妄想恋愛シミュレーション -104ページ目

FRATELLI 第5章ー1

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第5章ー1


(ゆう)


「アンダーウェアーのブランド「ジュ・ルーテ」の取締役社長、河西ゆうです」


私はいつも通り相手の目を見据えたまま、少しだけ頭を下げながら、名刺を差し出した。


相手が男なら、一番初めの挨拶の段階で、少々威圧的な態度を見せなければナメられる。


「フラッテリの尋弥です」


「理弥です」


紹介されたのは、人気モデル5人組の内の2人。


5ツ子の三男と五男らしい。


テレビに興味のない私は、その人気の程もよく知らないが、噂だけは良く耳に入ってくる。


企画宣伝部からの依頼で、この二人を今度のコマーシャルモデルにふさわしいかどうか面接することとなった。


「どうぞ」


私の城でもある社長室の赤い革張りのソファに二人を勧める。


見た感じ、二人は全く違う性格のようだ。


「五ツ子だって聞きましたけど、ルックスも骨格も随分違うのね」


尋弥が答える。


「良く言われるんですが、どうやら多卵生らしいんです」


「なるほど。私どものブランドはご存じ?」


「はい。私たちも愛用してます」


また尋弥が答えた。


「今は?」


「はい。私は履いてますが・・・」


尋弥が理弥を見る。


「あ、僕も履いてます!」


なんだか、子供っぽい子。


「そう。じゃ、さっそくなんだけど、下着になってもらって、ヴィジュアルのチェックをしたいんだけどいいかしら?」


「はい」


私は後ろに立っていた企画宣伝部長の石神を見た。


「ではお二人、こちらへどうぞ」


二人は石神に連れられて、社長室の隣の小さなスタジオへと入って行った。


面接用に作ったスタジオだから、めったに使わないが、かなり本格的な機材を揃えている。


優秀なアンダーウェアーの条件は先ずは質にある。


手触り、肌触り、履き心地。


これがクリアーされてからのデザインだ。


雑誌やテレビ、またはネット上で、この質感を正確に伝えようとしたら、やはりそれなりの技術が必要となる。


写真を取る側の技術、そして取られる側の技術。


これをクリアしてもらわなければ、広告を作る意味がない。


「準備が出来ました」


石神に呼ばれて、私はスタジオへと入った。


ジュ・ルーテの最新モデルを見に着けた二人の青年が、シルバーの背景布の前に立っていた。


「ふーん」


さっきとは全く違う表情。


尋弥は憂鬱そうに顎を上げ、斜に構えて立っている。


モデルらしい体型だ。


手足が長く、腰つきがしなやか。

理弥も少年のような笑顔は消え、鋭い目つきに変わっていた。


尋弥とは逆に顎を下げ、精悍な顔つき。


さすがモデル。


シャッター音に合わせて、ポーズを変え、ポラ撮りはあっと言う間に終わった。





最近ではプロジェクト自体に携わる事も少なくなったけど、最終チェックだけは参加させてもらう。


やはり、私の立ちあげた会社。


私の意思無しでは、私の理想とする会社ではなくなってしまう。


幹部の中には、私よりもずっと年齢が上の男性もいる。


もちろん私が採用を決めた精鋭揃い。


それはそれで危険が多いというのも承知している。


中には私からこの会社を奪おうと企てる者だっている。


男とはそういう間抜けな生き物。


だから私は男なんて信用しない。


利用できなくなったくずは捨てるだけ。




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