恋は二度目のアネモネ -11ページ目






言葉を選んで、とあなたは言う。
だけどそれは、
もはやあなたが言わせているに他ならない。
わたしは言葉を選ぶ。
たくさんの言葉を使う。
犬だって3回言われたら理解するほど、
丁寧に、わかりやすく。
それを受け取らなかった結果がこうなのだ。
受け取らないならそれでいいの。
さようならの速度は、
もう星の瞬きのよう。

だけど
ねえ、だけど。
だけどあなたが、
あなたが。
あなたがわたしのそばにいたいんでしょ。
ろくでもない。
愚かものだ。
あなたも、わたしも。


愛することは信じること。
でも今わたしは、
恋人も家族も友人も、
なんにもひとつも信じていないのだ!

厭世も博愛も、
気まぐれにおとずれる。
この感情。
感傷。
脳内の分泌物。
ほんとうのことなんて、
誰もわからない。

怒ったり、悲しくなったりしているうちは
まだまだまだまだ平気なの。
恐ろしいのは、
関心がなくなってしまうことだ。
だってそれって、
その人はもうわたしにとって、
この世にいないのとおんなじだよねえ。



人を殺すのは感情だ。
お願い。
わたしにあなたを殺させないで。


そこはかとなく、
わたしをがっかりさせるきみも。
まぁそれはどうでもいいや。


ああ。
きっとわたし自身がもっともよくない。

愚かでいやんなる。














ときどき会って、いつもへべれけになる。
君とのお酒は楽しいの。
他の人とは少し違う角度で、わたしを好きでいてくれる。
君しか言わない口説き文句が、
面白くて嬉しくなるのだ。
特別なお友だちは、
恋人よりもレアかもしれない。
君が書いた官能小説を、
 わたしも朗読してみたいよ。



頭の中で、
わたしの餌食にされていることを、
あの人はきっと知らない。
否、
ぜったいに知るわけない。
シミュレーションゲームみたいなものなの。
妄想の中のあの人は、
あんなことして、こんな台詞を言って、
わたしのことを愛してやまない。
そういう変態めいたことをしながら、
涼しい顔でご挨拶する。
「こんにちは」
誰も知らない。
誰にもわからない。

わたしは邂逅を秘密裏に演出する。
水鳥のような歩調で。
一歩、
一歩。
感触を思い浮かべながら。
舌舐めずりしながら。
ぜんぶかきまぜて、
食べたい。
きみの恋も、可愛さも、ずるさも、知性も、馬鹿馬鹿しさも。


あなたから離れれば離れるほど、
どんどん溢れていく気がする。
細胞のひとつひとつから、
シナプスの切れ端から。
意味もなく見つめたり、
そんな無責任なことがしたくなる。

正しいの反対は、別の正しいだ。
あなたもそう言って笑うはずだよ。














ブラックスワン。





美しすぎて、息がとまりそう。



久々に観てみたら、
初めて観たときより感動してしまった。
ナタリーポートマンと音楽が、
言葉にならないくらい美しい。
こういうものを見たかったの。
って、そう思う。

3回目にリピートしたときも、
少しも色褪せることなく、
ときめきとあこがれが、
胸に押し寄せる。
ああ、
こんなふうになれたら。
って、
うっとりしてしまう。
どんなものを見て暮らせば、
そんなに美しくなれるのか教えてほしいよ。



あっちがうまくいくと、
こっちが絡まる。
そんな真夜中で呼吸をしている。
体はひとつなのに、心は数えきれない。
それはやっかいだけれど、
誘惑したり、されたり
余韻を愉しんで暮らしていきたいと思う。


















ちらちら、
まぶたの奥にちらつく。
光を放つ水面ときみの輪郭が、
一夜の夢だったみたいに浮かぶの。


細胞がひらくたび、
頬も胸も足も、
わたしの体はどんどんやわらかくなる。
変わらないものなんてない。
変わっていくことを自覚しながら、
あの水面よりあからさまに揺れている。


いろんなことを、
うまくのみこめたらって思うけど、
きっと、
そんなの何も書けなくなってしまう。
わたしのアイデンティティ、なんて、
そんな大げさなことを言うつもりはないけれど、
嘘をついたり愛したりしながら、
これからも、
ききわけのない自分を甘やかしたい。



















昔の鳥肌実は、
それはそれは格好よかった。
時の流れと、
脂肪は残酷だ。



ぐさりと、ひと突き。
ひとりになる覚悟はできている。
わたしの臨戦態勢は、健在だ。
腕に浮き出た玉の汗が、
宇宙みたいに見えるの。


お金をもらいながら
本を読める環境は、
おそらくそれほど多くはないだろう。
ああ、
テロメアを止めたい。
脳だけ、どんどん発達したいの。
何でも知ってる人って面白いから、
自分もそうなりたいって思うけど、
わたしはそれほど利口ではないから、
いつだって穴だらけだ。
教えて。
教えて。
わたしの知らないこと。
自分が広がる誰かと遊びたい。


好奇心がゆれてる。
わたし、まだ三日月だ。