前回の記事は、こちら─、
『 人は決して考えを改めることはないが、自分の主張なら相手は考えを改めると信じている。』
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【 ~ 閲覧注意 ~ 】
この記事には、ネタバレ、及び、
ある特定のグループに対する、
批判的な内容も含まれています。
お読みになる場合は、あくまでも当ブログ運営者の、
個人的見解であるということを、ご理解の上、
自己責任で、お読み下さい。
私も、もう二十代の若造ではない。
「 自分は正しい… 」
「 自分は分かっている… 」
などといった考え方が、
いかに思い上がった愚かな考え方であるかということは、
経験的にも学んでは来たつもりだ。
それでも─、
この件に関してだけは、一言、述べさせていただきたい。
本書の中で著者は、開発に携わる人間のことを、
「 良い物を作れば売れると考えている 」
と主張し─、
営業サイドとの考え方の違いが、軋轢を生んでいる、
と述べているが、決してそうではない。
それは、物作りをしない人間の目から見た、
勝手なものの見え方にほかならない。
技術者に対する、そのような批判は、
多くの営業関係者にとっては心地好く響く。
「 開発 」などという、世間一般のヒエラルキーから言えば、
"高度" な仕事に取り組んでいる技術者たちが、
実は "愚か" なのだと主張することは、
世の中のヒエラルキーにおいて、
決して技術者よりも "上" とは見なされない、
営業関係者たちにとっては、
多少なりとも優越感を満足させる効果があるのと同時に、
世間のエリートに対するコンプレックスも癒されるのだ。
「 偉人の欠点は愚者の慰めである。」( アイザック・ディスレーリ )
しかし─、
これまでにも、このブログで、
幾度となく述べてきたことだが…、
顧客の視点で考えることは、決して、
顧客の視点でしか考えないことではない。
曲がりなりにも人様からお金を貰って提供できるだけの、
商品やサービスをかたちにする技術というのは、
ソフト開発にせよ、
Web サイトの制作にせよ、
スタイリストにせよ、
ラーメン作りにせよ、
一朝一夕で築けるものではない。
最低でも数年、ものによっては、
十年というオーダーの歳月が求められる。
そういった物作りや、技術のことを、
よく知りもせず─、
技術者や職人を見れば、
「 物さえ良ければ売れると考えている!
彼らは、そういう人間なのだ!」
と、かたくなに主張することこそ、
軋轢を生む根本原因だと、
開発サイドに身を置く人間の一人として、
私は強く感じてきた。
技術の「 ぎ 」の字も知らなければ、
開発の「 か 」の字も知らない者からすれば、
技術者の話など、さぞかし技術偏重に聞こえるだろう。
しかし─、
それは営業サイドにこそ、
物作りに対する要素が欠落しているのであって、
決して─、
技術者が技術偏重になっているのではない。
( 次回へつづく... )
『 人がムキになるのは、言われのない言いがかりをつけられた時と… 』
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