FRATELLI 第1章ー16
第1章ー16
(ゆう)
バカだな、あたし。
また、騙されちゃった。
その言葉が根底にある。
でももう泣くのも、傷ついて落ち込むのも嫌だった。
だから、
「印税で、リョースケを大学に行かせてやれる」
「これに懲りたと言えば、他の仕事も断れる」
「興味を持ってくれる人がいたら、私の油も見てもらえるかもしれない」
などと、なんとか自分を納得させる理由を呟いてみたりした。
でも
気持ちは全然上がってこない。
むしろ、虚しくなって、また思う。
バカだな、あたし。
何時間、ここにこもってるんだろ。
リョースケが学校から帰って、多分、リビングに置きっぱにしてきたイラスト集見て、それで心配して来たんだろう。
何度もアトリエの外から「コーヒー淹れたよ」と声を掛けてくれる。
「あとで飲むから、リビングにおいといて」
あたしが答えると
「わかった。早く出ておいで」
と言って、リョースケは家に戻っていく。
ホントにいい子。
リョースケには、ずっと色んな心配をさせてきた。
色んな我慢をさせてきた。
だからこそ、彼がこっそり願っている「美大に進学したい」っていう気持ちをかなえてやりたい。
そう、だからこれで良かったんだ。
ここは私のプライドなんて捨てていい、リョースケのため。
お金のため。
悩む事なんてない。
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突然、誰かの声がドアの向こうから聞こえてきました。
誰の声でしょうか?
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