移住というと、よく言われる。

 

「勇気があるね」と。


たしかに、最初の一歩は勇気だったと思う。

 

日本に戻るのか。
それとも、この国に残るのか。

 

その分岐点に立ったとき、完全に合理的な判断ができたわけではない。
不安もあったし、将来がどうなるかも分からなかった。

 

それでも、「残る」という決断をした。
あの瞬間は、間違いなく勇気だった。

 

ただ、実際に移住が現実になっていく過程は、
勇気だけでは続かなかった。

 

ビザはどうするのか。
仕事はどう確保するのか。
生活は回るのか。

 

一つ一つ、具体的な問題を考えていく必要があった。

 

そこで必要だったのは、勇気というよりも「設計」だった。

 

現地雇用に切り替えるという選択も、その設計の一部だった。
帰国という選択肢を残しながらではなく、こちらで生活を続ける前提で、仕事や生活を組み立てていく。

 

どうすれば現実的に続けられるのか。
どこにリスクがあるのか。

 

そういうことを一つずつ整理していくと、
「移住」というものが、少しずつ具体的な形になっていく。

 

だから今振り返ると、移住は「勇気だけの決断」ではなかったと思う。

 

勇気で決めて、
設計で進めていく。

 

その二つが揃って、ようやく移住は現実になる。

 

もし勇気だけだったら、たぶん長くは続かなかった。
もし設計だけだったら、最初の一歩は踏み出せなかった。

 

移住は、その両方だった。