところが、実物を見て、のけぞりましたよ。
なんと、戦闘ゲーム仕立てになっていたのです。
「折咤王」という武将風の主人公が、十二支を喩えた羅刹(鬼)を
次々に退治していくのです。
「生羅刹」「愛羅刹」など鬼をどんどん退治していって
最後に出てきたラスボス・「無明羅刹」の髪をむんずと掴んで制圧する折咤王。
周りでは、トラやらサルたちが、口をポカーンと開けて見物しています。
なんなんだ、この絵巻は! 面白すぎる。
(クリックで大きくなります)
「行」だの「有」だの、深遠すぎてちんぷんかんぷんな縁起の各概念を、
ベタな「鬼」の絵に変換する勇気というか暴挙というかに、感動を覚えたのでした。
でも考えたら当然ですよね。
わたしもいまだ「縁起」がピンときていませんが、
鎌倉時代に字を読めない農民の方々にも理解してもらうためには、
「ついに出た、無明鬼を退治せよ」的なマンガ解説が必要だったのでしょう。
この絵巻の由来は不明ですが、文章部分に「成唯識論」からの引用があるので、
興福寺など法相宗がからんでいた可能性があるそうです。
◆珍品「釈迦・阿難」来迎図
あと、こんな珍品もありました。
掛け軸仕立ての仏画「釈迦如来・阿難像」(重文・鎌倉時代・13世紀)。
お釈迦さまと、弟子の阿難(アーナンダ)が、雲に乗って、
いま往生せんとする人を迎えに来る「来迎図」です。
来迎といえば、浄土教で阿弥陀と菩薩軍団が迎えにくると相場が決まっていますが、
釈尊・阿難コンビの来迎図は、ほかに例がないそうです。
死ぬときにお釈迦さまが迎えにくる、なんて話は、
仏典のどこを探しても出てこない無理筋ですから、例がないのは当然です。
◆突っ込みポーズのお釈迦さま
それから、小さく笑ったのが「釈迦多宝二仏並坐像」(重文・北魏・5世紀)。
右がお釈迦さまですが、
お笑いコンビの「ええかげんにしなさい」の突っ込みポーズですよ。
(クリックで大きくなります)
解説には、
<『法華経』見宝塔品(けんほうとうぼん)には、釈迦の説法に賛嘆した多宝仏が、
多宝塔中の自らの座に釈迦を招き入れ、そこで釈迦が説法を続けたことが記されおり、これを表した彫刻作品は中国・北魏時代に多くみられる>とあります。
これらの仏教美術を蒐集した実業家、初代・根津嘉一郎氏は、素晴らしい。
根津美術館自体も、このほど新装開店したそうで、
隈研吾氏設計の美術館も、緑あふれる庭も、LEDライトにした照明も素晴らしい。
ホリエモンも、吉川ひなのに貢ぐお金があるなら、
このぐらいの教養ある金遣いをすれば、もう少し尊敬されたでしょうに。
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一番重要なお経、初転法輪の「如来諸説」(阿含経11)
膨大な「阿含経」全経のなかで「もっとも重要なお経」と
増谷文雄先生が太鼓判を押すお経が、
「如来所説」(相応部56,11「如来諸説」、雑阿含15、17「転法輪」他)です。
「世尊はバーラナシーのイシパダナ・ミガダーヤ(仙人住処・鹿野苑)で
五人の比丘たちに告げて仰せられた」
そう、初転法輪、お釈迦さまの説法デビューです!
最初に説かれた内容は、
・中道
・四諦
それを聞いて最初に悟った弟子が、コーンダンニャ長老。
お釈迦さまがこれを説いた刹那、
地にいる神々が大声で「世尊が無上の法輪を転じたもうた!」と叫び、
それを聞いて、天上の無数の神々が次々と叫び、
「そして、この十千大世界は、ゆれ動き、震い動き、大ゆれにゆれ動いた。
また限りもない広大なる光明がこの世間に現じて、
もろもろの神々の神の威光をも超えたのであった」
初転法輪はお釈迦さまが35歳ぐらいのときですが、
仏教の一番大事なエッセンスが詰っているように思います。
アインシュタインも「E=mc²」の式を”悟った”のが28歳ですが、
天才というのは若いときにハッとわかってしまうものなんですね。
しかし、初めての説法が相応部56,11にポロリと出てくるとは。
阿含経の結集のときに「時系列に並べない?」と誰も言わなかったのかしら。
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