FRATELLI 第1章ー14
第1章ー14
(奨弥)
あれからも、二人はゆうさんと変わらず仲良くやってるらしい。
変わらず、というよりむしろ、深くなったようにも見える。
二人がどんな感情で、あの人と交流を重ねているのかは知らないけど、僕にはどちらも不思議な画にしか映らない。
ゆうさんは、僕や理弥や和弥にも、小さな挨拶をくれるようになった。
少しずつではあるけれど、確実にゆうさんは変化してる。
智弥とスケッチブックに落書きをしている時、尋弥と同じ本を覗いてる時、とても自然に微笑んでいるゆうさんは、心を患っている人には決して見えなかった。
僕たち5人も仕事の幅が増え、モデルとしてより芸能人として扱われるようになってきている。
理弥のテレビ露出度は中でも一番多く、彼の持つ天性の明るさが、見ている人たちを元気にしてくれる。
僕たちの中ではイジラレ役だけど、それは兄弟全員が彼の事が大好きで、彼の笑顔がみたいからなんだ。
和弥は常に台本を幾つも抱える、売れっ子俳優になった。
彼はいつも飄々としていて、頑張る事が嫌いな風に見られがちだ。
でも実は、人一倍ガンバリ屋で、人一倍努力するタイプ。
彼がこれからどんな才能を開花させていくのか、僕はとても楽しみにしている。
尋弥、彼は正しくモデルになるために生まれてきた人間だ。
同じポーズをとっても、同じように笑顔を作っても、彼のスマートさには誰も叶わない。
身体から発するオーラの凄さ。
人を惹きつけるくせに、人を寄せつけない、カリスマ的な立ち位置。
多分、兄弟の誰もが思ってる、彼は僕たちの誇りだ。
そして智弥。
人前に出るのが苦手。
芸術家肌。
そういう意味では、ゆうさんと気が合うのも分かる気がする。
周りからは、だめな長男的に見られているけれど、僕らの中ではやっぱり智弥は長男で、僕たちの揺るぎない基礎なのだ。
心の支えとなっているのはやっぱり智弥。
そんな智弥も、古代の壁画を特集するドキュメンタリー番組に一人で出演するようになり、僕たち5人揃っての仕事は少しずつ減っていった。
