こんにちは。ニューヨークで役者やってます、まみきむです。

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昨夜は、第30回 SAG Awardsの授賞式…今年はこれはNetflixのライブ・ストリーミングで行われた…多分その録画を引き続きNetflixで見ることができるはずである…

 

*画像はネットからお借りしました。

これはゴールデングローブと共に、オスカーの前哨戦という意味合いを持つが、ここで表彰されるのは俳優のみ…監督、脚本、音楽…といった、映画やTVを構成する、いわゆるデザインチームやクルー達は対象外で、作品賞も「Best Motion Picture」ではなく「Best Ensemble Cast in Motion Picture」…あくまで俳優だけが対象で、投票するのも全てSAG-AFTRAのメンバーの俳優達…つまり、俳優達による、俳優達の為の賞なのである…

それだけに、この賞の受賞は、おそらく受賞した俳優にとっても特別なものだと思う…同業者の俳優達にその演技が認められた…ということになるからだ…

 

そこでカバーする範囲は、映画とTVシリーズ、さらにTV用に作られた映画やミニシリーズだが、実は投票前にTVシリーズの候補の全てを見るのは無理だった…せめて第1話だけでも候補作は見ておこう…と思っていたが丁度その頃、予想外に忙しくなったりし、TVシリーズとミニシリーズには、実は結局見られなかった作品もある…見ていなければ投票できないのだから、その候補者達には申し訳ない…と思っているが、いかんせん多過ぎるんやぁ!

 

しかし映画の候補の方は、スタントの候補のアクション系の映画に至るまで、今年は全て見たし、可能な限り大画面で見るようにした…まぁ、演技を見るだけならコンピュータの画面でも十分だし、実際コロナ禍は全てそうだったのだが、やはり大画面用に作られた作品は大画面で見たいではないか!

 

その受賞者のほとんどは、ゴールデングローブ賞とかなり被っていた…ただしゴールデングローブでは映画はドラマとコメディに分かれているが、SAG Awardsは同じカテゴリーなので、その分受賞者は少なくなる…主演女優賞は予想通りLily Gladstone過去記事参照)が受賞…先住民族系俳優の初受賞である…主演男優賞Cillian Murphy過去記事参照)…実は私はPaul Giamatti過去記事参照)を推していたのだが、やはりコメディは不利である…おそらくオスカーも同じ結果になるのではないか…と密かに予想している…

 

助演女優賞は、これも予想通りDa'Vine Joy Randolph過去記事参照)…この彼女の受賞スピーチが、本当に号泣ものだった…

もちろん素晴らしい演技を見せてくれるベテランのスターの受賞も悪くはないが、これまでずっと下積みを続けてきた俳優が、ようやく良い作品と役に恵まれ、スポットライトを浴びる…これは見ている方にも特別なものがある…ましてはこれはSAG Awards観客も皆俳優である…なので受賞者の中には、自分の事だけではなく、その事を強く意識した人達もおり、彼女はまさにその一人…多くのまだチャンスに恵まれない画面の向こう側の俳優達に向かって「機会を得た時、あなたのキャリアも数日で変わるから」と言った後に、「It’s not IF, it’s WHEN, so keep going!」と言う…「If」というのは「起こるかどうかわからない」という不確定な要素を指し、「もしそういうことが起こったとしたら」というあくまで仮定の話である…しかし「When」というのは「必ず起こるがいつ起こるかはわからない」という時期だけが不確定な場合の「起こった時には」という予定の話である…つまり彼女は「あなたがキャリアの変わるような機会に巡り合うのは、起こるかどうかわからないのではなく、必ず起こる…ただそれがいつなのかはまだわからないから、それまで頑張れ!」と、その機会をまだ待っている我々に言ったわけである…彼女自身も、去年まではその一人だったので、もう説得力ありあり…勿論それを聞いていた私も、号泣した一人である

 

もう1つ特筆しておきたかったのは、ミニシリーズの主演女優&主演男優(このカテゴリーに助演はない)が、共に「Beef」Ali WongSteven Yeun過去記事参照)であった事…これも、アジア系の俳優がこのカテゴリーで受賞した事は多分初だったので、嬉しいものがあった…ちなみに、受賞スピーチのマイクの横には、封筒とトロフィ(結構重いらしい)を置く台があるのだが、そこに前の受賞者の封筒が忘れられて置きっぱなしになっていたのに、Steven Yeunが素早く気づいて回収し、後で本人にちゃんと届けていたのが笑える…まさにアジアの気遣い?!

 

ちなみに、この賞にはスタントのカテゴリーもあるのだが、それはライブでは表彰されず、賞だけ後で与えられる?!…受賞作品は、実は私の予想外の作品だったのだが、それでもスタントの人達の労力は同じである…まぁ、作品によってはスタントの数も莫大になるから全員は呼べない…というのもあるのかも知れないが、代表だけでも呼んで、せめてそこで表彰してやれよ!…といつも思う…文字通り、スタントは命と身体を張ったパフォーマンスなのだ…

 

中には、冗談ではなくまさか自分が受賞するとは思っていなかったので、全くスピーチの用意をしていなかった?!…という人もいたりし、実際、その受賞が告げられた時に「しまったぁっ!」という顔がアップになり、マイクの前で動揺しているのが見え見え…とか、スピーチの頃にはすでに酔っ払っていた…という俳優さんもいたりする…実はこれは飲み食いしながら…というパーティ形式だったというのもあるが、やはり結果を待っているのが辛くて、飲まずにいられなかった…というところなのだろう…その気持ちも非常にわかるものの、自分がノミネートされた時(「If」ではなく、「When」)には、気をつけようと、密かに思ったのは、私だけではなかったはずである…(ド厚かましいわっ!)

 

 

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