6月2日


本日は、明石高専の彼の編入指導を行いました。


内容は、前回の続きで「実在気体のビリアル展開」


前回において、実在気体の状態方程式の理論的解説を行いました。


今回は、実在気体において、液化が発生する臨界点の生ずるさいの


温度、圧力、体積を物質定数aとbで表す事柄から、講義しました。


これは、van der Waals の状態方程式をP=f(T,V)の形になおし、


変曲点出現の条件を付与することにより導くことができます。


そして、分子間相互作用による理想気体からのずれを1/V のべきで、


展開するビリアル展開を演習しました。


高温、または、低圧の極限では、理想気体として、ふるまうので


1/V で展開すると都合が良いのです。


特に、1/V の1乗の係数が「第2ビリアル係数B(T)」といわれて重要なものです。


第2ビリアル係数が「0」となる温度を「ボイル温度Tb」と言われるものです。


T<Tb のときは、分子間力による引力が大きくなり、圧力は、理想気体よりも


小さくなります。


T>Tb のときは、気体分子の運動エネルギーが大きく、分子同士激しく衝突し、


反発力が大きくなり、圧力は、理想気体の状態よりも大きくなります。


さらに、熱力学で重要な物理量である、「等温圧縮率β」、


「低圧膨張率κ」、「圧力係数」を説明し、熱力学で必要となる、


偏微分の公式を説明しました。


彼の当面の第一志望である、神戸大学理学部物理学科の編入入試


において、「熱力学」の出題分野は、現在までに出題されている分野は、


かなり限られており、「エントロピー」というややこしい概念等の出題は


ありませんが、逆に、そのことゆえ、「出題が予想しにくいです」。


私は、「実在気体、(van der Waalsの状態方程式、ビリアル展開、


β、κ)に関する事柄」、


「気体分子運動論」に関する分野が


「くさい」 とにらんでいます。


しかし、この分野、編入対策に適したテキストが、なかなか見つかりません。


私は、


   サイエンス社 基礎物理学演習Ⅰ 永田一清 著


がコンパクトにまとめられていて良い、と思います。


そのほかには、


 岩波書店 物理入門コース7 熱・統計力学 戸田盛和 著

 

  〃    物理入門コース演習 4 例解 熱・統計力学演習

                         戸田盛和、市村純 著


 サイエンス社 理工教養物理学演習らいぶらり4

            熱・統計力学演習 瀬川、香川、渡辺 共著


が良い、と思います。


↓実在気体の大きさを有することによる補正です
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↓実在気体のvan der Waals の状態方程式です


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↓分子間力が作用することによる補正です
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↓実在気体のP-Vグラフです
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↓van der Waals の状態方程式のビリアル展開です
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↓膨張率βの定義

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↓圧縮率κの定義
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