【インタビュー:時事通信 湯川鶴章氏 前編】
湯川氏は、キーパーソンにインタビューしまくるというコンセプトのポッドキャスト『IT潮流』を
運営されている他、近著では『爆発するソーシャルメディア』、『ウェブを進化させる人達』と2冊の
本を出版されています。
インタビュー内容を、全3回に分けてご紹介します。
今回は、「放送と通信の融合」についてです。
■第1回 放送と通信の融合の行方は?
Q:湯川さんはポッドキャストや本の出版のほかに、観客を集めての広告セミナー等もやられてますよね?
そうですね。時事通信社主催のイベントとしてやってます。
今度は300名規模のセミナーをやるつもりです。
来年くらいにもっと大きな規模でやりたいと考えています。
受講する人の旬な情報ニーズとマッチしたタイムリーなセミナーに対する需要があるのではないかと思っています。ネット上の情報の無料化が進む中で、出版やセミナーというオフラインの情報ビジネスの速報性を高めることで新たなビジネスの境地を切り開いていきたいと思っています。
Q:「放送と通信」でいうと、既存のメディアが、インターネットに移り変わるというような意見についてどう思われますか?
メディア消費の形態で見ると、今は社会が3層くらいに分断されています。ほぼ年齢をベースに分けることができるのですが、大雑把に言えば従来メディア中心の層、パソコン中心の層、ケータイ中心の層です。どの層でもメディア事業はネット的なものへの移行が始まっていますが、その進行速度は3層でそれぞれ違うと思います。
Q:しかし、YouTubeの昨年1年間の広告売上が、アメリカのプライムの番組制作費の2話分にもならないと言われていたりします。このアンバランスさについてはどう思われますか?
どこを勝負の分かれ目と見るかの違いで、異なる意見が出るのだと思います。実際の売上高で優劣がついたときなのか、前年度比の伸び率で優劣のついたときなのか、どちらが勝負の分かれ目なのでしょう。
現状は、ネットビジネスの広告売上が加速度的に伸びていて、テレビの売上が微減ながらも減少傾向にあるということでほぼ間違いないと思う。問題は今後の傾向です。今後の傾向をどう読むかで、勝負のときがいつになるのかが決まります。今後も紆余曲折があると読めば、売上高で決定的にならない限り勝負はついてい
ない。今後の傾向はもう既に決まっていると読むならば、伸び率の差が出てところで勝負がついている、ということになると思います。
僕は、広告費におけるネットメディアの伸びと従来メディアの落ち込みの長期的傾向は、今後も変わらないだろうと思っています。ですので、僕自身は伸び率で差がついたとき今が、既に勝負の分かれ目と見ています。
でも実際に広告ビジネスに従事されている人は、実際の売上高で勝負を判断されるのでしょう。それは当然だと思います。
Q:ただ、一方でコンテンツただ乗り論という意見もあります。ネットは何も作ってないじゃないじゃないかと。
今は、違法コピーが多いからでしょうね。違法コピーが多いのは、視聴者の見たい場面だけを見たいときに見るというニーズにテレビが応えていないからでしょう。ビデオ・オン・デマンドのニーズは、10年以上前から指摘されてきた。でも放送局は、そのニーズに真剣に応えてこなかった。今起こっているのはネットという武器を得た視聴者の反乱という見方もできると思います。
こうした違法な行為は、放送局側が合法なビデオ・オン・デマンドを提供した時点で、次第に少なくなっていくと思います。
それとは別に、ユーザーが作り出す動画の質は今後ますます向上していくでしょう。動画投稿サイトの主要コンテンツが自主制作動画になる日は、そう遠くないでしょう。
Q:でも、既存メディアには、ネット企業よりも取材力、編集力といった制作力がありますよね?
それはそうですね。そこが最大の強みだと思います。
既存メディアはそこで戦っていくしかないですよね。プラットホーム事業では、ネット企業に勝てそうもないですから。
Q:ポッドキャスト『IT潮流』ではいろいろな方をインタビューされてます。特に印象に残った方や、共通項はありますか?
みんな夢を持って前向きにやっているという感じです。
いいエネルギーをもらえてます。
独自の発想をする人は面白いですね。
はてなの近藤さんとか、チームラボの猪子さんとか。
あと、立ち上がったばっかりの会社の人は面白いですね。
会社が大きくなっちゃうと発言に制約がかかってしまうし。
広報の人が隣に座ってて「それはちょっと」とか。
立ち上がったばかりの会社の人は自由に発想して、しゃべってますよね。
(了)
【関連】
湯川鶴章のIT潮流
爆発するソーシャルメディア
【インタビュー:湯川鶴章氏 中編 「日本人特殊論はおかしい」】|CAネットトレンド研究室ブログ
【インタビュー:時事通信 湯川鶴章氏 後編「インターネットのこれから」】|CAネットトレンド研究室ブログ
【ヨーロッパのWeb2.0系サイトトップ15】
Read/Write Webに、ヨーロッパのWeb2.0系スタートアップに
関するレポートがあがっています。
アメリカと比べると、モバイルサービスが多いように感じます。
Panoramio.com http://www.panoramio.com
地図上での位置ごと共有できる写真共有サイトです。33万人のユーザーがいるそうです。
11870.com http://11870.com
実生活でのdeliciousと表現されています。
地図上の場所を、タグ、写真、動画、コメントなどと共に記録できます。レストランのレビューなどが上がっています。
Trivop http://www.trivop.com
町並みや部屋の様子をみることができます。
地図を核にしたSNSのようです。
モバイル、PC両対応だそうです。
Personalised Information Environment http://www.musorajanlo.hu
ハンガリーのパーソナライズド情報サービスだそうです。ユーザーが好きそうなTV番組や映画をリコメンドしてくれるそうです。
hipoqih http://hipoqih.com
特定の場所に紐付けられたURLやアラートを記録してくれるサービスだそうです。
アラートは興味があるであろう場所に近づくと自動的に記録されるそうです。
デモではテストユーザーがどこを歩いているのかを見ることができます!
nvivo.es http://www.nvivo.es
音楽イベントを核にしたSNSだそうです。
soziety http://www.soziety.com
Skypeをベースにした言語を勉強するためのSNSだそうです。
Properazzi - the property search engine http://www.properazzi.com
スペインにあるスタートアップで、賃貸、販売住宅の検索エンジンです。45の言語、1,800万件の検索が可能だそうです。
Menéame http://www.meneame.net
SlideBurner http://www.slideburner.com
スライドショーやプレゼンテーションを共有するためのサイトだそうです。現在、英語版と日本語版があるそうです。
Sclipo http://sclipo.com
ビデオで"スキル”を共有するためのサイトです。
「風船でスパイダーマンを作る方法」や「トランプの切り方」等があがっています。
Anywr.com http://www.anywr.com
:
モバイル向けのコンタクトマネージャーだそうです。
5min http://www.5min.com
QuestionForm http://questionform.com
Web上でアンケートを作成、分析できるサービスです。
【関連】
アメリカのWeb2.0系スタートアップの比較表
【ブログを何故書くのか?】
Web担当者Forum上で翻訳掲載されているSEOmozで、
何故、ブログを書いているのか?という理由が明かされています。
それによると理由は以下の通りたくさんあるようです。
*引用*
考えを文章にするため
名前やブランドの認知度を高めるため
本を出す準備として
ビジネスを育てるため
同僚や従業員とのコミュニケーション
知識をシェアするため
履歴書を補完するため
歴史を書き残すため
人間味のある声を生み出すため
業界のリーダーたちと関係を構築するため
お金を儲けるため
ビジネスに生かす目的でブログをすることで、たくさんの見返りが
あるとしています。
特に、「ビジネスを育てる」という目的に関して言えば、20(2ダース=24)以上の
問い合わせを先週1週間にもらったそうです。
【セプテーニ・クロスゲート、ユーザー退会率の測定をするサービスを開始】
メディア別、アフィリエイトサービスプロバイダ別に、ユーザーの登録継続期間
等を計測できるサービスをセプテーニ・クロスゲートが始めるそうです。
同サービスでは、メディア経由で獲得したユーザーの継続期間や退会率を、
顧客データベースに直接触れることなく明確にすることを可能にする。
というものだそうで、月額費、初期費用ともに5万円だそうです。
単純に量だけを獲得するという考え方ではなく、数は少なくとも
長期的に収益になるユーザー獲得を考えるという方針なのでしょうか。
【MyspaceがPhotobucketを2億5,000万ドルで買収へ】
Google、Yahoo!、Microsoftによる買収が続いているアメリカのネット業界ですが、
今度はMyspaceが動いたようです。
WallStreetJournalによると、NewsCorp参加のMyspaceが
写真共有サイトのPhotobucketを買収するようです。
Photobucketといえば、Myspaceから締め出しを喰っていたいたわけですが、
一連のこの流れは買収の金額を下げる狙いだったのではないか
という憶測もでています。
また、買収金額は2億5,000万ドルだそうです。
【関連】
Photobucketのトラフィックの半数以上はMyspaceからでした。
【NO.1写真共有サイトはPhotobucket】|CAネットトレンド研究室ブログ
MyspaceがPhotobucketの動画を一時遮断(その後、開放)
【Myspace、Photobucketの動画を遮断】|CAネットトレンド研究室ブログ