恋は二度目のアネモネ -12ページ目


それ以外何も見えなくなってるきみの、
目の奥の暗い光に欲情する。
冗談じゃない、と思いながら
境界を失うの。
途端に何もかもがどうでもよくなって、
一瞬、すべてのものを嫌いになる。
冗談じゃないわ、って
馬鹿馬鹿しくなるの。


底のほうに沈んでる。
かきまぜてほしいよ。
すてきなことを、思い出したい。


傷ついたり悲しんだりは、
好きじゃないとできない。
いつのまにかそういうものを通りすぎて、
もう虚無と反復しか残されていない。
こういう事象に、
名前があるなら呼んでみたいよ。
もしもし。
ネイキッド。
わたしが孕んだのは、
あなたの子じゃないわ !
とか、なんとか。

驚き
憤り
怒り
そのあと少し後悔して、
それでおしまい。
とても簡単だし、
シンプルだ。
わたしはいつまでも幸せに暮らします。


目をつむると、
たちまち情景がひろがる。
思い通りにいかないことのほうが、
面白いって思うの。


















明るいところでわたしを見ないで。
いつでも少し、
夜にまぎれていたいのよ。
音楽と歌声。
きみにとける哀愁が、
わたしの後ろ髪をそっと引く。
今日もまた、
あこがれが胸をしめつける。
このまま帰れない。
どこへも行けなくなってしまう。
絶賛熱愛中のきみは、
肌にわたしをにじませて、
前後不覚になってしまえばいいよ。
赤と緑のジャケット。
煙草の馨。
細い指。
せつないほど憎らしいの。

船上のつづきで、
まださめない夢の途中。
火加減も疎かになるほど、
愛されていたいのだ。


楽しもうともしないくせに
楽しくないなんて、
そんなことわたしは言うまいと思う。
自分がつまんない人間だから、
他人も世界もつまらなく見えるんだよ。
って、
わたしは、
思う。
別にどうでもいいけど。
わたしは、
面白がって、
軽薄に、愉快にいたいな。



ジャズで歌い出す。
オンステージじゃなくても、
月明かりの下で板付。
きらきら
まぶしくて何も見えなくなるの。
あなたも。
きみのことも。














船上で、
大人のお遊び。
皮肉とあこがれが混在する。
ああ、でも
夜はきれいなことばかりだ。


潮風と海の馨。
ハナレグミが、
赤レンガで歌っていた。
いいなあ
こんなところで歌えるなんて。
きれいにつるりんとなんて、
忘れられるわけがない。

わたしたちは、
いつも冗談ばかり言って、
千鳥足。
不真面目でごめんなさい。
だけど、
同じ言語で話せるのは、
あなただけなのだ。
おもちゃみたいなワインを飲んで、
面白がるの。
この世の、きどったあらゆる事柄を。


お洒落だね、は
ちょっと嘲笑が含まれてる。
場合が、
あるわよね。
どうでもいいけど !


性に合わないことをはじめてみようとして、
ツイートをしてみた。
ツイッター。
短歌でも口ずさんでみようかしら。
思いっきり馬鹿馬鹿しいやつ。


またもや
気まぐれが、
片目を覚ます。
わがままなわたしの猫。
しっぽを振ってたかと思うと、
踵を返して知らんぷりする。
ぜんぶどうでもよくなるくらい、
自由だ。
赤ジャケットのきみは、
死線をくぐりぬけながら
今夜わたしを奪いに来ればいいよ。
いかがわしい船に乗って、
この浮世から逃走しよう。

なんてドラマチック!





いたがる
板がる
痛がる
イタガール
居たがるよ。
きみもわたしも。


子宮の中で
線香花火が燃えてる。
ぼうぼう燃えれば燃えるほど、
凍えそうなくらい寒い。

きみはどこへ泳いで行ったの。
どこまで行っても結局、
行方知れずの恋なのだ。


本当のことは、
ここにもあそこにも。
とびきり美味しいものは、
あなたと食べたいよ。
北極星を食べるのに、
途方もない時間がかかったあの頃。
何だか泣けてくるほどに、
かわいくて、せつない。


安心感とか、
穏やかさとか、
いらない。
とびきりの、
とびっきりの、
心臓の形が変わるくらいの、
そういうのじゃないと嫌なのよ。


ああ
なんだか、
急につまんなくなった。
でもわかってる。
わたしの分泌物のせいだって。
とても理性的。
腸内で、セロトニンが足りないの。
ヘルプ !












どうやらかいかぶっていたようだ。
つまんないや。
とかなんとか。
だけどやっぱり、
からだじゅうから
きみの馨がするの。

いまわたしは、
どんな形をしているんだろう。
わたしも知らないことを、
きみは知っている。
輪郭をなぞって、
ビスケットみたいにかじる。
がりがり。
もう少しで、おそらく切れてしまう。


電車に揺られながら、
綱渡りのような日常をふり返れば、
ときめいた記憶と、無邪気な反応が浮かぶ。
瑞々しくて、若い。
現実はいつも少しちらかっているけど、
真新しいシーツを
あなたが1人で頑張ってかけたのかと思うと、
可愛くて笑ってしまうのだ。


昔ふうのラベル。
シーリッジ。
ピノノワール。
とてもおいしいの。
大好き。

一日のおわりに、
すてきな何かが起きる。
静かな夜。
きみに会いたい夜。
炭酸水の泡のすきまをぬって、
月がそよそよ泳いでゆくよ。

ああ。
恋はいつも、
うたかたの夢のなか。