なりあやの韓国シネマ留学記 -17ページ目

なりあやの韓国シネマ留学記

2017年、3度目の韓国留学。
ソウルの大学院で映画を勉強します!

今日の授業はチョン・ジェヒョン(정재형)先生の「映画史研究入門」。

 

園子温監督の「愛のむきだし」を研究している学生が途中経過を発表しました。

 

 

愛のむきだし、韓国題は「러브 익스포저」。「LOVE EXPOSURE」って英語のタイトルのままなんですけどね、最初聞いた時は何かわかりませんでした。ほかの授業でも、「감각의 제국」は観たかと聞かれたけど、「感覚の帝国(直訳)??」という感じで、調べてやっと大島渚監督の「愛のコリーダ」とわかりました。日韓でタイトルがけっこう違うから、把握しないと。

 

発表者も先生も、共通して指摘してたのは、園子温は、寺山修司の影響が大きいということ。

超現実的な舞台的な演出と。

 

特にヨーコ(満島ひかり)が新約聖書「コリントの信徒への手紙」第13章・愛の賛歌を絶叫するように暗唱するシーンが、いかにクライマックスシーンとなってるかというのを色んな角度から分析。

 

園子温の大ファンというイタリア人留学生は「漫画っぽい。実際にいるとは思えないキャラクター。(満島ひかりが着てる)セーラー服も日本ぽくて好き」。

 

教授はそれに付け加えて、

「セーラー服のシーンは相米慎二監督の『セーラー服と機関銃』の影響がみられる」。

 

笑っちゃうぐらい、みんな日本映画に詳しい爆  笑

韓国でこんなに熱心に研究されてるなんて、園子温監督本人もびっくりなんちゃうかなぁ。

 

そしてわたしは木曜、さっそく発表します。

是枝裕和監督の「歩いても歩いても」。

以前観てたけど、発表すると思って細かくもっかい観たら、めちゃくちゃおもしろい映画やな。

言いたいこといっぱいある。

授業が予想以上に忙しくて、韓国映画を観る時間があんまりないというのが悩み…

 

気になってたイ・ビョンホン(이병헌)主演の「シングルライダー(싱글라이더)」、観た人の評価はいいのに観客動員が伸び悩んで、どんどん上映時間も劇場も減ってきて、焦って一昨日観ました。

 

 

わたし好みの映画。

と思ったら、イ・チャンドン(이창동)監督がシナリオ執筆に参加してるんですね。なるほど。

 

イ・ビョンホン演じるカン・ジェフンは、証券会社の支店長。

息子の英語教育のため、妻と息子はオーストラリアで暮らす。

韓国でよくあるキロギアッパ(기러기아빠=海外の家族に仕送りをしながら単身韓国で働くお父さん)です。

不良債権事件ですべてを失ったジェフンはオーストラリアへ飛ぶが…

 

何より、イ・ビョンホンの繊細な演技。

悪役とか豪快な役が続いてたから、久々で新鮮。そしてやっぱりいいわ。

 

「自分が好きなタイプの映画。ものすごい事件が起こる『映画的』なのよりも、人物の心理や感情を非常に丁寧に追っていく映画」(シネ21より)

 

と本人が語ってるように、これでもかというぐらい本数の多い犯罪アクション系とは全然違う、落ち着いた作品です。

 

ただ、大体内容はわかってるようなつもりで観てたら、終盤の展開が「え、あれ、そういうこと??」という感じで、ショックで上映が終わってもしばらく立ち上がれませんでした…

 

イ・ビョンホンがオーストラリアに行くのに手ぶら?とか、細かく気になるところがあったのが、結末に向かってすーっと理解できる。

 

妻に男ができてて嫉妬するとか、そういうレベルの話じゃないんですよね。

 

韓国にいた時は施錠に神経質だった妻が、オーストラリアではドアを開けっ放しにして出ていく。のびのび幸せそうに、自分(ジェフン)の知らない世界で生きている。

 

妻を演じるコン・ヒョジン(공효진)も、地味な役ですが、絶妙でした。

 

イ・ビョンホンやし、日本でも公開されるよね。

にしても、韓国でのこの動員数(35万人弱)はちょっとひどいな…

 

全般的に、今、韓国では映画が低調です。

なぜなら「現実のほうが映画的だから」(笑)

今日で開講から1週間。

どの授業もおもしろいけど、なかなかヘビーです。

基本、読む本も見る映画も、いっぱい。

 

そして今日で2回目の「アジア映画分析」。

前回出された課題は、黒沢清監督の「CURE(キュア)」でした。

発表者以外も当然見てきて、議論に参加する。

「キュア以外の黒沢清監督作も見てくるように」と言われたけど、結局「キュア」しか見れなかった。これまでいくつか見てるから、なんとかなるかな。

 

 

1997年の作品なんですね。韓国では、これがどのタイミングでどういう形で見られたんやろ。まだ日本映画が劇場公開されてないころやし。

 

映画学科だからというのはもちろんあるけど、みんな日本映画見てる、見てる。

研究テーマも黒沢清、是枝裕和、小津安二郎、園子温…と日本の監督が一番人気なようです。

そして別の授業では、新海誠監督作品の「風景描写」について発表するようにと指名されました。ははは。「君の名は。」しか見てないねんけど…

 

それにしても、キュア、おもしろかったです。

韓国で日本の名作を知るという…

 

黒沢清が世界で知られるきっかけになった作品なんですね。

 

容疑者はそれぞれ別の人物なのに、いつも遺体はX字型に切りつけられているという連続殺人事件。萩原聖人演じる男が殺人を教唆した「犯人」と思われるが、その手口は謎だらけ。役所広司演じる刑事が翻弄されていく。

 

と、ざっくり書いてみたら、「コクソン」みたいやな(笑)

あれ、なんかほんとにちょっと似てるかも…

 

全編通して、得体のしれない気持ち悪さと緊張感。

最後が衝撃でした。

 

怖さの一つは、ごく普通っぽい人間が、殺人を犯してしまうというところ。

ただただ催眠術にかかってというだけでなく、動機の種みたいなものはそれぞれ持っている。

 

ちょっと別の話ですが、

指定される本が、全然書店になくて、アマゾンみたいなところで注文したんですが、

 

会員登録とかさんざんしたあげく、最後に決済で海外のクレジットカードが使えないことが発覚。どうにも方法がなくて、また友達に頼んで買ってもらいました…そして昨日韓国のクレジットカードを申し込みました。

 

今日、カカオトークで「本日16時から18時に配送予定」と連絡が来たのですが、その時間は授業なので受け取れない。カカオトークに書かれてる連絡先(携帯)にかけて「明日にしてほしい」と言ったら、「不在でもいい。ドアの前に置いていく」と。いろいろ、韓国的(笑)