セイジャク。A-1
A-1
(尋弥)
ずっと、不思議だった。
和弥が変わった事。
どんなにふざけてても、どんなに酔っ払っても、決して本音を言わない。
決して弱みを見せない。
俺たちが相談することはあっても、あいつが相談を持ちかける事はまず無い。
俺たちを信頼してない訳じゃない。
むしろ、心底、信じてくれてる。
それでも和弥は、どこか冷めてて、
俺たちの輪の中から、片足だけが出ているような、そんな存在だった。
それが最近、和弥が変わった。
一緒に観てたVTRに感動して泣いたり、
理弥のドラマの演技を素直に褒めたり、
智弥と奨弥、トップ二人の兄貴に意見を求めたり。
周りにいる俺たちは、面喰いながら嬉しくてにやけてた。
でもやっと分かった。
あの人の影響なんだな。
予想外にボーイッシュな感じの女性。
和弥はずっと、すべてにおいて女性って事を強調してくる女が好みだと思ってた。
そう思わされてたのも、和弥のテクだったって事なんだろうな。
あの時の和弥。
間違いなく泣いていた。
うるんだ目を隠す事なく、オレを見据えて言った「一生賭けて大切にする」って言葉。
俺は身震いした。
ある種の感動に襲われた。
俺もいつか、あいつに宣言してやる。
「俺が一生賭けて大切にする人を紹介するよ」って。
それがさ。
和弥の様子がおかしいんだ、最近。
あれからたいした時間が経過した訳じゃない。
仕事に向かう顔が厳しい。
自分を追いこんで、仕事をしている気がする。
今までみたいに、早く帰りたがったり、
台本よりもゲーム機を持ってる時間が長かったり、
休みがない事に文句を言ったりする事が全くなくなった。
俺たちが心配になってる。
ストイック過ぎるんじゃないか。
ちょっとは息抜きもしろよ。
