2000年春。

 

沖縄でのライブ活動の成果として「あんしんのひっこし」のCMタイアップを獲得した僕たちFOUR TRIPS。

 

Kiroroの「長い間」がブレークするきっかけになったCM枠だった。いやそりゃ、Kiroroほど、というわけには行かないだろうけど、多少は売れるだろう、と思っていたよね。

 

国民的バンドのキーボーディストMさんプロデュースの元、沖縄でのレコーディングが行われた。ベーシストとして、アップル&ペアーズのノリスケも沖縄に入ってくれて、最高の音源が出来た。カップリングには、デモセッションからの「夕方フレンド」を選んだ。

 

 

 

 

凍えそうな月 凍えそうな月
 
Amazon

 

大きなタイアップがついたということで、お世話になった方々や友人達にお願いして、宣材用の文章をいただいた。みなさん快く引き受けて下さったんだ。

 

いつも応援してくれていた音楽ライターの能地祐子さん。

神戸のDJでテレビの音楽番組「KOBE CALLING」の大久保かれん。

尊敬するシンガーソングライター、馬場俊英さん。

同志である、アップル&ペアーズの岡田純

 

みなさん、それぞれにあたたかく、心に響くコメントを下さった。本当に嬉しかったな。

 

そして、縁あって節目節目で僕たちに力をくれていたBEGINのみなさんにもお願いした。僕がやっていたラジオの番組にも三人でゲストに来てくれたりしていた、同い年の偉大な大先輩。レコード会社や大きな事務所の後ろ盾がない僕たちの依頼も、快く受けて下さった。

 

こんな素敵な内容だった。

 

「FOUR TRIPSのサウンドは、アコースティックでもエレクトリックでもない、その中間の良さが魅力です。まるで、彼らが使っているギター、リッケンバッカーの音の魅力のように。」

 

心にしみました。そんな風に見てくれていたんだ、と。

 

みなさんの思いに応えられるように、このチャンスをものにしたい。「凍えそうな月」をまずは沖縄でヒットさせなきゃ、と意を新たにした。

 

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でもね、でもでもね。

 

でもでもね。

 

でもでもね。

 

 

 

 

 

売れなかったんだよ!かすりもしなかった。

 

 

毎日CMは流れたし、プロモーションでラジオや媒体もたくさん出させて頂いた。小さいながらも那覇でワンマンライブもやらせていただき、100人くらいの動員はあった。僕たちもスタッフも一所懸命、頑張ったよ。これ以上ないほど、頑張った。後悔はしたくなかったからね。

 

それでも、売れなかったんだ。打つべき手はすべて打ったと言える。ここまで売れないと、むしろ清々しい!とすら思ったよ(笑)

 

なぜ、これほどまでに良い条件が揃っても、まったくと言っていいほどに受け入れられなかったのか。

 

僕は自分の曲、声、キャラクターを芯から疑うことになる。要は、オレじゃ売れないんだ、と、そういうこと。この世界は、努力だけではどうしても補えないものがある。そこに向き合わざるを得なかった。本当に本当に、きつかったけどね。

 

「もう31だ。そろそろ潮時かもしれない。頑張ったじゃないか。やるだけやったじゃないか。」

 

そんな気持ちだった。心は完全に折れた。ボキボキに折れた。そう、あきらめた。僕はこの時点で自分がメインを張るバンドFOUR TRIPSを、あきらめたんだ。

 

そして、今50歳を目前にした僕が、当時を振り返って思うのは、僕の決断は間違ってなかった、ということ。やるだけやること、徹底的にやること。そして、あきらめること。他のやり方を探すこと。とても大切な教訓を、この時点の僕は学ぶことが出来たのだ。大変きついことだったが、僕の人生にとって、僕が大人になるために、必要な「きつさ」だったと言えると思うよ。もちろん当時の僕はそんなに達観していなかったけどね(笑)

 

所属していた事務所の社長Iさんは、僕たちに大阪に帰って来い。そして事務所でディレクターの仕事をやりながら音楽活動も続ければいい、と言ってくれていた。僕はそこに乗ることにした。沖縄に仮住まいしていた数ヶ月の間も東京のアパートは残していたので、そこを引き払う決意をした。さよなら沖縄。さよなら東京。

 

僕たちは神戸に帰ることにしたんだ。

 

 

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BEGINのみなさんは当時も人気バンドだったけど、この後「涙そうそう」などで、2000年代前半の大沖縄ブームの一翼を担うことになる。当時はちょうどその直前の頃のお話。僕たちも少し、早すぎたんだね(笑)

 

いつも読んでいただいてありがとうございます!!!

「凍えそうな月」は今でもライブでよく歌う、大切な一曲です。

 

成瀬英樹

 

 

2018年12月1日(土)
成瀬英樹 生誕50祭@大阪
「ただいま!マスター!大ちゃん連れて帰ってきたでー!」

 

 

出演 成瀬英樹/白井大輔

場所 5th Street
http://www.5th-street.com
大阪市西区南堀江1丁目1-12 浅尾ビル2階・3階

開場 18:00
開演 19:00

料金 2800円 
当日 3300円  
※(1D別途)

 

 

2018年12月10日(月)
「成瀬英樹・生誕50祭 / ヒデキ感激!ナルーソニック!」

座りの座席は満席となりました。現在立ち見のご予約を受け付けております!

出演:
成瀬英樹
スペシャルゲスト:
石田ショーキチ
黒沢秀樹
榊いずみ
山崎あおい
SOWAN SONG
etc.

下北沢 風知空知
時間:開場18:30/開演19:30
料金:前売り¥2,800/当日¥3300
(共に+1Drink600円)

風知空知メール予約のみ(先着受信順整理番号付き)
●メール予約:風知空知 yoyaku@fu-chi-ku-chi.jp
*ご希望公演名、お名前、枚数、ご連絡先電話番号をご明記の上、お申し込みください。

 

2018年11月10日(土)
白井大輔×ナルソワン(成瀬英樹、SOWAN SONG)
"西の星、東の星と光る夜"

ナルソワンの初ライブ!特別な新しい曲を用意してお待ちしております!!

SOLD OUT !

 

場所 lete
東京都世田谷区代沢5-33-3
下北沢駅南口 徒歩4分

開場 18時半
開演 19時半

料金 2500円 1D別途