妄想恋愛シミュレーション -106ページ目

FRATELLI 第3章ー1

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第3章ー1






(和弥)




俺たち5人が曜日ごとにパーソナリティを担当しているラジオ局に来るお陰で、ほぼ毎週、このホテルの32階スカイラウンジでランチを食べる事が出来る。




って言ってもフレンチじゃない。




いや、フレンチの一種か?




俺の大好物、ハンバーグ。




ここで仕込んだフォンドボーを使ったデミグラスソース。




これが半生状態のビーフハンバーグに絡まって、めちゃくちゃ旨いの。




パンとサラダとスープとコーヒーがついて3000円。




ちょと高いけど、週1回の贅沢。




スカイラウンジだからね、もちろん眺望もいい。




東京湾が見渡せて、眼下にはショッピングモールやアミューズメントパークや映画館、それにレストランモールなどを備えたレジャーエリアが広がる。




仕事以外で来た事はないけどね。




彼女とか出来たら来てみたい。




なんて嘘。




多分、彼女は一生作らない、っつうか出来ない。




一人でいい。








コーヒーが運ばれてくる。




たいていいつもこの人。




誰よりも接客が上手い。




歩き方も、話し方も、笑顔も。




全て接客業のノウハウを固めたよう。




決してミスもない。




運んできたコーヒーを置く時、コーヒーも揺れず、全く音もさせないのはこの人だけだ。




ソーサーに乗せた銀のスプーンさえ、カチャリとも言わない。




女性、男性問わず、仕事に完璧な人は好きだし、尊敬する。




俺もそうありたいと思っている。




「お待たせいたしました」




「あれ?」




僕は思わず首をひねった。




「コーヒー変わった?」




彼女は口元を緩ませた。




「さすがですね、お客様。今週より、春のブレンドに変わりました。先週のまでのものよりも、少し酸味が利いたコーヒーとなっております」




「やっぱり」




「ではごゆっくりとお過ごしくださいませ」




彼女は会釈をして去って行った。




いつもよりも香りが甘い。




味は・・・確かに酸味が増したかな?




俺って鼻が利くらしい。








コーヒーを飲みを終えて、席を立つ。




他のテーブルに食事を運び終えた彼女と目が合う。




キチンと計られたような角度の会釈、30度。




俺はそれには答えず、横を通り過ぎた。





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