
【Nコン2025】想像以上の大阪万博とラップやゴスペルも登場した今年のNコン課題曲の感想
大阪万博がスゴかった😯
大阪・関西万博が始まって賑やかになった大阪で、私も早速大阪万博に遊びに行きましたが、すんごいのが出来上がってます。
ネガティブな報道ばかりでどうなのかなと思ってましたが、なぜ今までそんな報道になってしまったのかと疑問に思うほど素敵でした。実際に自分の目で確かめることは大切だと改めて感じます。
158カ国の展示が一同に揃って、その国の人たちとも触れ合えるイベントはなかなかないので、ぜひお子さんたちにこそ行ってほしいと思います。
私は今回は夕方のチケット(3,700円)で行きましたが、通期パスも買ことにしました。
ちょっと万博の宣伝になってしまいましたね。
そんなこんなで課題曲が発表されて随分経ってしまいましたが今年の課題曲を聴いての簡単な感想を書いておきたいと思います。

今年のNコン課題曲をどう聴いたか❓️
どこを聞かせどころにするか考えたい「あおい天使」
去年の創作系バリバリの課題曲とうって変わってスタンダードな合唱曲に戻った小学校の部。
ふんわりしたフレーズとふんわりしたメロディーなので、そのまま歌うと「キレイだった」だけで終わってしまいそう。
なので、思い切って山場を作ってどこを一番聞かせたいのかはっきりさせて色合いを変えるのもありなのかなと思いました。
「たからものは胸のおく~すてきなことばかりさ」を思い切り情感を込めて歌ったあとに、そこから終結部に向けてはアルト強めで空高くとんでいく感じを出してたら、くっきりはっきりとした「あおい天使」の像が浮かび上がり、印象的に終わりそうだと思いました。
ラップやゴスペルにまで音楽のアンテナを伸ばしたい「空」
今年のSKY-HIさんやBE:FIRSTさんを知らないので、一体どんな課題曲が生まれるかと思いきや、これまでにないタイプの課題曲が生まれました。
一度聴いたらある程度覚えてしまえるくらいキャッチーで、口ずさんでしまう課題曲だと思います。
今年は2019年の高等学校の部に続き、ラップが初めて中学校の部にも登場します。
難しいのはラップ部分が聞き取れないという審査員はほぼ間違いなく出てくるとは思うのですが、かといって声楽的なままでここをくっきりはっきり歌うと「何か違う」となってしまう。
だからこそこの部分だけでも何かしら声や表現の工夫が必要ではないかと思います。
そもそもラップ以外の部分も比較的に高音の連続で、特にソプラノの歌詞が聞き取れないという問題が起きてる気がします。
今のところ初演を含めていくつか歌ってみた系の動画を見てきましたが、クリアしてるものはないように思いました。
中学生たちがコンクールまでにどうやってクリアするのか楽しみです。
そして最後のゴスペル部分は、動きを揃えてほしくないというのを声を大にして言いたいです。
「ステップは右足から‼️手は胸の位置で揃えてね‼️」
とかに決してならないように。
YouTubeにもゴスペル動画はいくつもあるので、ゴスペルの雰囲気を盛り込んでください。
部活動だけでなく、大人になって合唱を続けるにしても、レパートリーとしてポップスを合唱曲として歌うのは今や当たり前になっていて、多くの人に感動を与える合唱とポップスの折衷点を模索することは決して無駄ではないと思います。
音楽の守備範囲を、アンテナを伸ばしてカッコいい課題曲に仕上げてもらえたら…
ミニ・ドラマを見ているかのような「惑星そぞろ」
今年、新しい試みとしてNコンMV部門が開催されますが、このコーナーに一番ピッタリなのがこの課題曲。
脚本家の野木亜紀子さんが手掛けたことで話題ですが、まるでト書きの連なりで構成されているかのようで、ドラマの脚本を読んでいるようでした。
おそらく、そのト書きたちの隙間には登場人物のセリフも隠されているのではないかと思います。
1連は主人公の視点。溶けるアイスを伝って2連は視点がアリに移る。
3連はドラマであれば主人公のナレーションベースになりそうな雰囲気。
私ならMVというかドラマを作りたくなります。
今年も東混が課題曲を「歌ってみた」
小中高のNコン課題曲を今年も東京混声合唱団が歌ってくれています。
中学校の課題曲は練習初日の15分くらいの練習ということですが、それでも形にしてくるのはさすがですね。
小学校の伴奏は課題曲作曲の上田真樹さん、高等学校の部の伴奏も課題曲作曲の名田綾子さんなので、伴奏の参考にもなると思います。指揮はいずれも作曲家の相澤直人さんです。
そして課題曲を歌ってみた演奏直後の感想部分もなるほどの連続なので、参考になさってみてはいかがでしょうか。
▲「あおい天使」
▲「空」
▲「惑星そぞろ」
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【Nコン自由曲】関根・湯山作品の人気曲「葡萄と風と赤とんぼ」の魅力
関根・湯山作品の人気曲といえば❓️
今年「鮎の歌」の全国金賞で話題になった関根榮一・湯山昭作品。
その中でも「鮎の歌」と同じかそれ以上によく歌われたのが「葡萄と風と赤とんぼ」。
Nコンでは「鮎の歌」と同じく最高が全国銀賞(「鮎の歌」は今年初の金賞となりました)。
盛んに歌われた昭和末期や平成初頭は、自由曲の制限時間が3分半だったので4分で歌える今、ゆとりをもって歌えると思います。
銀賞の演奏を少し振り返ってみると、
葡萄と風と赤とんぼ
作詞:関根榮一、作曲:湯山昭
▲島根大学教育学部附属小学校(平成2年銀賞)
▲北九州市立山の口小学校(平成元年銀賞)
▲大磯町立大磯小学校(昭和62年銀賞)
▲高松市立太田南小学校(平成4年銀賞)

「葡萄と風と赤とんぼ」の魅力
この曲の魅力は何といっても詩だと思います。
舞台は山梨県甲府盆地(峡東地域(山梨市・笛吹市・甲州市))。
「今は秋」と繰り返されるように、秋の甲府盆地の自然の美しさが描かれています。
その描き方がユニークなのです。
みどり小さい つぶでした
やがて葡萄に なりました
今は秋
丘の畑に かすみがおりてくる
▲5月のぶどうの実(NOSAI山梨ホームページより)
まず、葡萄の成長が描かれています。
緑色の粒から収穫前の秋の葡萄まで。
舞台は甲府盆地なので、朝夕の寒暖差があります。
この寒暖差が美味しい葡萄の生育には必要で、その寒暖差を利用して栽培されています。
ぶどうの生育に適している気候は、平均気温が10~20℃、1日の寒暖差が大きく、標高は200~400m水はけの良い土地が向いていると言われてます。甲州市の年間平均気温は約14℃。日照時間も長く、降水量も年間約1100mmと、ぶどう栽培に最適な気候条件を備えています。
(甲州市移住ポータルサイトより)
寒暖差が大きいことで霧も発生しやすくなります。
気象用語では「霧」と呼びますが、文学用語では「霞」と表現されることが多いです。
霞が葡萄畑にもおりてきます。
その霞が葡萄に問いかけます。
葡萄よ 葡萄よ
そのむらさきを
すこしわけて下さい
っておりてくる
むらさきの夢につつまれる
ふるさとの 葡萄の町よ
▲秋の山梨県の葡萄畑(文化庁日本遺産ポータルホームページより)
葡萄畑の紫色と霞の白色が混じり合った幻想的な光景が目に浮かぶでしょうか。
詩中では「むらさきの夢につつまれる」と表現されています。
雨にふくらむ つぶでした
ひかりこぼれる 房でした
今は秋
棚の木陰に 秋風吹いてくる
降水量の少ない甲府盆地ですが、葡萄の実の成長には雨が必須。
雨が多すぎても少なすぎても成長に良くないので、甲府盆地は成長にちょうどよい雨量と言われています。
今度は、秋風が葡萄に問いかけます。
葡萄よ 葡萄よ
あまい匂いを
すこしわけて下さい
って吹いてくる
なつかしく 風がながれてる
城あとの すすきがゆれる
夏から秋に移り変わる葡萄畑の葡萄の香りが、秋風に乗せて運ばれる光景が「あまい匂いをすこしわけて下さい」と表現されています。
空にいつもの 富士山が
雲のリボンを つけている
今は秋
ひとみ明るく みんなで手をあげる
「空に“いつもの” 富士山が」というフレーズも印象的で、この“いつもの”はぶどうの町をふるさととする人たちにとっての“いつも”を表現されているのでしょう。とりわけ後ほど紹介する子どもたちのことではないかと思います。
その富士山にかかる雲を「リボン」と表現しています。
最後にその人たちが葡萄に問いかけます。
葡萄よ 葡萄よ
すてきな時間を
すこしわけて下さい
って手をあげる
すみわたる 秋を赤とんぼ
うたごえを きらめく空へ
葡萄を収穫する様子を「みんなで手をあげる」「すてきな時間をすこしわけて下さい」と表現しています。
この曲はもともと山梨県の甲府赤とんぼ少年少女合唱団のために作られ、「葡萄と風と赤とんぼ」のタイトルの副題には「~赤とんぼ少年少女合唱団のために~」と記されていました。
おそらく、この「ひとみ明るく みんなで手をあげる」は、この子どもたちのことをイメージし、「すみわたる 秋を赤とんぼ」は秋空に飛び交う赤とんぼと、赤とんぼ少年少女合唱団のダブルミーニングではないかと思われます。
詩の最後は「うたごえを きらめく空へ」と締めくくられています。
「葡萄と風と赤とんぼ」の特番
この「葡萄と風と赤とんぼ」は、4年前のテレビ山梨開局50周年記念番組「葡萄と風と赤とんぼ」でも取り上げられ、甲州赤とんぼ少年少女合唱団の歩みと「葡萄と風と赤とんぼ」の誕生秘話が描かれました。
BS-TBSで放送されたときに見たのですが、とても感動的な番組で局の垣根を超えてNHKでも放映されたら良いのにと思います。
おまけ…
冒頭に紹介した島根大学教育学部附属小学校のOB・OGによる「葡萄と風と赤とんぼ」が素晴らしかったので紹介しておきます。
当時、リアルタイムで聴いていましたが、ソプラノの美声の子がとても印象に残っていて大好きな演奏でした。
当時を彷彿とさせる歌声に感動です。
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【Nコン2024】ドラマのワンシーンを見たような思いがした中学校の部

部活動の「地域移行」に向けての明るい道標
ちょっと間があいてしまいましたが、中学校の部の感想を。
今回のNコンで全部門を通じ、一番話題になったのが中学校の部ではないでしょうか。
北上6校合同チームが指揮者なしの23名で挑んだ全国コンクール。
結果は見事金賞。
史上初の指揮者なしでの金賞、合同団体でも史上初という快挙でした。
北上6校合同チームとは❓️
この北上6校合同チーム。
岩手県北上市立上野中・飯豊中・南中・東陵中・北上北中・北上中の6校の生徒からなる合唱団。
母体は1999年発足の北上ミューズコーラス隊。
指導者の中には黒沢尻北小の顧問の中野美由紀先生もいます。
全国コンクールではNコンの規定で指揮者として参加できないので、譜めくりとして参加されていました。
その黒沢尻北小の児童の進学先の北上市の9つの中学校には合唱部がないという問題がありました。
合唱を続けたくても続けられない中学生たちは、この北上ミューズに籍を置くことで2022年から活動を開始。
ただ、校外部活動として認める学校と認めない学校があり、練習時間を調整するのにとても苦労したとか。
北上地区の地区センターで週3回、午後7時~9時まで練習を行っていますが、学校によっては10キロほど距離があるので、保護者の送り迎えも大変だったそうです。
2022年はNコンの合同参加の規定が2校までだったことで参加できなかったのが、2023年の規定改正で合同参加校数の上限撤廃。
晴れて5校合同参加、そして今年は6校合同での参加、見事全国金賞に輝きます。
詳しくは、NHK岩手放送局の記事もご覧ください。
奇跡のような瞬間
昨年の更新で「奇跡のようなシーンがNコンのステージで生まれることを期待せずにいられない」と書いていましたが、今年その奇跡のような瞬間を見たような思いがしました。
歌い出しから明るく透明感のある歌声で、まるで歌詞の世界が目の間に広がっているかのよう。
僕らに待ち受けている 出来事の全てが宝だ
このフレーズはこの中学生たちが乗り越えてきた道程のようにも思えました。
終盤、目配せでタイミングを合わせる姿がありました。
昨年の明道中の課題曲中の目配せが印象的でしたが、北上6校合同チームは演奏のタイミングを合わせるために目配せをしていました。
このタイミングを合わせるための目配せが、再び課題曲の歌詞の世界と見事に合致し、
僕らはいきものだから
降り注ぐ 悲しみだってある
でもね それもいつか晴れ渡る
そう だって僕らは
彼らが置かれている状況と全国コンクールのステージで歌う姿とのシンクロは、ドラマのワンシーンを見ているかのような思いがしました。
僕らはいきものだから
変わってゆこう 心も身体も
さよならだって繰り返す
変わりゆく僕らが美しいのです
息をする僕らが愛おしいのです
ぜひ来年もこの快挙を追い風に、仲間をもっと増やして参加できることを願っています。
学校単位のNコンは近い将来に見納め❓️
今後、全国的に急速にクラブ活動の地域移行が進みます。
おそらく、現在の形態の学校単位のNコンもあと何年かで見納めになるかもしれません。
今回の出来事は、地域移行に向けての明るい道標になったかもしれません。
なお、今年の全国コンクールの演奏はNコンon the Webで公開中です。
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