海外駐在という働き方には、基本的な前提がある。


任期が終われば帰国する。

 

会社の制度としても、それが標準の形になっている。
数年働き、日本へ戻り、次のポジションに移る。

 

多くの場合、海外駐在は
スキルと経験を磨くための機会として位置づけられている。

 

海外で仕事をし、
市場を見て、
現地の人と働く。

 

その経験を積み、
日本に持ち帰る。

 

そういうキャリアの考え方が一般的だ。

だから任期が終われば、日本に戻る。
それが自然な流れになる。

 

では、その中で
駐在から現地雇用に切り替える人はどれくらいいるのか。

 

体感としては、かなり少ない。

 

もちろんゼロではない。
ただ、一般的な選択肢かと言われると、そうでもない。

 

実際、うちの会社では前例がなかった。

 

言ってはなんだが、
うちはグループで1万人以上の社員がいる企業だ。

 

海外拠点もあり、
駐在制度も長く続いている。

 

そういう環境なら、
駐在から現地雇用に切り替えるケースが
すでにあっても不思議ではない。

 

ただ、少なくとも僕のケースでは
前例がなかった。

 

駐在が終われば帰国する。
海外で得た経験は日本に持ち帰る。

 

それがこれまでの当たり前だった。

 

だから、現地雇用に切り替えるという話をしたとき、
周囲に驚かれた。

 

ただ、それは
不可能だからではない。

 

単に、前提として選ばれることが少ないだけだ。

 

海外で働き続けるという選択肢は、
制度の外側にあることが多い。

 

だからこそ、
それを選ぶときには、自分で道筋を作る必要がある。

 

少なくとも僕の場合は、そうだった。

移住というと、よく言われる。

 

「勇気があるね」と。


たしかに、最初の一歩は勇気だったと思う。

 

日本に戻るのか。
それとも、この国に残るのか。

 

その分岐点に立ったとき、完全に合理的な判断ができたわけではない。
不安もあったし、将来がどうなるかも分からなかった。

 

それでも、「残る」という決断をした。
あの瞬間は、間違いなく勇気だった。

 

ただ、実際に移住が現実になっていく過程は、
勇気だけでは続かなかった。

 

ビザはどうするのか。
仕事はどう確保するのか。
生活は回るのか。

 

一つ一つ、具体的な問題を考えていく必要があった。

 

そこで必要だったのは、勇気というよりも「設計」だった。

 

現地雇用に切り替えるという選択も、その設計の一部だった。
帰国という選択肢を残しながらではなく、こちらで生活を続ける前提で、仕事や生活を組み立てていく。

 

どうすれば現実的に続けられるのか。
どこにリスクがあるのか。

 

そういうことを一つずつ整理していくと、
「移住」というものが、少しずつ具体的な形になっていく。

 

だから今振り返ると、移住は「勇気だけの決断」ではなかったと思う。

 

勇気で決めて、
設計で進めていく。

 

その二つが揃って、ようやく移住は現実になる。

 

もし勇気だけだったら、たぶん長くは続かなかった。
もし設計だけだったら、最初の一歩は踏み出せなかった。

 

移住は、その両方だった。

 

海外に残るか、帰国するか。

このテーマは、駐在員なら一度は考えるものだと思う。

任期が終われば帰る。それが制度だからだ。

 

ただ、頭のどこかでずっと引っかかっていた。


自分は果たして帰りたいのか。

本当に帰る必要があるのか。

 

海外での仕事は面白かった。

新しいことばかりで、スピードも速い。

家族の時間も十分に確保できる。

日本で働くのとは全く違う。

 

とはいえ、制度の流れに乗れば帰国になる。

それが普通だし、多くの人はそのまま帰る。

 

だから、しばらくは考え続けていた。

残れるのか、帰るのか。

 

ただ、不思議なことに

結論が出る瞬間はとてもあっさりしていた。

 

ある時、ふと思った。

 

「残ると決めてしまえばいいのでは?」

 

帰国が前提になっているから迷う。

でも、その前提を外せば話は単純だった。

 

残る。

それだけのことだ。

 

もちろん、簡単ではない。

そもそも、前例がない。

前任も、前々任も残りたい中、帰らざるをえなかった。

 

ただ、方向が決まると、

それまで感じていた迷いはほとんど消えた。

 

帰るか、残るかで悩んでいた時は、

常に二つの選択肢を頭の中で行き来していた。

 

でも、残ると決めた瞬間、

考えるべきことは一つになる。

 

どうやって実現するか。

 

そこから先は、

決断ではなく作業だった。

 

家族との相談。

条件の確認。

現地社長との相談。

本社との交渉。

制度の整理。

 

実際には時間もかかったし、

簡単なプロセスではなかった。

 

ただ、少なくとも一つだけははっきりしていた。

 

もう帰るという選択はない。

 

迷いが消えると、

物事は思ったよりシンプルになる。

 

海外に残るという選択も、

大きな覚悟というより、

ただ一つの前提を変えただけだった。

 

 

海外駐在という働き方は、基本的に期限付きだ。

数年働き、日本へ帰任する。

それがほとんどの駐在員にとっての前提になっている。

 

海外で経験を積み、任期が終われば日本に戻る。

どの会社でも決められている、ごく普通の流れだ。

自分も「4~5年」と言われ、オーストラリアへ赴任した。

 

ただ、海外で生活を続けるうちに、

ふと考えるようになった。

 

本当に帰国する必要はあるのか。

 

仕事の環境、

キャリアの可能性、

子育ての環境、

ワークライフバランス。

 

いろいろな要素を整理していくと、

帰国することよりも、

このまま海外で働き続ける方が合理的に思えた。

 

もちろん、駐在制度は帰国を前提に設計されている。

何もしなければ、任期が来れば帰ることになる。

 

そこで出てくるのが、もう一つの選択肢。

 

現地雇用だ。

 

駐在と現地雇用は、同じ「海外勤務」でもまったく別の仕組みになる。

契約も、給与も、福利厚生も変わる。

税金や社会保障の扱いも変わる。

 

つまりこれは、

働き方を変えるというより、

人生の制度を変える決断に近い。

 

自分の中で結論が出るまでには、

それほど時間はかからなかった。

 

帰国して日本でキャリアを続けるのか。

それとも海外で働き続けるのか。

 

仕事、生活、子育て、将来を整理していくと、

答えは意外なほどシンプルだった。

 

残る方が合理的だった。

 

もちろん、決めることと実現することは別だ。

実際には本社との交渉や条件調整があり、

形にするまでにはかなり時間がかかった。

 

このブログでは、

駐在から現地雇用に切り替え、

そのまま海外で働き続けることを選んだ経験をもとに、

 

  • 駐在制度の仕組み
  • 現地雇用への切り替え
  • 本社との交渉
  • 収入や生活の現実
  • 海外でキャリアを続けるということ

 

 

こうしたテーマを、できるだけ現実ベースで書いていく。

 

海外に残るという選択は、

勢いや夢だけでは進められない。

 

制度、キャリア、生活、家族。

それらを整理したうえでの、ひとつの合理的な選択だ。