なりあやの韓国シネマ留学記 -31ページ目

なりあやの韓国シネマ留学記

2017年、3度目の韓国留学。
ソウルの大学院で映画を勉強します!

クリスマスイブということで(全然関係ない)、十三の「やまもと」のねぎ焼食べて、シアターセブンで映画観てきました。

 

山下敦弘監督の「オーバー・フェンス」(2016)。

 

 

山下敦弘監督作、大体好きですが、「リンダリンダリンダ」と「味園ユニバース」が特に好き。

「オーバー・フェンス」も、それに並ぶくらい良かった。オダギリジョーの泣いた場面、個人的な経験と重なるからか、観終わって、じわじわ思い出される。

 

この「オーバー・フェンス」と、「海炭市叙景」(熊切和嘉監督)、「そこのみにて光輝く」(呉美保監督)は、同じ佐藤泰志の小説を原作とした、いわば三部作のようなもので、「オーバー・フェンス」が、その最終章にあたるのだそうです。

偶然かもしれないですが、三人とも大阪芸大出身なんですねえ。大阪人としてはそれだけでちょっとうれしかったりします。「そこのみにて……」も、良かった。特に菅田将暉が。ってこの間、忘年会で言ったら、先輩がすくっと立ち上がって、握手を求めてきた。激しく同意してくださいました(笑)菅田君大ブームの一瞬前だったんですよね~

 

話を戻して、「オーバー・フェンス」。言わずもがなかもしれないけど、主演のオダギリジョーと蒼井優の演技あってこそ、ですね。なかなか、演技が下手だともたない作品な気がします。さすがやなぁ。美男美女ですけど、それを感じさせないナチュラルなかっこ悪さ。

 

オダギリジョー演じる白岩の、一貫して笑ってごまかすキャラ、知り合いとそっくりで、あぁ、ダメな男の一つの典型かもと思っちゃいました。優しいんですけどねぇ。女を壊しちゃうんやなぁ……。

 

白岩は、妻子と別れ、大手の建設会社も辞めて、故郷・函館の職業訓練校に通う。その訓練校の友達に誘われて行ったキャバクラで、ホステスの聡(蒼井優)に出会う(正確にはその前に一度会ってますが)。

 

聡(←男みたいですが、サトシ)は、鳥の求愛ダンスをまねる、一風変わったキャラですが、そもそも蒼井優ちゃんダンスうまいからなぁ。

 

一緒に観ただんなちゃんがやけにはまって、珍しくプログラムをご購入。ありがたくわたしも読ませていただきました。

 

山下監督いわく、

「結構、出鱈目な映画だと思います。特に、空から白頭鷲の羽根が降ってくるあたりは。でも僕、すごく出鱈目がやりたくて」

 

羽根が降ってくるのは、よく考えるとおかしいんやけど、気にならなかったなぁ。白岩と聡の心情とリンクしてるから、違和感なかった。監督自身、続けて「映画って、もっともっと出鱈目なものなんじゃないか?」って言ってますが、そうですよね。二人の演技に説得力があるから、出鱈目が生きて作品の魅力になるんですよね。

 

違和感が一つあったとすれば、職業訓練校が、刑務所のような雰囲気で描かれてたところ。実際、そうなんですか?わたしはもっと普通と言ったらなんですが、普通の学校のようなところを想像してたので、意外でした。でも、たぶん実際もそうなのかなと思うのは、色んな事情を抱えた人たちが通ってて、それを演じる役者さんたちも、北村有起哉とか満島真之介とか、個性派が多くて楽しかった。

 

かっこ悪い二人がジタバタしたあげく、とってもポジティブなラスト。「オーバー・フェンス」ですからね爆  笑だんなちゃんは、しっかり励まされてました。

 

「リップヴァンウィンクルの花嫁」と立て続けに観て、だんなちゃんは、「オーバー・フェンス」90点、「リップヴァンウィンクルの花嫁」75点だそうです。わたしは、その逆かな。男女の差でしょうか。

最近は邦画もちょいちょい観てます。

 

岩井俊二監督の「リップヴァンウィンクルの花嫁」(2016)。

 

 

劇場公開時に観られなくて、やっとDVDで。

 

かなり良かった。

いいという評判は聞いてましたが、岩井俊二監督作では、一番良かったぐらい。

全部観てるわけではないですが。

でも半分以上は観てるかな。

 

3時間もあるんですね。

それも知らずに観はじめて、途中でいったん止めざるを得ず。

そしたら続きが気になって気になって。

 

ここからネタバレありです。

 

なぜなら前半で、黒木華ちゃん演じる七海が結婚したかと思うと離婚に追いやられる。本人に非がないのに誤解されて。綾野剛演じる安室という変な兄ちゃんのせいで。新婚早々、七海は家で女性のピアスを見つけ、夫の浮気調査を安室に依頼する。そして逆に七海が浮気をしたかのような事態に陥れられるわけです。でも七海は安室が犯人だと気付いてない。えーっ、そんなのありか、黒木華ちゃんかわいそすぎるやん!と思ったところで、いったん止めて、仕事へ(笑)

 

この映画、おもしろいのは、すっごい悪いやつに見えてた安室が、実はすっごいいいやつなんじゃないかと思えてくる。そういえば、そういう伏線あったなと、思い出してくる。展開を知らずに観た方がいいです。上の離婚はまだほんの入り口で、本題に入る前なので、大丈夫。安室は、もちろん金もうけのためはあるけど、七海の結婚が幸せなものでないと見透かしている。別れた方が幸せぐらいに思ってる。

 

その安室の功績が感じられるのは、七海の声の大きさ。わたしの勝手な解釈ですが。最初は消え入るような小さな声だったのが、映画の後半では大きな声が出るようになってる。自信なく生きていた七海が、安室が投げかけたかなり変わった〝仕事〟を通して、生き生きと輝き始める。ある意味安室は人生の名プロデューサー……と言いたいけど、そうとも言い切れないぐらい、非情なところもある。割り切らせてくれないところが安室役の魅力。その真意の分からない、一見軽い男が、綾野剛ぴったり(´∀`)

 

今年は本業の演劇取材で黒木華ちゃん(「書く女」で樋口一葉役)インタビューしましたが、ゆっくり言葉を選びながら丁寧に話す姿勢に、誠実な人柄を見た気がしました。ちなみにこの樋口一葉役も良かった。そもそも舞台出身なんですよね。映画にドラマに活躍してるけど、ぜひ機会があれば生で舞台を観てください。よく通る声です。

 

黒木華、綾野剛、Coccoの三人とも、素晴らしいですね。これ以上ないなという絶妙なキャスティング。Coccoの演技ってあんまり見たことなかったけど、危うい感じ、にぎやかな裏に寂しさがよく出てて、AV女優の真白役そのものでした。

 

映像も音楽も美しく、3時間、浸れました。

ゆっくり、観てみてくださいまし♪

今年この映画が一番おもしろかった、という人もけっこういて、気になってました。

國村隼さんが爆発的に韓国で人気になった映画です。

 

「哭声」(2016 原題:곡성)

 

 

このポスターでは國村さん見えないですが、タイトルの下で釣りをしてるのが國村さんです。観たら分かりますが、こんなちっちゃな存在感ではない。主役と言ってもいいぐらいの存在感です。

 

監督は、「チェイサー」「哀しき獣」のナ・ホンジン(나홍진)。

なので、かなり覚悟して観た方がいいです。怖い、という覚悟。

 

國村さんは、今作が韓国映画初出演でしたが、韓国の映画賞としては最も認められている「青龍映画賞」で男優助演賞と人気スター賞を受賞。外国人の受賞は初めてという快挙。

 

http://www.asahi.com/articles/DA3S12687907.html

 

ナ・ホンジン監督は、その作品もしつこいですが、演出もしつこいので有名です。よく言えば粘り強い?ですが、國村さんも相当苦労したそうです。それでも、こんなに演技で熱狂的に評価されたのは初めてと言って、驚きつつ喜んでらっしゃいました。また機会があれば、ナ・ホンジン作品に出たいと……本当かなぁ。

 

それにしても、國村さんは、どこまで、こういう役と知ってオファーを受けたのかなぁ。観たら、びっくりですよ。えたいの知れない日本人役ですが、ふんどし一丁で野山をかけ、生肉をむさぼり食う。ある意味、國村さんを知ってる日本人にはコメディーに思えるんじゃないかな。

 

とにかく、國村さん演じる日本人がとある田舎の村に現れてから、奇妙な殺人事件が続く。

 

主人公はクァク・ドウォン(곽도원)演じる警察官。よく出る俳優ですが、主役は珍しいかも。「弁護人」でもそうでしたが、嫌な奴をほんとに憎らしく演じますよね。哭声では、どちらかというと、怖がる方の役。人間臭さがあふれてました。

 

そしてそして、大好きなファン・ジョンミン(황정민)も出てます。ムーダン役。最近、売れに売れてしまって、ほとんど主役、それもわりと似通った役が多いのが不満でしたが、この人こそ本当に色んな役ができる役者で、久々に毛色の違う役が見られて、ファン的には幸せでしたおねがい

 

わたしは好きですが、たぶん、評価は分かれるだろうなぁ。

「惑わされるな」がキャッチフレーズのようですが、たぶん惑わされます(笑)

 

日本では来年3月11日公開予定です~