●2017年アニメ邦画ベスト10が明らかに!
破壊屋ギッチョさんが2017年アニメ邦画ベストの投票企画を行なっておりまして、先日その結果が発表されました。
破壊屋ブログ|2017年のアニメ邦画ベスト30(Twitter投票を集計しました)
私も参加させていただきまして、昨年末発表させていたベスト108の中から邦画アニメを抽出した以下を投票させていただきました。こんな感じ。
1位ソードアート・オンラインオーディナル・スケール
そして、Twitterで参加された113名による投票の結果がざっとこんな感じ。
破壊屋ギッチョさんのところでは28位までが発表されております。
1位:夜は短し歩けよ乙女
2位:夜明け告げるルーのうた
3位:きみの声をとどけたい
3位:ガールズ&パンツァー最終章第1話
5位:ソードアート・オンラインオーディナル・スケール
6位:響け!ユーフォニアム届けたいメロディ
7位:BLAME!
8位:ノーゲーム・ノーライフ ゼロ
9位:Fate/HF
10位:はいからさんが通る
いやぁ・・・面白いですね。
手堅く湯浅監督作品がワンツーフィニッシュを果たしているところや、実際に自分が見て質が高いと思った作品が上位に食い込んでいるところに感動しました。自分のベスト10に挙げていない作品も多々上がってますが、いずれも私も「良い」と思った作品が多かったので全然納得の結果なので、尚更感動してます。
日本のアニメーション映画って、キッズ映画や深夜アニメ映画、さらにはオリジナル長編作品などという細かい分類ができる上、その中で観ている層が分かれているので、“アニメ映画”、ましてや“邦画”という切り取り方で投票が行われる機会ってなかなかないので、興味深い結果です。「名探偵コナンから紅の恋歌」や「メアリと魔女の花」、「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」などの2017年の興行成功作や話題作こそメディアではスポットが当たるのですが、どうにか湯浅作品といった長編オリジナル作品にもスポットが当てられる方法があれば・・・と思っていたので、今回の様な企画はそんな問いへの答えにも感じました。
●「夜は短し歩けよ乙女」や「きみの声をとどけたい」の大健闘!
せっかくなので結果の細かい注目点を挙げていきますね。
まずは湯浅作品。
2017年に連続公開された、湯浅政明監督の長編映画2作品「夜は短し歩けよ乙女」と「夜明け告げるルーのうた」が見事1、2フィッシュを果たしたのですが、その順番が「夜は短し歩けよ乙女」が上に来たのが面白いところ。
オリジナル作品であり、アヌシーのクリスタル賞を受賞した「夜明け告げるルーのうた」こそ、プライズとしては大きく話題になっていたり、結果的に言及される量が多かった印象が強いのですが、今回の投票では「夜は短し歩けよ乙女」の方が支持を得たようです。
単純に興行成績ではこっちの方が上なので必然という見方もできるのですが、個人的には映画の中身としても「夜は短し歩けよ乙女」の方が完成度が高いと感じているうえ、制作順序としては「夜は短し歩けよ乙女」の方が「夜明け告げるルーのうた」の後なので(公開順序は「夜は短し~」の方が先)、単純に後に作った作品の方が良いものができた例とも言えるんじゃないかなぁとか思っています。必ずしも興行の差とも思えない結果ではないでしょうか。
また、第3位の「きみの声をとどけたい」の大健闘にも感動。
話はすっごく地味だし、高い興行結果を見せたわけではない作品なのですが、声優アイドル育成企画の挑戦的な一面や、作品自体も素朴なりにメッセージ性のある良い映画だっただけに、“もっと評価されて良いのに”という作品でした。
ですが、まさかこういう形でその評価を可視化できると思っていなかったのでびっくりです。
「きみの声をとどけたい」がちょっと報われてくれた気がして良かったです。
加えて同率3位の「ガールズ&パンツァー最終章」の他、「ソードアート・オンライン」や「ノーゲーム・ノーライフ・ゼロ」、「響け!ユーフォニアム」などなど深夜アニメ作品が上位にランクインしているのも印象的。投票している層が、そういう深夜アニメを見ている人が多いんだろ・・・という見方もできるのかもしれないですけど、そもそも最近の深夜アニメ発映画って非常に上質になってきております。そういった深夜アニメ枠の中でも、特にしっかり工夫が凝らされてたり、狙いがうまくキマっていたバランスの良い映画が上位に食い込んだ印象があります。深夜アニメ映画でも「傷物語」や「ごちうさ」といった興行結果でこそある程度の数字を見せれた作品が、TOP10に入って来てないところなんかが、その差なのではないでしょうか。(それが駄作という意味ではないんですが癖が強すぎる作品なのです。)
ひとつ残念なのはキッズ向け映画が上位に出てこなかったこと・・・ではあるんですが、個人的に2017年はキッズ向け映画はやや不作気味の印象もあったので、この結果はこの結果で納得もできたりします。2017年公開作のキッズ向け映画でプリキュア、アンパンマン、ドラえもん、しんちゃん、しまじろうなど、いずれも駄作ではないけど、傑作・秀作と言える域に及ぶ作品ではありませんでした。しんちゃんなんかで「引っ越し物語」や「ロボとーちゃん」ぐらいの秀でた作品が飛び出す年だったら結果も変わってきたかもしれないので、やや惜しいです。「ドラえもんの南極カチコチ大冒険」が惜しいと感じた一作だったので、14位という数字が逆にリアルでした。
(ちなみに私がシリリを9位に入れてるのは過去作イースターエッグという超私向き企画を支持しての票なので、出来とはやや違うイリーガルな感じの補正がかかっております。)
今回の結果を観て、IP人気の補正を抑えて、作品の高品質さみたいなものを可視化することが可能という発見があったのは非常に大きいです。
これがまた投票人数が拡大してくると結果は変わってきたと思いますし、アニメファンよりも映画ファンが多いであろう破壊屋ギッチョさんのフォロワーさん周りが投票の中心となったのも大きかったかもしれません。日本のアニメ映画の真実の順位というわけではないんですが、今回の様に興行結果やIP人気とは切り離してオリジナル長編作品などの作品が評価されやすい場っていうのはあっても良いのになぁと改めて痛感させられる企画でした。
改めて、破壊屋ギッチョさん、面白い企画をありがとうございました。
私は非常に有意味な企画だったと思っております。
今後のご活躍に期待しております。
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