
【Nコン2024】ドラマのワンシーンを見たような思いがした中学校の部

部活動の「地域移行」に向けての明るい道標
ちょっと間があいてしまいましたが、中学校の部の感想を。
今回のNコンで全部門を通じ、一番話題になったのが中学校の部ではないでしょうか。
北上6校合同チームが指揮者なしの23名で挑んだ全国コンクール。
結果は見事金賞。
史上初の指揮者なしでの金賞、合同団体でも史上初という快挙でした。
北上6校合同チームとは❓️
この北上6校合同チーム。
岩手県北上市立上野中・飯豊中・南中・東陵中・北上北中・北上中の6校の生徒からなる合唱団。
母体は1999年発足の北上ミューズコーラス隊。
指導者の中には黒沢尻北小の顧問の中野美由紀先生もいます。
全国コンクールではNコンの規定で指揮者として参加できないので、譜めくりとして参加されていました。
その黒沢尻北小の児童の進学先の北上市の9つの中学校には合唱部がないという問題がありました。
合唱を続けたくても続けられない中学生たちは、この北上ミューズに籍を置くことで2022年から活動を開始。
ただ、校外部活動として認める学校と認めない学校があり、練習時間を調整するのにとても苦労したとか。
北上地区の地区センターで週3回、午後7時~9時まで練習を行っていますが、学校によっては10キロほど距離があるので、保護者の送り迎えも大変だったそうです。
2022年はNコンの合同参加の規定が2校までだったことで参加できなかったのが、2023年の規定改正で合同参加校数の上限撤廃。
晴れて5校合同参加、そして今年は6校合同での参加、見事全国金賞に輝きます。
詳しくは、NHK岩手放送局の記事もご覧ください。
奇跡のような瞬間
昨年の更新で「奇跡のようなシーンがNコンのステージで生まれることを期待せずにいられない」と書いていましたが、今年その奇跡のような瞬間を見たような思いがしました。
歌い出しから明るく透明感のある歌声で、まるで歌詞の世界が目の間に広がっているかのよう。
僕らに待ち受けている 出来事の全てが宝だ
このフレーズはこの中学生たちが乗り越えてきた道程のようにも思えました。
終盤、目配せでタイミングを合わせる姿がありました。
昨年の明道中の課題曲中の目配せが印象的でしたが、北上6校合同チームは演奏のタイミングを合わせるために目配せをしていました。
このタイミングを合わせるための目配せが、再び課題曲の歌詞の世界と見事に合致し、
僕らはいきものだから
降り注ぐ 悲しみだってある
でもね それもいつか晴れ渡る
そう だって僕らは
彼らが置かれている状況と全国コンクールのステージで歌う姿とのシンクロは、ドラマのワンシーンを見ているかのような思いがしました。
僕らはいきものだから
変わってゆこう 心も身体も
さよならだって繰り返す
変わりゆく僕らが美しいのです
息をする僕らが愛おしいのです
ぜひ来年もこの快挙を追い風に、仲間をもっと増やして参加できることを願っています。
学校単位のNコンは近い将来に見納め❓️
今後、全国的に急速にクラブ活動の地域移行が進みます。
おそらく、現在の形態の学校単位のNコンもあと何年かで見納めになるかもしれません。
今回の出来事は、地域移行に向けての明るい道標になったかもしれません。
なお、今年の全国コンクールの演奏はNコンon the Webで公開中です。
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【Nコン2024】クドカンの課題曲「かわっただけだよヘンじゃない」の魅力

クドカンの課題曲が想像以上にスゴかった
今年は小学校の部ばかり振り返っていますが、課題曲についても振り返りたくて更新します。
今年の課題曲の作詞は宮藤官九郎さん。
初演の時点では、「意外におとなしい❓️」という印象でしたが、初演が余計な装飾をしていないことでそう感じただけで、全国コンクールはスゴかったですね。
過去イチの創作系課題曲❓️
Nコンのホームページで作曲の大田桜子さんが
「みんなで作っていってほしい」
「自発的にいっぱい考えて作ってほしい」
というアドバイスがありましたが、私の想像を遥かに超えてた工夫が満載でした。
私の記憶では、歴代の課題曲の中で明確な指示がないのに、ここまで振りが多かったのは歴代1位じゃないでしょうか。
こんなに楽しい課題曲、今までありましたか❓️
全部の学校が同じ楽譜を使っているって信じられます❓
これは参加校の皆さんが育てた課題曲とも言えると思います。
講評で金田さんが「コンクールを忘れて、コンサートや歌の祭典のようだった」「声が明るかった」とおっしゃっていましたが、まさにそれで、共感しっぱなしでした。
いっそのことセリフも各地方の方言でもいいんじゃないかとも思いましたが、さすがに出てきませんでしたね。
大田桜子さんのアドバイスによると、そこらへんも自由のようなので。
地域の方に向けて演奏会をやるときとかは方言でやってみてもいいんじゃないでしょうか。
「雨 運動会は 延期かな」
この部分の振りはハッとしましたね。よく思いつきますねぇ。
振りというより、練習していく中で自然に生まれたものなのかもしれません。
それを取り入れたという感じなんじゃないかと推測します。
ちょっと雨乞いみたいになっている学校もあったのはご愛嬌😅
「ヘンかなあ」
「ヘンかなあ」で気に入ったのが聖ドミニコ。
「おお、そうきたか」と。一番リアルに近い気がしました。
2回の「ヘンかなあ」の音色をしっかり変えてました。
一番の聴きどころは「わかってほしいの」
この部分の平山の「わかってほしいの」が絶妙すぎて鳥肌が。
「わかってほしいの ぼくたち まだ途中」というフレーズが、実はこの詩の主題を一番表している部分だと思うので、余計にグッとくるものがありました。
最後の「あぁー」
この部分を明確に制作意図を説明されたことがあったのかがわからないのですが(ひょっとしたら講習番組でやったのかな❓️)、ここも学校ごとに大きな差がありました。
私の中では運動会が延期かもしれない雨がいつの間にか上がったことへの気づきの「あぁー」かと思ったのですが、各学校はどういう気持ちでやったのかが気になります。
ここに振りを持ってきた学校もいくつかありました。
自発的に考えて表現する合唱への“チェンジ”
Nコンは100周年への10年が始まりましたが、キーとなる流れは「自発的に考えて表現する合唱」ではないかと思います。
表現だったり、音色だったりを工夫し、ときには振りを取り入れて、楽曲の最良を考え、導き出す合唱。
今年の小学校の部はその100周年に向けての1年目としては満点の滑り出しだと思いました。
来年の課題曲も楽しみです。
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【Nコン2024】結局、どちらの「鮎の歌」が好みだったのか❓️

「鮎の歌」どちらが好みでしたか❓️
ちょっとしつこいかもしれませんが、全国コンクールで「鮎の歌」が2校も聴けるなんてことはそうそうあることではないので、結局どちらの学校の「鮎の歌」が好みだったのかについて書いてみたいと思います。
「鮎の歌」が令和の全国大会で聴けたという尊い“事件”
まず、2校の先生方と子どもたちに感謝です。
こんなに感動的で極上な「鮎の歌」が聴けて耳が幸せでした。
2校とも子どもたちが自身で考え、どう表現したいのか、その想いが隅々まで見えました。
先生方もこの選曲はある意味挑戦だったのではないかと思います。
地区大会の音源しか聴けていませんが、どちらの学校もまだ発音を発語にまで落とし込めてない感じがややありましたが、全国コンクールでは情景が目に浮かぶような表現に脱帽でした。
2校の「鮎の歌」を比較する
2校の特色をひと言で言えば、「表現の平山」「美声の黒沢尻北」だと思います。
平山小学校の「鮎の歌」
まず平山に関しては、学校紹介で「鮎の歌」を細かく研究されているのがよくわかりました。
歌詞の舞台を絵にしたり、鮎の歌マップ、薄紫色のイメージ(?)、登場する川について等、さすがです。
あと調の変化も部員たちで共有しやすいように「ヘ長調:平和、やさしい」「ト長調:活発、明るい、少年」等、書いてありました。
課題曲だけしか紹介されませんでしたが、練習法も的確でしたね。
身体全体を使って音楽を表現する練習(これはどこの学校もやってほしい)は、課題曲中の振り付けがそのためだけにつけたわけではなく、日頃の活動から生まれたものだということがわかりました。
音階唱や母音唱も創立間もない合唱部にとっては基礎力をつけるのにはピッタリです。
「鮎の歌」の中で1点気になったのが、伴奏はほぼ常に川の流れを表現していると思うのですが、速いパッセージの部分でブレーキがかかったようになるのが、発語を入念にすることを優先させたためなのか、個人的にはこの場面の鮎のしなやかな動きが途切れる感じがしました。
これは黒沢尻北にも言えることでしたが、先生方の強い意図があるのかもしれないので、あくまで私の感想です。
終盤をあんなに情感たっぷりで気持ち良さげに歌う演奏は初めてでした。
子どもたちの全身的共感がひしひしと伝わってきて目頭が熱くなりました。終結部の「うー、たー」の「うー」の部分をコンマ数秒少し引っ張った方が余韻が残る気がしましたが、これも好みの問題。
全体的に小学生らしいのに、小学生とは思えない表現の幅に舌を巻きました。
黒沢尻北小学校の「鮎の歌」
そして黒沢尻北です。結果は銅賞ですが、平山より劣っているとかそういうことはないと思います。
まず印象的なのがソプラノの美声。この美声を生かすためにこの曲を選んだのではないかと思うくらいしびれる美声でした。
そのソプラノですが、県大会の段階でやや一本調子に聴こえましたが、全国大会ではそんなことは一切ありませんでした。おそらく縦書きの詩をいま一度読み込み直したのではないかと思います。
この美声に対してやや低音部が弱いのかなという気はしました。音色を寄せるか数を増やすか、何かしらあればもっと魅力的に聴こえる気がします。全日本合唱コンクールでも「鮎の歌」だそうなので、今度は人数制限がなくなるのでさらに魅力的な「鮎の歌」になると思います。
速いパッセージの停滞感が気になるのは平山のときに書きましたが、黒沢尻北はややその部分が発語ではなく発音っぽく聴こえるのが気にかかりました。
「鮎の歌」には曲の頂点となる部分が2つあると思うのですが、1箇所目が「川をのぼることだけが鮎のいのち」、2箇所目が終結部。
1箇所目は鮎にとっては一生のピークの部分だと思うので、そこから短い一生の終わりに向けて鮎が動き出す部分につなぐには弱いのかな、という気がしました。
ただ、終結部の「鮎の歌」に関しては文句無しで、平山より好みでした。美声も生きたと思います。
ということで、想い入れが深い分、勝手な想いを述べまくりましたが、課題曲を含めてこの2校の演奏は聴きまくってます。
なんなら一緒に口ずさんだりもしています。
なので、どっちが好みだったのかというのは私にとってはナンセンスなことでした。
最後に…
最後に、先生にとっては古い曲でも、子どもたちにとっては新しい曲のはずなのにこれまで埋もれてきた名曲が再び日の目を浴びた今年の小学校の部は、今後も心に残ると思います。
しかも、小学校の合唱界を引っ張ているお二人の先生方による意欲的なチャレンジです。
昭和・平成の合唱OB・OGたちも大喜びだと思います。
本当に、本当にすばらしい「鮎の歌」をありがとうございました。
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