
「書きます」と言いながら時が年を跨いでしまった話題なのですが
吉浦康弘監督作品「イヴの時間」について今日は書こうと思います。
皆様は「イヴの時間」という作品をご存知でしょうか!?
Wikiからの引用でそのまんまざっくり説明しちゃうと
2008年の夏よりインターネットで公開された、1話15分の
全6話からなるアニメーション作品。
2010年にはそれをまとめて映画として劇場公開されました。
この作品が非常に
すごい!
が詰まっているのですよ。
それを今回は紹介したいのです。
近未来物作品の金字塔として「攻殻機動隊」という作品がありますが
そういったサイバーパンク作品に見られる過激さを抑えて
近未来が抱えるであろう世界を描いています。
アンドロイドが世間一般に浸透してきた時代。
まだ、アンドロイドをどういう存在と見なしていくか議論が
完結していないような社会の中で、普通の少年が
ささやかに社会と抵抗していく喫茶店「イヴの時間」で
その時代が抱えている問題をマクロな規模ながらも知っていく物語。
日常作品的に物語を描いてくれているので
ガシガシ動くようなアニメが苦手な人も、
気楽に楽しめる作品だと思うのです。
その敷居の低さがまずすごい!
そしてアニメとしての作り方も一工夫も二工夫もされています。
こちらのインタビュー記事で監督の吉浦康裕さんが述べているのですが
本作の舞台となる喫茶店“イヴの時間”は3DCGで描いているとのこと!
私、このインタビューを見るまで気づきませんでした。
中でもここに注目。
特に屋内は人間の身長と比較して大きさが決まっているものが多いじゃないですか?
だからちょっと高さが違っていたりすると、あっという間に画が破綻しちゃうんですね。
ですから構図に関して言えば、3Dで数学的に計算して作り出すほうが圧倒的に楽です。
さらに『イヴの時間』を作るにあたっては欲を出して、
どうせなら絶対に手描きで描けない背景にしようと思いました。
(リンク先より引用)
なんて、作戦的に考えられたアニメなんだ!!
舞台となる場所を喫茶店に絞ったり、喫茶店をどういった構成にしたのか、
もろもろを知って本作を見ると、余計に驚きを感じます。
練りに練られて作られた本作はまさにすごい計画性に
包まれた作品なんだなぁと実感致します。
そして00年代といえば、
平面的な手描きアニメに違和感バリバリの3DCGが乗るようなアニメが
TV、映画問わず多く見られた時代でした。
(今でもたまにありますが)
私はこの違和感がすっごく気になって気になってしょうがなかったのですが
本作はいち早くその違和感を汲んだ作りになっているという意味でもすごい!
唯一、3DCG効果が平面から浮いたように見える使い方が本作にあるのですが
それはアンドロイド達を人間と区別するための頭のリング!
まさに私が今まで他のアニメで抱いていた違和感を逆手に取って、
アンドロイドを決定的に異質な存在とわかる表現方法として
使っているんです!すごい!!
半ば強引な説明になってしまいましたし
派手なアクションもなければ、
元が短編の連作なので、劇場版サイズで見るとややダレる人も居そう・・・
とも思っていますが、「イヴの時間」はいろんな意味ですごい!
作品だということを皆様に少しでも知っていただければ幸いです。
そしてなにより本作を作った吉浦康裕監督って
かなり覚えておいて損はないお名前だと思うのですよ、皆様。
「イヴの時間」だけでなく、
その前に作っていた短編「水のコトバ」にしても
近年の長編作、「サカサマのパテマ」にしても
キャッチーさに気を配りながらも挑戦作を作ろうという
気概が感じられる作品ばかりです。
今後もどんどん名を上げていく監督だと思うので
これからアニメ映画を追求していこうという皆様、
要チェックでございます。
(ちなみに最新作「アルモニ」はまだ見れてません。サーセン。)
そういえば全6話分がファーストシーズンってことになっているので
「イヴの時間」のセカンド・シーズンがいつ作られるのかも気になります。
アルモニ コレクターズ・エディション [Blu-ray]
イヴの時間 オリジナル版 スペシャルプライス版 [Blu-ray]
サカサマのパテマ 限定版 [Blu-ray]
アルモニ コレクターズ・エディション [DVD]
イヴの時間 1巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)
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