【(S56小)Nコン審査講評】審査員はどうコンクールを聴いたのか?
昨日までは高等学校の部の
審査員・出場校の感想を見てきましたが、
今日は小学校の部を。
昭和56年は、Nコンのテレビ放送が始まった年。
それまでは音声のみの審査だったのが、
歌い方や表情などまで審査されるように。
審査員の中には純粋に音楽のみで
審査できなくなるのでは?と不安視した審査員も。
実際どう感じたのかにも注目。
そして、この年の課題曲は小林亜星さんの
「未知という名の船に乗り」でした。
小林さんの求めていた児童合唱と、
その他の審査員の感想の温度差にも注目。
余談ですが、Nコンプレイバックの
過去の記事の審査講評も追記していますので、
気になる方は覗いてみてください。
■飯沼信義
・優劣定めがたい高水準な演奏。
・それぞれの過程で触れられる
子供たちの表情が素敵だった。
■大木正興
・今年から音声でなく演奏風景も審査となり、
純粋に音楽的な審査を妨げるかと予想したが、
杞憂であり、臨場感を加えて参考になった。
・無邪気さが多少消えつつあるようで、
小学生に1位2位などとランキングを
つけるべきではないのでは?
■小林亜星
・合唱する歓びを身体ごとぶつけてくるような
奔放さがもう少し欲しい。
・課題曲はほとんどがリズムを強調するために
かえって重くなったり、伴奏が乱れがちに。
・ビートに対する誤解があるようで、
もっと軽やかに弾んで欲しかった。
・発声はウィーン少年合唱団をお手本にした
いわゆるキレイに歌おうとするボーイソプラノ形が多く、
今の時代のリズムやビートにフィットしない原因に。
・もっと地声が欲しかった。
現代に生きる子供たちの素直な音楽的欲求を
スマートに解放させてやりたいとつくづく感じた。
■関屋晋
・テレビ放送となり、今まで以上に見る人が増え、
一団体ごとに町や日常の紹介があって、
コンクールという堅苦しさが感じられず、
かえってその団体の良さや欠点がよくわかった。
・もちろん、ステレオ放送だったら
合唱のすばらしさがもっと出ただろうに・・・
・意外に個性の発揮がなく、
テンポも大体同じなのは残念だった。
皆が同じ曲を歌うのだから、他人とまったく違う
自分たちの魅力を出せる確実な場所だと思うのに。
音楽の答えはたくさんあった方が楽しい。
■藤井典明
・最優秀と優秀校の選んだ自由曲は、
小学生として技術的にはもう限界点では?
よくぞ歌いこなしたものだと驚嘆。
・最優秀をとるためにより以上に難曲を
各校が挑戦することを恐れている。
技術的にはやさしい曲であっても
人の心に深い感銘を与える
音楽性の高い演奏を希望。
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【(S61高)Nコン】入賞校の先生方はコンクールをどう感じたのか?
昨日は、個々の審査員がどう審査したのか?
でしたが、今日は参加校の先生方が
Nコンに参加するまでにどういう過程だったのか?
参加してみてどう思ったのか?
運営方法についてどう思ったのか?
等を入賞校3校の先生方の感想を見てみます。
どの学校の先生も信念を持って参加されていて、
読んでいて胸が熱くなりました。
(出典:教育音楽<音楽之友社>)
■渡部康夫先生(安積女子高等学校)
・夏になると選曲に悩むのが年中行事の一つ。
歌っていて新鮮で感動的な曲であることが
私の選曲条件。
・4分半で歌える名曲は数が限られている。
課題曲は迷わずBを選んだが、
自由曲は手許の楽譜を引っ掻き回しながら、
「お母さん」を選んだ。
・「あえぎながら訴える語り」
「亡き母を偲ぶカンタービレ」
「病魔に冒された母の救いを求める叫び」が
短い楽譜にちりばめられており、
これを感動的に表現しようと思った。
・審査講評は美点を讃えるだけでなく、
その団体の向上のために欠点を指摘し、
課題克服の方法等が欲しいのは私だけ?
・課題曲→学校紹介→自由曲と統一したのは
私にはなじめなかった。
演奏には自然の流れが必要であり、
課題曲から自由曲に移る間も大切だと思う。
課題曲と自由曲を一対の音楽として演奏したので、
それが分断した結果となったように思える。
■中沢敏子先生(水戸第二高等学校)
・コンクール〆切の日、A・Bで迷った挙句、
タイムリミット15分前にNHKまで部長が
自転車で走って行った。
・「さようならの季節に」はロックのリズムで、
私の年齢の指揮者が乗れるか不安だったが、
あえて挑戦してみた。
・四分音符の裏側に隠れているエイトビートを
自然に快く感じるまで、音楽室は毎日
エアロビクスのダンス場のようになった。
・深夜誰もいなくなってから、
ウォークマンをエプロンのポケットにしのばせ、
鏡の前でゴーゴー、シャギー、エアロビクス(のつもり)
を踊り続け、若者のピチピチとした躍動感を
どんな棒であらわしたらよいのか毎晩悩んだ。
・高校生のメランコリックな迷いと熱い願いが、
ロックのリズムの中で表現されるときは、
言葉のアクセントも無視、「さっようならー」
とか、生徒と共に新感覚の世界に入っていった。
■勝部俊行先生(松江北高等学校)
・今年で最後となるかもしれないと言われているNコン、
その気持ちも手伝ったのか、
部員たちが今まで以上の情熱で歌ってくれたこと、
どこの高校生も歌ったことのない新しい曲を
誇らしく歌うことのできた冒険的な喜び等など、
今年くらい感慨深い思いをしたことはない。
・今年の自由曲は新しい曲で、
今までとは趣を異にする曲に挑戦した。
・詩の内容がわかりにくいので、
必然的にイメージがつかみにくい。
かなり高度な技術を要するので、
「この曲は高校生が歌うべきでない」
と一蹴されればおしまいである。
・決して無理はよくないが、
能力を持ちその曲を意欲的にのびのびと
高校生なりに表現できるのであれば、
そこには高校生らしくない選曲は存在しないはず。
・幸いにも生徒はこの曲を好きになり、
すばらしい演奏に仕上げてくれた。
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【(S59高)Nコン審査講評】審査員はどうコンクールを聴いたのか?
審査講評については
これまで紹介してきましたが、
個々の審査員がどう聴いたのか?
いつもの「教育音楽」(音楽之友社)から
要約して紹介したいと思います。
時代は違えども、審査員の審査基準が
いかに様々であるのかが、
よくわかると思います。
今回は昭和59年高等学校の部を。
■小野田正之
・今年からの運営方法の改革は大きな前進。
・各メンバーが一つの美の表現に向かって、
全身全霊で燃えている姿にさわやかな感動。
・重厚な男子合唱を聴けなかったのは残念。
・合唱づくりの基本である楽譜のアナリーゼ、
演奏における正しいリズム、美しいハーモニー、
流れる拍子感、明確なフレーズ、
声楽発声の習熟度で、不満の残った点も多く、
その点で最優秀校はさすがだった。
■小林秀雄
・(1)この世代の若人の音楽
(2)教育現場におけるクラブ活動
(3)人間にとって音楽とは常に
「心・技の充実に支えられたメッセージ」
であることの3点を踏まえ審査に臨んだ。
・(1)は少々不満で、若々しく瑞々しい共感が不足。
その中での鹿児島女子のずば抜けた
“音楽魂”の披瀝は、注目に値する好演。
・(2)は十分満たされていた。
すべての学校がマナー、音楽を楽しみつつ、
真剣に取り組んできたことがうかがえた。
・(3)の認識を指導者は更に深めて欲しい。
音楽とは演奏の心から聴く人の心へのメッセージであり、
そのためには技の練磨が不可欠である。
・演奏とは指導者の“読み”であることを痛感。
■三枝成章(現:成彰)
・高校の場合、選曲が非常に大きなポイント。
聴く者たちに自分たちの個性のよさを
いかにアピールするかということが評価につながる。
・選曲のセンスが審査されているとある意味いえるが、
実際、選曲のうまくいった学校が高く評価された。
・高崎女子の自由曲はまさに聴きもの。
ドラマチックな難曲を新鮮に歌い上げ、
聴くものをぐっとひきつけたすばらしい合唱。
(課題曲はいまひとつの感じでしたが)
・安積女子はテクニックという点で一番うまく、
少なからずショックを受けるほどだったが、
あとこれに若さというか、ういういしさ、
元気なパワーのようなものが出てくれたらと思う。
・鹿児島女子は良い意味での
アマチュアらしさが出ていて好感。
自由曲もユニークで個性的であり、
課題曲との組み合わせもうなずける。
・女子が目立つ中で、滝川高校の
テノールとバスは数少ないけれども
魅力的な歌を聴かせてくれた。
■田中信昭
・歌っている一人一人がその曲をどう感じ、
どう表現して相手に伝えるかが演奏であり、
よく訓練され整っていても
その意図が伝わらなければ演奏は成立しない。
・選曲の際に、このことを伝えたい、
というものがはっきりしている必要がある。
・音響的な効果のみを追うのではなく、
表現の密度の濃い演奏になるなら、
音的に単純でやさしいものでも、難しいものでも良い。
・指揮者がまずその曲をたまらなく好きであること。
・課題曲が複数になったのは良いことだが、
全国の先生や生徒が同時に
好きになるのはありえないので、
30曲くらいに増やすか、歌いたい歌を
思う存分に歌えるコンクールにした方が有意義では?
■中村義春
・各団体ともに非常に声がよくなってきている。
・混声ではテノールに問題を抱えたところが多く、
この点が改善されると良いと思う。
・フレーズの歌い方が細部にまで神経を使いすぎ、
そのために全体の流れと盛り上がりを欠いた団体と、
逆にもう少し細部の陰影を作って欲しい団体と様々。
■丹羽正明
・中学よりも格段に大人っぽくなっている点が心強いが、
安全運転過ぎたきらいがある。
・型にはまった表情付けの中に
音楽の自然な流れが埋没してしまった例が
二、三見られたのは惜しい。
・口先だけの浅い発声や発音が目立つ点が気になる。
・鼻濁音がほとんど無視されているのは嘆かわしい現象。
・全国コンクールに男声が残らなかったのは残念で、
男声Bの課題曲「月光とピエロ」が
聴けるかと楽しみにしていたのに・・・
■畑中良輔
・高崎女子の「北の海」は三善晃と
尾高惇忠の二人の作曲者の歌を歌い、
驚くべきリズム反応と音色作り、
そして言葉への心配り、ピアノ名演に驚く。
構築力のある指揮者だ。
・鹿児島女子はのびやかな声でフレージング豊か。
・滝川の男声がしっかりしていて頼もしく良くがんばった。
・安積女子はこの学校の実力が
十分に出きらなかったようだ。
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