妄想恋愛シミュレーション -4ページ目

セイジャク。A-3

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A-3



(和弥)


いつものように火曜日の今日、ここへきた。


こうなると習慣みたいなもので、こないと気持ち悪い。


もちろん、ドラマに入ってしまえば、これない週が続いたりもするけど。


オレは飽きもせずハンバーグを食べ、食後にコーヒーを飲む。


コーヒーを置いてくれるのは、ゆうではないけど。


ここから見える景色は、さほど変わらず。


変わったとすれば、それはオレを取り巻く音。


何をしてても静かすぎる。


どんなに賑やかな場所に居ても、いつもオレだけが静寂の中にいるみたいだった。


「お客様、本日ホテル1階の裏庭で、ブライダルがございまして」


「はぁ」


会計をしながら話しかけてきた支配人に、オレは気のない返事をした。


「ぜひ一度ご覧になってはいかがでしょうか。思いがけない感動に出会えるかもしれませんよ」


なんだそれ。


オレは唇の端っこで笑んで、頭を下げた。


「ぜひ、裏庭へお運びください」


オレの背中にまで声をかけた支配人の姿が、脳裏に浮かぶ。


全く興味がないわけでもない。


次の映画の内容を知ってて言ってくれたのかもしれない。


今度は結婚式のシーンがある。


一度見ておくのもいいのかな。


1階に着いたエレベータを出て、なんとなく裏庭に向かってみる。




裏庭はホテルの中からも望む事が出来る。


平日の昼過ぎ、周りには誰もいない。


静かすぎる空間。


ガラス越しに光の眩しい、ガーデンパーティを眺める。


音は聞こえない。


でも賑やかな様子は視覚だけで充分に伝わってくる。


若いカップルを祝福する沢山の人の笑顔が溢れてる。


祝福を受ける人って、あんな風に笑うんだな。


あんな風に見つめ合うんだな。


ぼんやりそんな事を思っているオレの視線に、とてつもない衝撃が飛び込んできた。


・・・ゆう・・・?




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