FRATELLI 第5章ーA
第5章ーA
(尋弥)
≪今どこ?会いに行ってあげるよ≫
こんな時、こんな風にしか言えないんだよ、俺。
暫くして返信が来た。
件名に≪ここ≫
本文なし。
添付画像が1枚。
夕焼けの空。
その空を映す川面。
対岸の街のたそがれ。
来れるものなら来てみなさい、そんな挑戦状に思えた。
≪来てほしいなら、もっと素直になればいいのに≫
≪来てほしいなんて思ってないわよ。でも来たいなら来てもいいけど≫
ったく。
相変わらずツンツンしてる。
心細いだろうと思って、心配してるのに。
もう一度、送られてきた夕焼けの風景を見る。
あ、俺、分かっちゃった。
だって、見つけちゃったもん。
屋上のデパートのマーク。
河とデパート。
そういったら、あそこしかない。
ここから20分位。
≪今から、行ってあげるから待ってて≫
あくまでも、君の為、的な。
≪待ってて欲しいなら、待っててあげてもいいけど≫
まるで勝負だな。
嫌いじゃないけど。
俺がそこへたどり着いた時には、だいぶ暗くなっていた。
画像を確認しながら彼女の姿を探す。
そして、見つけた。
土手に腰をおろし、大学のボート部の練習を見つめている後姿。
ドカッと横に腰を下ろす。
一瞬だけ、驚いたように俺を見つめ、すぐに目を反らした。
「来てやった」
「呼んでないけど?」
「あれ?そうだった?声が来て欲しがってたけど」
「残念。勘違いだったみたいね」
どこまでいっても好戦的だな。
ま、俺もそうだけど。
「なーんだ。元気そうじゃん」
「なに?慰めにでもきたつもり?」
「まさか!落ち込んでしおらしくなってる姿を見たかったんだよ」
「しおらしく?自分でも想像できないわ、そんな姿」
鼻で笑う。
「ったく、素直じゃねえな。強がってばっかでさ」
今まで笑っていた彼女の顔が、少し俯いた。
