なりあやの韓国シネマ留学記 -26ページ目

なりあやの韓国シネマ留学記

2017年、3度目の韓国留学。
ソウルの大学院で映画を勉強します!

だらだらと、⑩まできてしまいました。

まったく終わる気配がありませんニヤリ

 

そういえば昨日、友達の友達の家が空いてるから、急いで家を決めなくても、当面住んでもいいという、ありがたい提案をいただきました。今月の家探しの時に、一緒に見てきます。

 

韓国の人は、世話好きの人が多い気がします。

いつも、誰かが助けてくれる。

わたしはなかなか他人にここまでできないなぁと思うことを、してくれる人がいっぱい。

感謝感謝。

 

最近は連日の送別会で、ほぼ毎回、なぜ退社、なぜ韓国に留学、しかも映画で、という質問に答えるのですが、なかなかうまく説明できない。というか、韓国映画をほとんど観てない方がとっても多くて、特にそういう場合は、難しいですね……

 

どこの国の映画がよりおもしろいとか、そういうことは主観的な問題なので言えないですが、

客観的に言えることでは、韓国映画の韓国内の観客動員数が、ものすごい。これは日本と比較にならないぐらい。

 

というわけで、ちょっと調べてみました。

NAVERで「歴代映画観客数順位」で検索すると、

 

1,「バトル・オーシャン 海上決戦/명량」(2014) 1761万5057人

 

 

2,「国際市場で逢いましょう/국제시장」(2014) 1426万2198人

3,「ベテラン/베테랑」(2015) 1341万4200人

4,「アバター/아바타」(2009) 1330万2637人

5,「10人の泥棒たち/도둑들」(2012) 1298万3841人

6,「7番房の奇跡/7번방의 선물」(2012) 1281万1213人

7,「暗殺/암살」(2015) 1270万6360人

8,「王になった男/광해, 왕이 된 남자」(2012) 1232万3555人

9,「ブラザーフッド/태극기 휘날리며」(2003) 1174万6135人

10,「釜山行き/부산행」(2016) 1156万5479人

 

※映画振興委員会提供(2017年1月18日)となってます。

 

5000万ちょっとの人口で、1000万人以上動員する映画がいっぱい。

それも、ここ数年は特に多い。

個人的には、これにそんなに入るかな~というのもありますが。

韓国映画でないのは「アバター」だけ。

日本ならアニメが上位を占めますが、アニメもなし。

 

なのに、お隣の国日本では、いまいち、韓国映画が観られてませんよね。

日本では、そもそも映画を映画館でほとんど観ないという人もけっこう多い。

韓国にいると、今、何の映画がはやってるか、特別映画好きでなくても知ってるし、物価を考慮しても、日本よりだいぶ安いので、気軽に映画館で観ます。

映画館で映画を観る文化は、日本より韓国の方が圧倒的に根付いてる。

 

それにしても、このランキング、アバター以外全部観ましたが、わたしの中では、1位のバトル・オーシャンが一番いまいちやったな~。逆に10位の釜山行きが、1位とは言わないまでもトップ3に入る。この10本では、ですよ。

 

なんでこんなに動員できるのか、というのも、研究したいことの一つですおねがい

日本で公開中のキム・ギドク(김기덕)監督の「The NET 網に囚われた男」(2016 原題:그물)、観てきました。

 

 

実は、よく考えると、キム・ギドク監督作を劇場で観たのは初めて。

どぎついのが多くて、スクリーンで観る勇気がなくて、いつもDVDでした。

でも、今作は前評判から、劇場でも大丈夫と思って。大丈夫でした。

 

どぎつさ封印。

主人公(リュ・スンボム、류승범)は、北朝鮮の漁師。

船の故障で、南側(韓国)に漂着してしまう。

 

と、ここで、思い出すことが。

 

2011年9月、脱北者の船が、能登半島沖に漂流という事件がありました。ほんとに小さな船に9人も乗っていて、本人たちは韓国に行くつもりだったと。

 

当時、富山総局員だったわたしは、たまたま休みで、のんびりとカフェでお茶をしてたんですが、会社から「とりあえず輪島港に行って」と電話。とりあえずナビに「輪島港」と入れると、とんでもない距離で、「簡単に言うよな~」と、ぶつくさ言いながら、一人車を走らせました。金沢を過ぎて15分くらい走った辺りで、「やっぱり金沢港」と言われ、引き返し。

 

でもね、金沢港に行ったところで、脱北者の乗ってる船(小さな船から海上保安庁の船に乗り換えた)は沖に停泊したままで、取材のしようがなかった。

東京本社からも、韓国留学経験のある先輩が金沢港に呼ばれていて、二人で無駄に韓国語でしゃべってました。やることないね、って。その先輩とは、後にセウォル号の現場(珍島)でも一緒になりました。

 

それにしても、あの小さな船に9人って、本当に命がけの脱北やな、と。

どんな事情か分からんけど、そんなに厳しい状況なんか……って思ったな、その時は。

 

そして、翌朝、どうも沖からそのまま上陸せずにヘリで移動するらしいという情報を得たわれわれ(カメラマンと、東京からの先輩とわたし)は、ななんと、漁船をチャーターして、沖の船に近づくことに。海上保安庁の人にスピーカーで「そこの船、離れなさい」とか注意されながら。そして、脱北者の姿は肉眼で見えるかどうかという距離なのに、会社からは「何でもいいから、韓国語で叫んで!」って指示されて……。こっちはスピーカーもないのに、聞こえるわけないやん。もう、むちゃくちゃでした。

 

そして、どっからヘリが飛んでくるのかと思ったら、船上の格納庫の扉がわーっと開いて、そこからヘリが。そういうのあんまり興味ないわたしでも、「おおおお」と声を上げてしまった。すごいな、ある意味超VIP待遇やな、と思った。

 

こっちは、着替えも持ってきてないし、日焼け対策もしてないから、汗臭いわ、真っ赤に焼けるわ。そして、その日はわたしの誕生日でした。何の役にも立たず、へとへとになって富山へ。

 

という、9年の新聞記者生活でも、有数の珍体験でした。

 

映画では、主人公は、故意に韓国に入ったわけではないので、北朝鮮の家族のもとに帰りたがる。

 

いつものキム・ギドク監督作とちょっと違うのは、実際にいそうな人が出てくる。

例えば、主人公の取り調べに当たる情報員の上司。

 

部下の拷問にまゆをひそめ、「こいつをスパイというのは、無理があるんじゃないか」と言う。

一方で、北朝鮮を独裁国家と言って、本人が帰りたがってるのに、韓国に亡命させようとする。いかにも、いそう。

 

そして、主人公の警護にあたる若者。

わたしの感覚では、こういうよき若者は日本でも韓国でも多い。

イデオロギーとか、正直、ピンとこない世代。

それよりも、「スパイとはとても思えない」とか「家族に会いたがってるんだから、帰してあげたらいい」というごくごく人間的な発想が出てくる。

 

原題は、「網」の意味。

一度、網にかかったら、逃れられない。

たとえ、何ら政治的思想のない、家族思いの善良な市民でも。

 

キム・ギドク監督作にしては、とても優しいタッチな気がしますが、それでも、ハッピーエンドにはしない。それが南北朝鮮の抱える現実だから。

 

なんとしても北朝鮮に帰ろうとした主人公でしたが、帰った北朝鮮での取り調べもまた、韓国での取り調べと似たようなもの。

 

誰も幸せにしない、ナショナリズム。

本日、朝日新聞での最後の記事が掲載されました。

思い入れたっぷりの記事で、締めくくれて、幸せです爆  笑

この連載と直接は関係ないですが、ちょっと関係あるので。

 

http://www.asahi.com/articles/DA3S12749370.html

 

韓国映画界で活躍する日本出身のお二人に話を聞いていますが、

一人は、「東柱(동주)」で刑事役を務めたキム・インウ(김인우)さん。

この映画で一目ぼれしました。

と思ったら、それまでもけっこう見てました。

いっぱい出てる出てる。

韓国映画にほれ込んだきっかけの映画が「おばあちゃんの家」というのも一緒で。

 

もう一人は、「お嬢さん(아가씨)」で助監督を務めた藤本信介さん。

以前から活躍ぶりは色んなところで聞いていて、一度お会いしたかった。

藤本さんも、留学が同時期(藤本さんは2001年~、わたしは2002年~)で、同じ韓国映画の状況を体感してました。

そして、富山大出身照れ

わたしも富山にいたので一気に親近感わいちゃいました。

ちなみに藤本さんのインタビューは、大学院の面接の後でした(笑)

 

韓国映画がおもしろい、おもしろいと言ってもなかなか伝わらないけど、こうやって、ほれ込んでその世界に飛び込んでいく人たち(それも、ちゃんと活躍してる!)を描くことで、ちょっとは伝えられないかな~という思いを込めました。

 

さてさて、いい加減、話を【入試】に戻します。

 

書類の話は次回以降に回しますが、ぶっちゃけ、試験は面接だけでした。

 

それも10分程度。

 

日本からはるばる行って……

 

忘れもしない、11月12日。

前日夕方、「弁護人(변호인)」主演のソン・ガンホ(송강호)の来日記者会見をちょっとだけ聞いて(最後まで聞きたかった!)、飛行機に飛び乗りました。

11月12日は、最初の100万人デモの日でした。

みんな、気もそぞろ。

 

面接官は3人でした。

もちろん韓国語で。

3人のうち1人が、わたしが学びたいと言っているチョン・スワン(정수완)先生。

 

面接の冒頭で、

事前に提出した「自己紹介&研究計画書」を見ながら、1人の先生が、

「朝日新聞の記者さんですね」

と言うので、

 

ソン・ガンホ会見の話をしました。

「弁護人」の日本公開が3年遅れたことや、ソン・ガンホが朴槿恵政権作成の文化人ブラックリストに載っていることなどなど。(「弁護人」は盧武鉉元大統領がモデルなので、朴政権にとっては好ましくない映画でした)

 

それに対して「記者さんなので、韓国映画の状況はご存じかと思いますが、日本はどうですか」の質問。韓国映画の状況というのは、釜山国際映画祭にも介入があるなど、要するに、朴政権に批判的な映画は上映しにくい状況です。

 

わたしは日本の映画界にそれほど詳しいわけではないのですが、おそらく、露骨な圧力はないんではないかなと思います。どちらかというと、自粛?という程度に答えておきました。

 

映画ではないですが、わたし自身、朝日新聞に身を置きながら、韓国報道に対する偏見はけっこうあると感じました。社内外で。基本、わたしは気にしないのですが、一度は上司から、明らかに韓国嫌いの読者のいちゃもんのような反響を見せられ、「韓国についての記事を良く思わない読者もいる」というようなことを言われました。先輩が「そんなのヘイトスピーチに同調するようなものですよ」と怒ってくれて、救われましたが、そういう上司のために、韓国関連の記事を書くのが難しい時期もありました。退社を考え始めたきっかけの一つです。

 

そういう意味では、日本の映画界でも、現政権に批判的な作品を避けるという傾向は無意識的にでも、あるのかもしれないと思います。

 

そして肝心な質問。「なぜ韓国で映画を学びたいのか」。

 

これについては、長くなるので、はしょっていいですか(笑)

もちろん、第一に韓国映画が好きだから、ですが。

 

おおざっぱに言って、以上のようなやりとりで10分なんてあっと言う間。

面接なのか雑談なのか分からない内容でしたが、楽しかった。

 

そして、印象的だったのは、韓国映画界が表現の自由を脅かされているという文脈だったので、「でも、状況はこれ以上悪くならない気がします」とわたしが言ったら、

 

先生が満面の笑みで、

「もちろんです、今日がD-デイですから!」と。

 

面接は午前中で、午後4時から、100万人デモでした。

わたしもチラッとのぞいてきました。

 

 

市庁前。

人人人で、窒息するかと思ったガーン

 

圧力も強いけど、それにめげない国民性。

 

この人混みをかき分けて、藤本さんのインタビューへ。

忘れられない面接日でした。