まだまだ書くことが盛りだくさんの第4回新千歳空港国際アニメーション映画祭話。
今回のメインの企画とも言えるプログラムに参加してきました。
夜明け告げるルーのうた
(爆音上映)
公式サイト:http://lunouta.com/
と
DEVILMAN crybaby
トークイベント
を観てきました。
こちらの企画は「ルー」の上映と、「DEVILMAN crybaby」についてのトークイベントの2部構成となっておりました。
「マインドゲーム」爆音上映こそ、端の席なんかは空いてたりもしましたが、こちらの企画は満席でした。限界になるまで順にお客さんを入れていたようで、整列が遅かったため、並んでいたものの来場出来なかった人も居たようでした。
プログラムはまずは第一部の「夜明け告げるルーのうた」の爆音上映からスタート。
「夜明け告げるルーのうた」については過去にも、このブログでも何度か言及していたものの、レビューという形では記事を書いていなかったので、今回爆音上映の感想の前に、この映画自体への私の感想を書いておこうと思います。
本作を観た感想をざっくり一言でいうと
すっげー!!・・・けど
という、驚きはある一方で気になるところもある感じだったりします。
この微妙な感じの部分もあって、集客も微妙な状態で応援はしたい一方、嘘はつきたくないので公開時はレビューを書きにくかったりしました。
もうちょっと詳しい感想を描いていきます。
●線や形の動きに感動する圧倒的アニメ力!
アニメ力(りょく)といって伝わるかどうかわからないのですが、もしそういうステータスがあるのならこの映画ってその部分がすごく高いのではないか・・・と感じる映画でした。
具体的に言うと、本作“画が動いていておもしろい”“画が動いていて気持ちいい”そんな、衝動に駆られるような映画なのです。
映画を観てるとまさにこんな感じで、脳みそが覚醒するんですわ!
序盤の重要なシーンとも言えるルーとカイが一緒に夜のお散歩をするシーンの様な、写実性が高くおセンチな気持ちになる情緒的なシーンに感動する・・・様な、この類の感動は、例えば新海誠監督の「言の葉の庭」でも感じました。
ただ「夜明け告げるルーのうた」はそれとは別に、冒頭で人魚のルーが歌い出してタイトルが出るシーン(ここ本当に最高。今年のベストタイトルシーン。)や、中盤のみんなが骨格がありえないぐらい動くダンスシーン、さらにはクライマックスの水がすごい勢いでうねり溢れるシーン。
感傷的なものがあるわけではないのに、線や形がダイナミックにメタモルフォーゼするところに、なぜか感動してしまうのです。
・・・この感動こそが「夜明け告げるルーのうた」のアニメ力の賜物なのかな、と思う次第です。
この感動って、ちょっと他のアニメーションを観ていてなかなか感じれないもので、しかもその感動の量がハンパない大きさなんですよね。ここ一つとっても、やっぱスゴイ映画なのは間違いないと思います。
●ただ、気になるのはストーリー面!
画の部分では圧倒的な尖り方をしている一方で
気になるのはストーリー面。
この部分ところどころ、気になる点がちょいちょい出てくるのです。
主人公のカイが自分から殻を突き破るとも言い難く、そもそも明確な壁を乗り越える葛藤が描かれなかった・・・もしくはうまくなかったので、私は正直、クライマックスの“あれ”はちょと感動には至らなかったりします。また、そのシーンに近いところにあるおじいちゃんのある行動だったり、遡って中盤のシーンで特定のキャラクターが“いつの間にか捕まっている”問題、さらにはルーのパパが中途半端にバレてるのかバレてないのかそのラインがストーリー展開でブレブレすぎるところだったり、
随所のディテールがお世辞にも上手いとは言い難い出来だったように思っています。
あとYUKIさんの曲が入るところも私は正直乗れなかったです。
というのも他のシーンが画と音楽が絶妙に合いすぎる分、YUKIさんの曲が入るシーンだけやけに、曲のテンションと起こってることが伴っている感じがしちゃいました。音楽の使い方が違うせいだと思うんですが、ギャップが激しすぎて、いまいちに思いました。
この映画は基本、音と画の相性はバッチリなんだけど、YUKIさんの曲のとこだけは端末から流してる体なせいかなんか違うのよね。
●爆音上映としての感想
・・・で改めて、二回目のスクリーン鑑賞となった爆音上映としての感想は、「マインド・ゲーム」の爆音上映でピンと来なかった分、最前列の中央スピーカーの真ん前の席が空いていたので、あえて挑戦的にそこに座ってみたのですが・・・
ぶっちゃけそこでも、いまいち爆音感は感じませんでした。
というか爆音という言葉に音楽ライブなんかの音の波動を感じるぐらいのものをイメージしていたのですがさすがにそこまで大きくなかったですね。爆音と言うからには、ものすごい音を期待していたのですが、やはり鑑賞の邪魔になるほどの音量にはさせてない適切な音量としての最大限を狙っているのか、直前直後で通常の音量と比較でもしない限り、私みたいな耳音痴には良さが分からないような贅沢な上映なんじゃないかと思いました。
音に対して悪い印象はないんですけど特筆して良い印象があったわけでもなかった気がします。
ちなみにルーパパ役の篠原さんの声は機械加工する予定が、地声で問題ない出来だったので加工の必要がなくなったそうです。(湯浅監督談)
そんな感じで、好き勝手言ってしまいましたが、今年のアヌシー国際アニメーション映画祭で最高賞を受賞したし、逆に苦言も言いやすくなったということで(酷い)、本作を観た後にモヤモヤしていた部分をこの記事で吐き出しておきました。
そんなモヤモヤも贅沢なぐらいスゴイ映画とは思っているのは確かなので、まだ観ていないという人は是非DVDなりをレンタルしてチェックして見てください。苦言を呈してはいますが、そういう次元を超えてひとまず観とくべき価値のある一作としてオススメです。
そしてイベントは第二部の「DEVILMAN crybaby」トークイベに続きます・・・
(明日に続く)
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