今日のパリは少しあたたかく、やっと今週の寒さから抜け出せたようです。
長い記事になってしまって恐縮ですが、以前お伝えした以下↓の4つのポイントのうち、今日は気候・生産者についてお話ししたいと思います。
1.土壌 ⇒ (前々回の投稿・くわしくはコチラ )
2.ブドウ樹 ⇒ (前回の投稿・くわしくはコチラ )
3.気候
4.ヴィニュロン(生産者)
気候について・・・
ワインにおいてヴィンテージがとても重要であることは周知の事実ですが、それだけ気候のワインに及ぼす影響は大きいと言えます。
ブドウの段階では、太陽(日照)はブドウの実の成長に寄与しますが、ブドウが成熟すると糖分の増加と反比例して、酸が減少
します。日照量が適量であれば健全なブドウができますが、近年の温暖化現象により、世界各地のワイン産地にて、ブドウが過熟しすぎることで、糖分は高いものの酸が低すぎる、そしてアルコール分が高すぎるというバランスの悪いワインが出来てしまう問題が出てきています。(糖分は発酵の過程でアルコールに転化します)
また、発酵に欠かせない酵母は、アルコール分が高すぎると途中で活動が止まってしまう事があるので、高すぎる日照量は、ワインになる過程でさまざまな障壁となります。
ただ、逆に太陽があまり出ない状況下でブドウがきちんと成熟しないと、特にカベルネ・フランのように、特にピーマンのような青臭い香りが出てしまいやすい品種もあるので、気候、特にブドウの収穫期についてはその土地の特徴・それに併せて発展してきた伝統的な醸造技術・新しい醸造技術・ブドウ品種の特性など、全ての要素を絡めて考える必要があります。
そのため、収穫期のワイン産地は生産者・ウノローグ(醸造学者)・ラボ(研究所)全員がてんやわんやの忙しさになるわけなのです(フランスは大体9月中旬~11月上旬まで)
ヴィニュロン(生産者)について・・・
生産者は自分の作りたいスタイルのワインによって、栽培・醸造方法を変えます。
栽培・醸造の仕方も、国の法律や各アペラシオンごとに決められている規則を守ったうえで、ひと工夫したところがドメーヌの味わいの差となったりします。
(たとえば醸造だと、アルコール発酵の際の酵母の選別や、発酵の際のどれぐらいの温度に保つか、シャンパーニュメゾンだと瓶内二次発酵の期間の長さ など)
もちろんその時のドメーヌの状況(経済的・人事的)によっても、リスクが取れるとき・取れないときによって造り方が変わったりもしますが、何年もコンスタントに味をキープできるのがそのドメーヌの底力といえます
そして何より、ちゃんと先祖代々受け継いだ土地を大事にしつつ、ちゃんと品質も向上させようと頑張っているところで差が現れるわけなのです。
(そういえばブルゴーニュ・ヴォルネー村のアンリ・ボワイヨさんは、「犬を飼っているドメーヌのワインは美味しい」と言っていました。まめでちゃんと愛情を注げる人向きということでしょうか。)
●まとめ(コンクルージョンCONCLUSION)土壌、ブドウ樹、気候、ヴィニュロン(生産者)は、ワインの質・味わいには欠かせない必要不可欠な要素であり、これら全てを考えて造る人達の仕事は偉大である
(ちなみにこの4つのポイントを、ざっとまとめてテロワールTerroirと言います。)
さて、今回の投稿にて、「ワインを形作る4つの要素」については、終了です。皆さんにはお付き合いくださり、有難うございました。
ワインはとても魅力に満ちていて、造り・デギュスタション(試飲)など色々とお話したいことがたくさんありますが、まずはご自身の生活に潤いを与えてくれるものとして適量でお楽しみくださいパリの小話もまた載せたいと思うので、ぜひぜひ応援のクリックをよろしくお願いします
ありがとうございます。