珍しい温泉は、あちこちにありますが、西方の湯は、建物の外観の珍しさ、館内の珍しさ、お湯自体の珍しさ、そしてご主人の珍しさ、すべてが珍しい温泉です。珍スポット的な温泉のなかでも、超一流の珍しさです。


   約15年前の新潟県~富山県の1泊旅は、同級生のO氏と行きました。

   O氏に迎えに来てもらい、O氏のクルマで西方の湯まで7時間。歴史好きなO氏と私なので、荒木村重の話で盛り上がって、途中、何か(忘れましたが、食べたかったご当地グルメのイタリアンがなくて、何らかのラーメン?)をおいしく食べて昼過ぎに到着。  


  親鸞聖人の像のデカさに驚きながら、大興奮してしまいました。

 もっちー『異様な雰囲気やな!こんな温泉、他にはない!』  
  広い駐車場に数台しか止まっていません。

   もっちー『めちゃくちゃ空いてるやん!』
   O氏『日曜日やで。どないなってんねん。』       中に入ると事務室でご主人がNHKのど自慢を大音量で見ていて、その昭和の場末感に、魂をわしづかみされました。

   浴室までの長い廊下には、過去の栄光のような様々な骨董品、絵画、調度品大量かつごちゃごちゃと置かれ、とっくに営業していない飲食コーナーの遺物みたいなのがあったり、不気味なトイレなど、見所だらけで、なかなか浴室にたどり着かないです。

   もっちー『今は使われてないところばっかりみたいやな。』
 O氏『もしかしたら、開業した時にいろいろ使ったけど、それっきりちゃうやろか?』

   ようやくたどり着いた脱衣室のロッカーも、壊れて使えないところが多く、切なくて、侘びしい雰囲気が、かえって期待を増幅させる前菜のような効果を出しています。

   残念なのは、写真のデータをバックアップできないまま、パソコンが故障し修理をしたため、写真がプリントした粗いものしかないことです。たくさん撮影したのに、もったいないです。
  あった写真はこの三枚。右上のねこは以前、実家で飼っていた、雄なのに『ゆうこ』という猫ちゃん。

   さあ、浴室です。

   もっちー『なんやこれ、強烈や!う◯ことかおしっことか、そういう匂いやわ、あかん、興奮してきた。』
   O氏『変態か!しかし、これはすごいな。初めてやわ。』

   アンモニア臭が強烈です。黒いような茶色いような色合い。熱い源泉が注ぐ辺りに不気味な泡があるのもインパクト大です。
  もっちー『舐めてみたら、むちゃくちゃ塩辛いし、苦味もあるし、良薬は口に苦しみたいやわ。』
  O氏『匂いがすごいわ。』  
  もっちー『昭和の田舎の古い駅にあるめちゃくちゃ臭い和式便所みたいな匂い。この匂いがたまらんわ!大好きや!』
  O氏『さすが、匂いフェチ!』




  空いているので、撮影し放題。O氏に、入浴写真を撮影してもらいました。かなり前なので、ちょっと若い私。

   もっちー『こんなにう◯こ臭いええ温泉、なんで空いてるんやろ?』
   O氏『一般受けが…。』

     露天風呂にはお湯が入っておらず、使用できない状態でした。寒いからかな? 忘れられない個性的なお湯を堪能できました。 

  そして、 一番、強烈に印象に残ったのは、ご主人です。 帰り際、素晴らしい温泉のために関西から来たことをお伝えすると、事務室に招いて下さり、やたらと濃いコーヒーを淹れていただき、温泉の話や親鸞聖人の像の話をたっぷりと聞かせてもらいました。 話の中での驚きが3つ。  

  1つは、この親鸞聖人の像を佐渡島にも建立しようと計画されていること。まだまだチェーン展開するのかな?パワフルですね。
 現時点ではまだ佐渡島には無さそうなので、コロナ禍で停滞しているのでしょうか。

   もう1つは、親鸞聖人像とこの温泉に関する本があること。なんと、記念に一冊いただいてしまいました。


 ありがとうございます。


 家宝です。



 あと1つは、源泉を煮詰めて作ったという塩の話。ご主人によると、微量なミネラルが入っていて、とても身体によく、天ぷらに付けても良いし、ゆで卵にもよく合うとのことで、一袋をサービスでいただきました。  本とう◯こ臭い源泉を煮詰めて作った塩という素晴らしいプレゼントをもらって、O氏のクルマに戻りました。 


 もっちー『この本、何が書いてあるんやろ、ワクワクするわ。』  
  O氏『欲しかったらあげるで。』
   もっちー『ええんか?ありがとう!太っ腹やなあ。』  
   O氏『それより、その塩、頼むから、間違って、クルマ中にこぼさんといてくれよ。愛車がう◯こ臭なってまうし。』  

   素敵な思い出とともに塩と本をいただき、栃尾で、美味しい油揚げを食べて富山のビジネスホテルに泊まり、氷見に寄ってから帰りましたが、先に栃尾で油揚げを食べてから西方の湯に泊まれば良かったかなあと思います。

    次に行く時は、あの異様な雰囲気の館内で、ぜひとも素泊まりしてみたいです。

   後日、読んだ本には、親鸞聖人の像が建立される経緯が書かれていました。佐渡島にも建立したいという理由は、以前、ご主人が建設業をされていた頃に現場の事故で亡くなった方の供養のため、と書かれていました。
  また、O氏は要らないと遠慮して下さった塩は、意外に臭さが抜けており、恐る恐る、洗面器に入れてお湯に溶かしてみても、少し濁るだけでアノ匂いは、ありませんでした。強烈な匂いは、独特過ぎるあの異空間で体験するに限るなあと思いました。
  ネット画像をいくつか載せさせていただきます。









   西方の湯。大好きな温泉です。