商工会・商工会議所等からセミナー講師として依頼されるために -88ページ目

セミナー講師として目指すべき出口は、「顧客獲得」

セミナー講師になりたい、という人が増えています。すでに何かコンテンツを持っている起業家はもちろん、まだ自分に色がついていない大学生たちまで、「何になりたい?」と聞けば「セミナー講師」という答えが返ってくることが多いのです。メルマガやブログ、SNSやツイッターなど、以前より自己表現しやすい場が増えたのがその大きな理由でしょう。人前で喋ることへの抵抗も減っているようです。そんな流れを受けて、自主セミナーは大流行。専門のポータルサイトもあるくらいです。講師になるための本も数多く出版され、売行きも悪くないと聞いています。もうセミナー講師は、特別な人のための職業ではありません。



しかし、長続きしない人が多いことも事実です。それは、講師に「なる」ノウハウはあっても、講師で「稼ぎ続ける」ノウハウがない(あるいは、あまりオープンにされていない)からです。自主セミナーを続けていけるのは、ごく一部の人々だけ。その道の第一人者として輝かしい実績があったり、出版やTVなどメディア露出している特別な人々です。



そのほかの多くの講師たちは、見込み客リストやセミナー内容が枯れ、集客に苦しむようになります。そのため案内が執拗になったり、内容に見合わない参加金額を設定したりして周りから疎まれ、さらに集客が難しくなる悪循環に陥って、次第にセミナー現場を離れていきます。


それは、セミナーを「する」ことが、目的になってしまっているからです。前述の特別な人々を除けば、多くの人々にとってセミナー講師という仕事は、自分の顧客を見つけるための営業活動の一環であり、手段に過ぎません。ここをどうか、肝に銘じてください。


ですから、「自主セミナーを本業として、これで食べ続けていこう」とは思わないこと。それよりも、自主セミナーは「呼ばれる講師になるため」のファーストステップにすぎず、呼ばれる講師になるのは「顧客を見つけるため」という目的を自覚したいですね。






自主セミナー講師から、「呼ばれる」講師へ <後編> 「呼ばれる」メリット

自主セミナーを続けるうち、「士業が集まる勉強会で喋ってほしい」という依頼が入り始めます。そこで出会った士業の方々から、後日ご自分のクライアントを紹介されて、単発コンサルティングや顧問契約に至ることもしばしばありました。そこでようやく気づいたのです。「自主セミナー講師ではなく、“呼ばれる”講師になるべきだ」と。



呼ばれる講師になれば、集客リストづくりに奔走することもなく、自分のセミナーテーマに沿ったお客さんを主催者側が集めてくれます。もちろん主催が自分でないセミナーでも集客に協力するのは大切ですが(詳しくは第3章)、自主セミナーほどのリスクもプレッシャーもありません。



集客がラクになれば、そのための時間を自分のコンテンツづくりに充てられます。内容を深めるもよし、幅を広げるもよし。コンテンツの充実、すなわち「商品」の充実は、今後の活動にとって大きな助け、いや、生命線といってもいいでしょう。実際、私も自主セミナー講師から「呼ばれる講師」になって以降、セミナー内容を練り上げ、テーマの幅を広げることができるようになりました。内容に深みが出たり、テーマが広がったりすれば、それだけ呼ばれる機会も増えます。



また、会場では「先生」と紹介され、お客さんの方も「わざわざ呼ばれるほど」権威ある講師という良い印象を持ってくれます。これは大きい。実際に権威があるかどうかの事実は別としても、「呼ばれて」いることは確かで、そのせいでお客さんは、出会いの時から「すごい先生」と思ってくれる。となると、単発であれ顧問契約であれ、クライアントになりやすい。つまり、講師としての「出口」につながりやすいのです。



 私がこの「呼ばれる講師」の利点に気づいたのは2004年ごろ、独立から2年も経っています。ちょっとのんびりしすぎました。でも気づいたときから今日まで、試行錯誤を繰り返しながら、呼ばれるためのノウハウに磨きをかけてきたつもりです。私が6年かけてたどった道のりを、このブログを読めば3ヶ月程度であなたも歩むことができるでしょう。ノウハウの囲い込みはしません(というか、できない性格です)。このブログでみなさんがスムーズに自主セミナー講師を卒業し、スピーディに「呼ばれる講師」へ移行できれば、私はとてもうれしいです。







自主セミナー講師から、「呼ばれる」講師へ<前編> 自主セミナーは行き詰まる

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商工会議所に講師として採用される企画書の書き方と、正しいアプローチのしかた』セミナー
【4/23 大阪】【5/17 東京】
http://www.npc.bz/seminerplan1
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「中小企業を支援する」という仕事のやりがいに目覚めたのは、2000年12月に勤めていた金融機関が破綻し、資金繰りに困った顧客のフォローをしていたころです。これを一生の仕事にしようと独立したのが2002年。勤務先の破綻から約1年後、その金融機関はまだ残務処理中でした。




独立当時は、「金なし」「資格なし」「経験なし」「人脈なし」のないない尽くしです。この3つのうち最初に手に入れようと考えたのは、「資格」。初級システムアドミニストレータ(現在は廃止)、次に社会保険労務士、中小企業診断士、行政書士、司法書士、税理士…。そのすべてにチャレンジしましたが、受かったのは初級システムアドミニストレータのみ(中小企業診断士は何度も受け直し、取れたのはようやく2008年になってからです)。果敢な、と言ってくれる心優しい人もごくまれにいるものの、どう考えても無謀な挑戦です。要するにかなり焦っていたわけですが、その焦りはほとんど何の実りをもたらしてくれませんでした。




また、資格試験の勉強を続けながらも生活は続くので、何らかの形で稼いでいかねばなりません。そこで日々行っていたのは自主セミナー。開催すれば、少なくともその日に来てくださった方々から参加費がいただけるからです。テーマはもちろん、前職を活かした「資金調達」。名刺には「資金調達アドバイザー」(何の資格も実績もないのにコンサルタントと名乗るのはおこがましいと考えたためです)と刷り、数年後に立ち上げた会社名も「株式会社資金調達」としたくらい、自分の得意分野をアピールし続けました。


この自主セミナー、当面の目的は参加費ですが、最終的に目指していたのはもちろん「顧問先獲得」。しかし毎週のように開催しても、なかなか結果が出ない。私が呼べる客層と、見込み顧客の層とに乖離があったのでしょう。

そもそも、集客そのものにたいへん苦労しました。たとえば異業種交流会などで出会った人々にセミナー案内をするのですが、しばらく続ければ、この見込み客リストがどうしても「やせて」くる。参加者の減少、レスポンスの低下です。常に新しい人々をリストに取り込んだり、セミナー内容を刷新し続けないと、「ああ、またこの人からのセミナー案内だ、前に行ったからもういいよ」と飽きられてしまうのです。

自主セミナーには自主セミナーの利点もあるのですが(後でお話します)、食べていけるビジネスモデルとして成長させるまでのハードルは厳しいのだと、身をもって知りました。




後編に続く