こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断によるツッコミなどをお届けしています。

 

少し前にやったVOの仕事の間抜けなコミッション騒動の件(過去記事参照)で、西海岸の新しいエージェントとメールのやり取りをしていた時、突然「ところで、あなた西海岸のエージェントはいる?もしよかったら専属契約はどう?」と、まるでついでのように聞いてくる?!…

エージェントとの専属契約なんて、俳優にとってはまるで結婚の様なものではないか?!…少なくとも東海岸ではそういう感覚である…というのも、NYなどの東海岸では、エージェントとのフリーランス契約も認められているので、よっぽど一生を託すくらいの思いでないと、わざわざ専属にする意味もない…なので、そのエージェント選びには、はっきり言って実際に夫と結婚した時よりも数倍慎重に、メリットとデメリットを考慮して選んだのだ!(過去記事参照)

 

しかし、この新しいエージェントのノリの軽さはどうだろう?!…私にしてみれば、まるで1度しかデートしていない相手からいきなりプロポーズされる様なもの?!…あるいは、会ったばかりの人にいきなりホテルに誘われる様なものである…そんなフシダラな事、私出来ませんわ!…と速攻で断りかけて、ふと思いとどまる…まぁ、それなりにそれなりに大人になり、経験も積めば、時には会ったばかりの人といきなり…という事もありかもしれない…そもそもそんなに重大な事に考える必要もないのではないか?!…たかがセック…もとい、専属契約ではないか…

 

また、西海岸では基本的には専属契約が主流だそうなので、どうせそこで働くなら同じ相手の方がええんちゃう?…という感じで、「結婚」というより「僕と付き合ってみない?」くらいの軽いノリなのかもしれない…事実、中々ブッキングが取れず、成果が出せないとあっさり離婚…もとい、ドロップされてしまう…という話もよく聞くし、そうなったら俳優はまた「はい次!」とあっさり次の相手(エージェント)を探すのだと言うし…

 

そこで、もう少し話を聞いてみる事にし、一応興味はある…という意思を伝えると、「では一度電話で話しましょう。いつがいい?」とサクサクとアポが決められる

それはVO(声優部門)だけの専属…という事なので、電話だけで十分である…これがオンカメラやモデルなら、やはりビデオコールか、近場なら「一度事務所に来て」ということになるのだろう…という事は、その電話のアポは、実質的にはインタビュー?!…専属契約のオファーだと思っていたが、話してから「やっぱりやめとこう。」という事になったりせんか?!

なんせ、あまりにも軽いノリで始まった話である…それにそこからオーディションに送られたのは、実質初めてで、お互いの事をほとんど知らないのだ…そもそも私はそこがエージェントなのか、マネージャーなのかも知らない?!…それに、東海岸のVOのエージェントも、最近はLAの仕事のオーディションに送ってくる様になったではないか?!…そことは専属ではないが、問題が起こったりせんか?!…軽いノリにつられて、軽く乗ってみる気になったが、ひょっとしたら思ったより厄介な事になるのではないか?!…と小心者の私は少し怯み始めていた…

 

また実はこの頃、さらに色々な事が同じ時期に一気に起こる…という、またもや暴風雨状態だった…その直前までBGのブッキングしか取れず、オーディションさえあまりない状態だったのに、いきなり思いがけないところからオファー舞い込み、さらに数年ぶりに友人がNYにやって来る過去記事参照)…その上その同じ週に地震まで起こる?!過去記事参照)

 

もっとも、この色んな事が殺到した時期だったからこそ、その対応に追われている内に、心変わりする前にそのインタビューの日になってしまった

 

指定の時間前に携帯を充電し、イヤフォンをセットしてじっとスマホの画面を見つめる…アポの時間は午後5時だったのだが、その3分くらい前からその体制でスタンバイしていた…そしていよいよ5:00pm…しかし電話は鳴らない?!…やがて5:01pmになってしまったが、まだ電話は沈黙したままあれ?私、時間間違えてる?!と慌てて確認したが、ちゃんと西海岸の2:00pm、つまり東海岸の5:00pmで間違いない…まぁ、西海岸は時間にも緩いと聞いているけどこれもそうなのか?!…すると、いきなり画面に「Missed Call 」というメッセージが?!ちょっと待てや!いつミスったんや?!…どうやら、見知らぬ西海岸の電話番号だったので、私のiPhoneが勝手に気を利かせて「怪しい電話認定」し、いきなりブロックしてしまった様なのだ?!…普段はありがたいけれど、これは勘弁してくれ~!

 

慌ててかけ直すと、丁度向こうも電話を切って掛け直そうとしたところだったそうだ…

そのハプニングのおかげで、緊張する暇もなく、ざっくばらんに会話は始まった

そこで分かった事は、そのエージェントはサンフランシスコを拠点としているので、専属になるのはNoCal(カリフォルニア州北部)のみLAのあるSoCal(カリフォルニア州南部)は別のマーケットなので含まないという…実は私は、西海岸の業界のマーケットがそんな風に南北で違うとは、全く知らなかった…どころか、地理音痴の私には、カリフォルニア北部ってどこ?!というところからググらねばならなかったくらいだったし…しかし、これで東海岸のエージェントとの事は、すべて杞憂に終わりそうである…彼らがターゲットにしているのは、LAマーケット、つまりカリフォルニア南部だけだからだ…

 

そこで私も安心し、そのまま話は進み、その後雑談などしていると、またもや話のついでのように「ちなみに、オンカメラのエージェントもいる?」…えっ?だって、あんた私がどんな顔してるかさえ知らんやんか!ええんかい?!そんな軽いノリで?!…が、考えてみたら、今のNYの専属エージェントは、ほとんどオーディションに送ってくれていないのだ…もしカリフォルニア北部だけでも、機会が増えるのはええ事ちゃう?!…が、まぁ、ここにもすぐにドロップされるかも知れないし、とりあえず今は、VOだけから始める…という事になった…

 

その後に、契約書等が、またもやデジタルで送られてくる…今度は余計なところにクリックしない様に気をつけ、慎重に記入して送る(過去記事参照)…その時、そこはユニオンと提携しているエージェントである事も判明し、胸を撫で下ろした…

 

しかし後で契約書と一緒に送られて来た「Welcome Package」には、セクハラに関するガイドラインとともに、「摂食障害」に関する教育資料?!…そのエージェンシーにはオンカメラやモデルの部門もあるので、それと同じものが声優部門の私にも送られてきたのだろうが、セクハラ教育の方はNY州でも義務付けられているが(過去記事参照)、はっきり言って私はNYのモデルのエージェンシーから「摂食障害」についての資料など送られてきた事はない…もっとも私はファッションモデルではなく、コマーシャルやプリント用なので、そんなに痩せている必要もないわけだが、それでもNYではあまり聞かない

しかし、エージェントがモデルやタレントに「摂食障害に気をつけて。そしてもしなった時にはこういう治療を」という資料を渡すという事は、それだけ西海岸ではそれが「よくあること」で、タレントにそれを警告しなければならないレベルなのかも知れない…

西海岸の痩身レベルと競争のものすごさを、垣間見た様な気がした

 

ソメイヨシノは満開になったが、八重桜の蕾はまだ固い…でも固い蕾というのは、中にそれだけ可能性を秘めている様で、ちょっとワクワクする

 

 

 

★過去記事★