セイジャク。⑤
⑤
(和弥)
≪今日、行けなくなりました。ごめんなさい。また連絡します。≫
メールが届いた。
こんな事初めてだった。
職場のスタッフが急に欠勤でもして、代わりを頼まれたんだろう。
前に、そんな事も時々あるって聞いたことがあるから。
でも、かなりガッカリした。
2週間ぶりだったのに。
仕方ないけど、仕方なくない気もして、ちょっとイラッとした。
顔だけ見に行こう。
そしたら気持ちがおさまる。
終わりの時間を聞いて家まで送るだけでもしよう。
会いたい気持ちが募るって歌の歌詞では良くあるけど
ホントにそんな感情ってあるんだな。
今日はどうしても君の笑顔が見たい。
スカイラウンジの昼の繁忙時間も終わる頃を狙った。
入り口で迎えてくれたのは支配人。
多分、この人は気付いてる。
俺たちの関係。
何も言わないし、何も聞かないけど
何となく見守ってくれてる感じがする。
笑顔が胡散臭いけど
長年の接客業でしみ込んじゃったんだろ。
「お客様、大変申し訳ございません。ランチの時間が終了してしまいまして、ティタイムとなっておありますが、よろしかったでしょうか?」
オレは店内に彼女の姿を探しながら「はい」と答えた。
そんなオレの様子に支配人は声をひそめて言った。
「西谷でしょうか?」
「ええ。今日は入ってますよね?」
支配人の眉間にしわが寄る。
「お聞きになっておられませんか?西谷ですが、昨日勤務中に倒れまして・・・」
「え!?」
オレの頭の先から出たような声が、静かな店内に響いた。
「救急車で運ばれまして、今日はそのまま検査入院しているようです。ただ、明後日はもう出勤できると本人から連絡をもらってますので、大事には至っていないようですが」
「どこの病院ですか!」
