こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

NYアクターの生活、オーディション、現場での様子、また独断によるツッコミなどをお届けしています。

 

最初の往来シーンの撮影過去記事参照)が終わり、一旦ホールディングに戻って2着目の衣装に着替える…そしてラインナップの写真を撮り、その中から数名が選ばれた…その中に私は入っていなかったが、今回の人選は白人オンリーではなく、比較的人種が混合するように気をつけたプロダクションであるようだ…

 

その人達がいなくなると、後は待ち時間モード…ホールディングは教会の一室でもあるので、天井にはステンドグラスの天窓

 

 

そこでノンビリできるか…と思いきや、いきなりデジタル・バウチャーの書類の手続きが完了していないと言われる?!…そこのプロダクションのPayroll会社は、紙のバウチャーではなく、デジタル・バウチャーを使用している…つまり、すべてオンラインで進められるので、事前にアカウントを作っておかなければならないのだが、私が以前働いた別のプロダクションもそこを使ったことがあったので、一応私のアカウントは存在していた…その時に全ての税金関係の書類の手続きは終わっている…と思ったのだが、2つほど足りない書類があると言う?!…そういう事は、普通は前日までに済ませるようにしておくものなのだが、そこのプロダクションは当日まで何も言ってこなかった…ばかりか、それを今日中に済ませないと、ギャラが払えないと言う?!

 

そこで、そのアカウントにアクセスし、書類の記入をオンラインでしようとしたのだが、どう言うわけか一部文字化けして、一体何が書いてあるのかわからない…と言う箇所が所々ある?!…それを読まずにそのままサインする…というのは、ちょっとあまりにも不安だが、この文字化けは一体何なのだ?!…と、プロダクションのPAに聞いても、もちろんわかるわけがない…しかし、そのPayroll会社のテクサポートにメールを送っても、すぐに対応してくれるのだろうか?!

一旦ブラウザを閉じてやり直しても、やっぱり文字化けしている万事休す…と思った時、ふと左上の「Cell phone mode(携帯電話モード)」というスイッチがオンになっているのに気づいた…これはスマホ画面でも見やすくなるためのものだろうが、それを思い切ってオフにし、通常のネットの画面と同じものにすると、ちゃんと文字化けが解消するではないか?!…つまり、文字化けは携帯電話モードのせいだったのだ!…通常のネットモードだとやや字が小さくなったりするが、この際全て読める事の方が重要である…文字化け問題が解消した後は、ちゃんと書類手続きは完了することができた…

 

しかし、オッサン&オバサンBGの中にはそのオンラインを嫌い、「紙のバウチャーをよこせ!」とプロダクションに交渉するという?!…確かにSAGの規定では、紙バウチャーを要求してもいい事になっているのだが、私はそれはリスク大きいな…という気がする…

なんせ、ちゃんとデジタルで提出している時でさえ、時々支払いの遅延が起こったりするのだ!…それを規定外の紙のバウチャーを同じスピードで対応できるか?!…正直のところ、私にはそうは思えない…もしその紙バウチャー自体を無くされたらどうするのだ?!…あるいは、誰かがデジタルのシステムに入力しなければならないだろうが、その情報が間違って入力されたら?!…いやそれどころか、入力自体を忘れられる可能性もゼロではない?!

そもそも手書きの読みにくい字に、いつも「大丈夫かな?」と不安を覚えるくらいなのだ…特に朝の撮影現場でのPA達の大ボケぶり過去記事参照)を目の当たりにした後は、多少面倒臭くても私はデジタルの方を歓迎する…

 

ともかく、書類は全て完了したので、それで一安心…と思っていると、いきなりそのアカウントのお知らせのところに「警告マーク」が出ている?!…それをクリックすると、「セクハラ・トレーニングの認定書」がアップロードされていない…とある?!

 

実はNY州の職場では、毎年NY州指定のセクサル・ハラスメント・トレーニングの講習を受け、その認定書を提出しなければならないのだ…確か他のプロダクションで認定書を得ているはずだが、それがすぐには見つからない…仕方なくもう一度最初からやり直すことにしたが、それに専用のトレーニングビデオを全部見なければならない

 

そのビデオでは、まず「セクハラとは何か?」つまり「何がセクハラと認定されるか?」という事を認識することから始まる…つまり「これはセクハラだ」という事をはっきり知っておかないと、知らない内にセクハラしている?!…という事になってしまうからだ…そのビデオによると、「えっ?!これもセクハラなの?」というものもあったり、またセクハラにも色々な種類があることがわかる…もちろん、それは対象者の種類が多いほど、セクハラのバリエーションも増えてくるのだが、それは年々細かく具体的に網羅されていくようだ…少し前までは、セクハラの対象は女性男性だけだったが、今はトランスジェンダーノン・バイナリーも含まれるようになった…要するに、性別に関する事で、ハラスメントを受ければ、全てセクハラになる…というわけである…つまり、セクハラを防ぐ為には、「これはセクハラだ」という事がわかる様に、しっかり教える必要があるわけである…この近年のセクハラの認識については、また別の機会にお話ししたい

 

それに対して、男性の中には「セクハラで糾弾される事を恐れて、女性を起用しない」という人もいるらしいが、それは「性差別」になるので、セクハラ同様にヤバいじゃあ、どうしろというのだ?!…という男性に、ズバリ一言「セクハラしなければいいんです。」ですよね~!

「セクハラのない環境で働く」というのは、全ての労働者の権利なのだ…

 

このビデオでは、セクハラを防ぐための対処の仕方…それも当事者だけではなく、それを報告された時の上司の責任や、そのセクハラが起こっている時の「Bystander(傍観者)」の責任も重要視されている…セクハラは、決して当事者だけの問題ではないのだ!

 

このトレーニングビデオ自体は、結構面白かった…そして各章の終わりには、簡単なテストがあって、本当にちゃんとビデオを見ていたかどうかが試される…また、このビデオは途中で止めたり、途中をスキップしたりする事はできず、絶対に最初から最後まで全部見ないと認定書はもらえない…そしてその長さはおよそ45分?!…これこそ、前日までに送っとけよ!

 

幸か不幸か、この2つ目のシーンの間の待ち時間は長く、私はなんとその待ち時間の間にビデオを全部見終わることができた…そして終了すると認定書が出るのだが、それをコンピュータに保存するか、携帯で見ている場合はスクショを撮って、それをPayrollのアカウントにアップロードしなければならない…そこで、その指示通りスクショを撮って、それをアップロードしようとしたのだが、どういうわけか、その認定書がシステムに認識されず、何度やっても「Invalid(無効)」というメッセージが出るのだ?!せっかく45分のビデオ全部見たのに、肝心の認定書が認識されないって、どうよ?!…この時はさすがにもう嫌になり、その時点では認定書は諦めた…

 

そのデジタル・バウチャーと格闘している内にかなりの時間がたったが、一向に我々は呼ばれない…これはもう、私等要らんのちゃう?!…と思い始めた頃、思わぬアナウンスがあった…

 

 

★過去記事★