左:武田 右:船引
高田:本日はよろしくお願いします。
船引:あのいきなりなんですけど、逆に質問していいですか?
高田:はい。どうぞ。
船引:お母さんのカップスってご存知ですか?
高田:カップスって何ですか?
船引:カップスじゃなくてカップ数です。
高田:それはバストの?
船引:そうです。そうです。
高田:知りませんよ。そんなの。知りたいとも思いませんし。
船引:ですよね?
高田:暗い顔されてどうかされたんですか?
船引:実はですね。この前、岡山県にある相方の実家にお邪魔したんです。そこで衝撃の光景を見せつけられたんです!
高田:一体何が?
船引:実家に帰るなり挨拶もそこそこに、相方が母親にカップ数を尋ねたんです。実の母親にですよ!
高田:目を覆いたくなる光景ですね。
船引:ですよね? ですよね?
武田:ちょっと興奮しすぎてる気がするけどね。
高田:武田さん。何してるんですか?
武田:だから実の親のカップ数を尋ねたまでです。
高田:それはお聞きしたから知ってますよ。初対面ですけど、あんた何やってんの?
武田:いけませんか?
高田:褒められたことではないですね。
武田:ずいぶん過敏だな~。幼少期に何か問題でも?
高田:いやあ、僕と船引さんの感覚が正常だと思いますよ。そう信じたいですね。
船引:すみません。のっけからペースを乱すような質問をしてしまった。
武田:本当に相方がすみません。
船引:いや、お前の代わりに謝ってるんやで。
武田:そうだったの?
高田:では気を取り直して別の質問に移りますね。コンビ結成はいつ頃でしょうか?
船引:2011年の6月です。
高田:お二人の出会いについてお聞かせ願えますか?
船引:ヴィンセントさんという凄く面白い先輩芸人の方がいらっしゃるんですけど、その方の単独ライブがあったんです。そこで彼と初めて会ったんです。
高田:その時、船引さんはピンで活動されていたんですか?
船引:いえ別のコンビを組んでいました。その後、解散してからヴィンセントさんのすすめで『昆布ろせん』を組むにいたるわけです。
高田:お互いの第一印象を覚えてらっしゃいますか?
武田:僕からしたら憧れの存在だったんですよ。
高田:どういうことですか?
武田:ネット大喜利というのに参加していたんですが、そこで彼は鋭いボケを連発していたので、何とかしてお近づきになれたらなというのはありました。
高田:非常に照れくさそうな船引さんですが(笑)、逆に武田さんの第一印象はいかがでしたか?
船引:コミカルな動きをする印象がありましたね。
高田:コンビ名の由来を教えてください。
船引:コンビを組み始めて間もない頃は、僕が神戸在住で相方は大阪にいたんですよ。だからよくチャットでやり取りをしていたんですけど、コンビ名を決める話し合いもチャット中に決定したんです。
高田:チャットでコンビ名を決めるって、現代っ子ですね~。
武田:いやあ、それほどでも。
船引:何で照れるねん。
武田:褒められると照れるよね。
高田:そんなに褒めてはないですが。
武田:ですよね~。
船引:二人とも優柔不断なんですよ。「“昆布”っていうフレーズが良くない?」っていうところまでは行ったんですけど、そこから難航してしまいまして、袋小路に入ってしまったんです。
武田:いやあ、あの時は辛かったなあ。
船引:それで『昆布』っていうのは一回忘れようってなりまして、全く別の方向で名前を考えていたんですけど、やはり上手くいかず……。
高田:煮詰まってしまったと?
船引:はい。最初に立ち返って「『昆布路線』で洗い直してみようか?」って何気なく言ったら、そのフレーズが結構、印象的で、じゃあコンビ名にしようかとなりました。路線が漢字だとちょっと堅苦しいので、そこを平仮名にするなど字面のことも考えました。
高田:そんなドラマがあったんですね。お二人はNSCへは?
船引:行ってないですね。だから一般の33期扱いです。
高田:お笑いの世界に入られたきっかけを教えてください。
船引:先ほども出ましたけど、『ネット大喜利』からですね。実は前のコンビもネット大喜利がきっかけで組んだんですよ。
高田:お二人ともネット大喜利のご出身ということですが、それに関してはどのように思われていますか?
武田:ネット大喜利っていうのは、ほとんど文章で伝える世界なので、やっぱり正統派のお笑いをやられている方と比べたら弁が立たないという弱点はあります。
高田:見るからにコンビ仲が良さそうに見えますが。
船引:彼はサービス精神が旺盛なんですよ。ネタ合わせ中、僕だけのためにギャグをやってくれることもありますよ(笑)
武田:恥ずかしいから言うんじゃないよ!
高田:やっぱり仲が良い(笑)。ネタはどちらが考えておられるんですか?
船引:二人で作っていって最終的には僕がまとめる感じです。
高田:少し質問が飛びますが、学生時代は友達が多い方でした?
船引:高校二年生の時がひどかったです。
高田:どのようにひどかったんですか?
船引:友達のいなさ加減がひどかったんです(笑)。小学校の頃は人気者の部類に入っていたと思うんですけど、段々と右肩下がりで……。
高田:その頃から大喜利を?
船引:そうですね。中学校の頃からやっていました。
高田:友達のいない寂しさを大喜利に熱中することで、紛らわせていたとか?
船引:そういう面もあったかもしれません。高校の頃は、友達のいないことを延々、日記に書き連ねていました。
高田:内容が気になりますね。その頃の思い出とかありますか?
船引:高二の頃は女子が多いクラスだったんです。お昼時になると男子はみんな食堂に行くんですが、友達のいない僕は教室で一人寂しくお弁当を食べていました。
高田:女子の集団の中に男一人というのはきついですね。
船引:僕が弁当をパクついていると、教室の入り口から元気の良い他のクラスの女子が入ってきて、「うわっこのクラス女子ばっかりやん。男子全然いてへんやん!」って大声で言ったんです。
高田:ベリーハードな思い出ですね。
船引:その女子は、それを言った直後に僕の存在に気づいて、お互いに気まずい思いをする羽目になりました。人生であんな気まずいことってなかったかもしれませんね。
高田:武田さんはなぜニヤニヤしておられるんですか?
武田:でもそれって逆に言えばチャンスですよ。考え方を変えればこんなにオイシイ状況もないわけで。
高田:そこで船引さんの取られた行動とは?
武田:当然かましてくれたんだよね?
船引:非常階段を使って屋上まで上り、ただ空を見上げました。完全に心が折れてしまいましたね(笑)
武田:聞くも涙、語るも涙だね。
船引:そういうのを日記に書いていました(笑)
武田:それは人生の宝物だね。
高田:武田さんはどうだったんでしょう?
武田:僕も彼によく似ていますね。小学校の頃は、たくさん友達のいるタイプだったんですけど、段々と減ってきて今で言う“陰キャラ”と呼ばれる感じだったと思うんです。でも高校時代、楽しい思い出もあるんですよ。
高田:よければ教えてください。
武田:卓球部に入っていたんですけど、どちらかといえば緩い部活で、部活が終わった後、先輩たちとホワイトボードとそれ用のペンを持ち寄って、みんなで大喜利大会みたいなことをしていましたね。
高田:やっぱりお二人のお笑いルーツっていうのは、大喜利になるんですね。
(後編 へ続きます)