舞台「ダメ女の法則」評 | MONAサポなおきぃの文字あふれブログ

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Twitterでは書ききれないこととか、
ちょこちょこっと不定期で。

あら♡こんにちは。なおきぃです。

 

今回は、舞台「ダメ女の法則」の感想ブログです。

有難いことに僕のブログを昔から読んでいただいている方は、「ダメ女の法則」っていう作品のことをご存じの方や、「話には聞いたことある」って方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?

 

もう4年前になるんですよね。

このブログを書き始めたのは、実は映画版「ダメ女の法則」がきっかけだったんです。

 

上映披露試写会での優木風見ちゃんのお話

初めてアクセサリーを作ったのも、この時。凜ちゃんに贈ったものでした。

上映会のお話。

 

ーーー

と、まぁ、そんな懐かしい想いも甦りながら行ってきました。

「大阪市立芸術創造館」3days 5公演!

 

思い入れが強い作品の舞台化ということで、書くこと盛りだくさんです。

今まで以上に長いブログになること、ネタバレ満載になることを覚悟の上でご覧ください。

 

 

まず、総評から。

 

とにかく、良かった。凄かった。素敵だった。カッコよかった。綺麗だった。見事だった。

思いつく美辞麗句をランダムに選んでもどこかに当てはまるというくらい、見事な出来上がりでした。

演者の皆さんそれぞれの素敵なところは別途後述しますが、舞台全体のことを一言で評価すると、僕はこれだと思います。

「練と錬(れん)」

練習はもちろんですが、それより「練りに練った」という意味の「練」。

〝どうすればこのメッセージを正しく最大限適切に客席の皆さんの心に届けることができるか。〟〝目や耳に見せる・聞かせるだけじゃなく、心に届けたい。〟そういう思いが、演者さんだけじゃなくて監督さん・脚本家さん・照明さん・音響さん・舞台セットや衣装・小道具を準備されたスタッフさんたちの気持ちも含めて練りに練られていた気がします。


例えば、舞台が始まる冒頭の暗転。

ぱっと暗転するんじゃなく、最後までピンスポットで、バーカウンターの上のBUTTERFLYの文字だけ残したり。

例えば、チャプター毎の話の進め方。

まず、悲劇のヒロインダメ女・光。

[ダメ女登場⇒凜がズバッと指摘⇒大翔がオロオロ⇒マスターが優しくフォロー]

こういう形を見せて、ダメ女に対する話の進め方のチュートリアルが完成。

ただ、これが定型文になるんじゃなくて。

あるときは酔った直美が絡んだり、あるときはマスター・凜・直美が副音声的に入ったり、あるときは、「この回(チャプター)活躍してないだろ!」と、凜が大翔をダメ女を連れ戻しに行かせたり、ある時は上下(かみしも)で二元シーンを並行で進めて、最後に一つにして話をまとめたり。

そのバリエーションの工夫が練りに練られていて本当にお見事だと思いました。

加えて、美穂は最初に伏線のように出てきて、後に別のチャプターで出てきたり。光は自分の話だけじゃなく、後半で別のダメ女の友達を連れて来るという形で現れたり。

こういう絡みあいの部分も楽しい部分でした。

 

もう一つの「錬」。鍛えるという意味の錬です。錬金術とかのね。

11人の演者さんお一人お一人がその役に向き合って、ご自身の中とお稽古の中で、コツコツ叩いて磨いて磨いたその役が、本当に見事なまでに鍛えられていて、発せられるセリフだけじゃなく、目線や顔・身体の向き、手先の使い方、グラスや小道具を触るタイミングとかまでもが、まるで東心斎橋に本当にこんなバーがあって、日々営業してお客さんが出入りしているかのようなリアリティがありました。

そんな練と錬が、観ている側を完全に没入させてくれていたと実感しています。

 

あ、ちなみに、こんな考察じみたことは、決して舞台を観劇しながら感じていたわけではありません(笑)余韻の中で思い出しながら、そういえば・・・と思っていることです。あしからず。

 

 

さて。ではここから、その錬で鍛えられた各演者さんの短評です。(ちっとも短くないけど)

何順にするか迷ったのですが、おおよそストーリー通りチャプター順で。

 

悲劇のヒロインダメ女 / 光 役

手塚マナカさん

常連の坂本円(まどちん。松山莉奈さん)に連れられて初めてBar BUTTERFLYを訪れるダメ女が光。何事にもネガティブで仕事でも彼氏との間でもうまくいかないことは「私のせい」と思ってしまう悪い癖。まさに、こういう人いるよねーっていうダメ女なんですが。

円にその苦労や彼氏への愚痴を延々と吐いてしまう表情やセリフの強弱、頭をかきむしる姿がまぁなんというか痛々しくて。。。円と一緒に💦💦ってなってました。

その後、凜にバッサリと「別れたきゃ別れたら❓」「悲劇のヒロイン演じてる」と指摘されて、受け入れられず狼狽しながら店を後にする姿も見事でした。

後日、少し改心して再登場し、すっきりした表情も見せてくれるのですが、その時の凜への感謝を伝える姿も声のトーンも、ダメ女だった時とは全然違う感じがして、ちゃんと感情が切り替わってるとこが流石でしたね~。

最後に友達のダメ女実来を連れてくるのですが、その実来を心配したり実来を支えようとする光の姿も強烈な友人愛を感じて、涙を誘う好演でした。

映画版の向井直美に続いて舞台版への参加ということもあり、ダメ女の世界観を最初に会場に浸透させる大事なポジションだったと思います。

流石劇団MONAに欠かせない女優、てぬーさんでよかったーっていう光でした。

 

結婚焦りすぎダメ女 / 里見 役

大森彩葉さん

次のダメ女も劇団MONAの看板女優のお一人の彩葉ちゃん。

これまでの役どころはヒロインの良き理解者で優しい友達とか、主君を守るAIの従者というものだったのですが、今回のダメ女では過去イチ、クセがあって楽しいダメ女を演じきってくれました。

29歳になって周囲の同期女性はみんな結婚していくし、焦ったり夢を膨らませたりと忙しい女性。後輩の円と偶然バーで出くわして、結婚についての理想を語っていると、合コン終わりに酔って手が付けられない状態でバーになだれ込んできた、独身で仕事人間の常連客・直美(30)(西岡千尋さん)が、その里見の結婚観に難癖をつけてしまう。

この直美に真っ向から絡んでしまう里見の口げんかのシーンは、まさに前半の見どころの一つ。

互いに聞えよがしに持論をぶつけあって、どんどん苛立ちが募る表情や声量のグラデーションは、ほんまに見ごたえがありました。

この苛立ちとかカッチーンとくる役って彩葉ちゃんの演技としてはこれまで観たことなかったから、「おー、こういう彩葉ちゃんの演技も凄いっ」って感じで。

実はこのシーン。

カウンターにいる直美に対して、テーブル席にいる里見と円の位置が、公演によって変えられていたのです。

テーブル席でカウンターの直美側に里見がいるときは、背中越しに浴びる直美の難癖にどんどん顔色が険しくなっていく里見が見れたし、逆に直美と里見の間に円が座っている位置の時は、常連さんだからと里見を制止しようとする円を振り払って、遠目から直美に食って掛かる里見にも迫力がありました。

そんな工夫も楽しくて、色んな演技の形が観れて嬉しかったですね♪

 

ダメ男製造ダメ女 / 愛菜 役

五十嵐優美さん

バーのアルバイト大翔(芦田雄太さん)のゼミ仲間で、どうやら大翔に気があるそぶりを見せる愛菜。大翔のことは、〝今は〟ただの友達だけど気になる&気に入られたい存在というところでしょうか。

時に猫なで声で大翔を褒めまくり、時に自分の身の上話を大翔に浴びせかけ、とどめは〝私けっこういい女なんですよ〟というアピールも忘れない。そんな素振りで大翔に気に入られようとする小娘(失礼)を、見事なまでに演じきってくれました。

優美ちゃんの舞台としての経験は、ロミジュリの従者役で、キャラクターもしっかりある役なんだけど、この愛菜の役はいわゆる〝本当に居そうな女の子〟。逆に役作りが難しい一面もあったんじゃないかなと思います。

それでも、単にダメ女的デフォルメを強くするという役作りじゃなく、優美ちゃんなりの解釈の中心にある〝大翔に興味津々な女の子〟という軸から、どんどん役の色を付けたしていって、このセリフの時はこんな声で、こんな表情で、こんな仕草でっていう膨らませ方をしてくれたように思いました。

短いシーンではあったのですが、いわゆる〝演技脳〟に長けた演技がちりばめられた好演だったと思います。

もっと観たい演技だったので、彼女へのお手紙の最後には、こんなことを書きました。

「SeasonⅡが作られたら、大翔と一回付き合ったけど、別れちゃった〝未練タラタラダメ女〟とかどうですか?」

 

脳内お花畑ダメ女 / 美穂 役

由紀恵さん

劇団MONA初登場!でも、コロナ禍で行われたリモートドラマでその片鱗はもう現われていて、いつか生の舞台で観たいと切望していた女優さんのお一人が由紀恵ちゃんでした。

今回の役どころは、言い寄ってくる男性にほいほいついていって、ぽわーんとしてる本当に脳内お花畑な女の子の役。

親友の円よりも簡単に男の誘いを優先するし、凜やマスターの助言にもあんまりピンと来ていない表情や仕草は、観客までも苦笑いさせるようなそんな好演でしたね。

特に違和感なく凄いなーと思ったのは、この美穂が一秒たりとも静止していないという事。

じっと人の話を聞くことができない(それが円であっても)。

スツールに腰を下ろしているときはスマホをいじって上半身を小刻みに揺らしてるし。

立っているときは、〝そこだけちょっと重力ないよね?〟っていうぐらい、軽く身体が浮いてるようにフラフラした足取りで。

お手紙にも書いたのですが、マスターや大翔と同じ感想「こりゃすぐには治らんなぁ~(;'∀')」って苦笑いしてしまいました。

役の理解力がしっかりと垣間見えて、初舞台ということをすっかり忘れるほど、すぐ次の演技が見たくなる舞台女優が誕生した5公演でした。

 

八方美人ダメ女 / 坂本円 役

松山莉奈さん

バタフライの常連でもあり、光や美穂の親友、里見の後輩でもある円。

この役は映画版の時にもあって、セリフもその映画のオマージュの部分もいくつかありました。

ただ、今回は〝八方美人ダメ女〟。

どういうダメ女かなー?って思ってたんですが、対人関係において優柔不断って感じでしたね。

光・美穂・里見と会話をするときも、メインは聞き役。自分の主張や意見はなく、相手の意志や発言を過剰なまでに尊重してしまう感じで、みんなにいい顔するという意味の八方美人というより、みんなに嫌われたくない・波風立てない感じの八方美人でした。

りなちゃんの演技は、光⇒美穂⇒里見⇒美穂という形で他のダメ女と絡んでいくんですが、それぞれの相手のキャラクターを引き立てる意味でも、細やかに話し方や表情・素振りを変えていたところが凄かった。

光とはバーカウンターで。客席には背中を見せているから、表情で演技することより、てぬーさん演じる悲劇のヒロインダメ女・光の悩みを受け取りながら〝そんなことないよ〟〝光はえらいよ・すごいよ〟と肯定する言葉を笑顔で投げることで、余計に光の内面の卑屈さを丁寧に描写するリードができてたと思います。

里見とは偶然バーで出会う感じから、突然恋愛論・結婚観について一方的にまくしたてられて、終いには常連の直美に絡んでしまう先輩を、恐る恐る制する感じとか、けなげな後輩感がきっちり出ていました。

美穂には本当に手を焼いている親友って感じだったけど、凜に正面から自分の弱いところを突き付けられて、ハッとするところや恥じている表情、ギュッと握る手の表情とかも見事でした。

最後に美穂に初めて強く訴えるんだけど、それも円が日頃とったことがないたどたどしさがあって、凜やマスターにフォローしてもらって美穂が少し理解して抱きついて来てくれた時の嬉しそうな顔まで本当に細やかな感情の起伏が表現されていたと思います。

もはや、〝もっとこうしたら〟ってところは、観ている側からは感じられない域にきているかな。偉そうに言わせてもらうと、劇団MONAのメインの女優の一人として、確実な上積みを感じた一方美人の役者の姿でした。

 

低貞操観念ダメ女 / 実来 役

堀井雪乃さん

まず、お手紙にも書いたんですが。本当に難しい役をガッツリこなしてくれるところは流石過ぎました。

下世話(げせわ)な言い方をすると、凜ちゃんのセリフにもあるとおり、ただの〝やりマン女〟。

ゆきっちゃんの実来のそれは、目の色ひとつでその時の自分を表現する力を感じました。

バタフライに連れてきた光や、子供のころからの知り合いである大翔、そして凜の言葉も全く刺さらず、自分の貞操観念の低さを恥じるでもなく、やりたいようにやってるー。って時は、本当に灰色の瞳をしていて。

心配して焦る大翔とのLINEのやり取りでも、瞳は相変わらずくすんでいるように感じました。

妻子持ちの男の子供を身籠っているという発言も大して悪びれもしなかったんだけど、子供の立場から生まれてくる子供がいかに不幸かを訴える凜の言葉に、徐々に表情には動揺が現れ、そんな実来にも優しい言葉を掛ける大翔の言葉に心が揺さぶられてしまった実来の表情からは少し血の気が引いて、目のやり場に困っている感じも表されていました。(この辺でやっぱり凄い、凄い…ってなってました。)

そして数日後、堕胎したという話を聞いた光がバーに飛び込んできて、大翔にその後の実来のことを聞きに来るシーン。偶然、マスターが実来をバーに連れてきて、実来は初めて自分がとんでもない迷惑や心配を周りにかけていたことを強く恥じるのですが、その時の実来の姿や振舞い、表情や眼の色は、あの何も響かなかったやりマンの実来ではなく、狼狽と憔悴がひどいどん底の姿でした。

このシーンの最後。それでも実来のことを慕おうとする大翔の最大限のエールで、自身が犯した自分への罪に泣き崩れるのですが。。。

ここまでの一連のゆきっちゃんの演技は、本当にすさまじいものでした。

もちろん、昨日言われて「はい、わかりました」と言ってできるような役どころではなく、きっとご自身でも必死に向き合って、周りの共演者やスタッフの方の助言も汲み入れながら、本番に向かったものということが想像できました。

リアリティ(本物らしさ)では満足できない・お客さんを満足させられないかもという彼女の女優魂の本質的な部分が受け取れた気分です。

 

 

完璧主義ダメ女 / 向井直美 役

西岡千尋

僕の個人的見解ですが、ダメ女の中でのMVPは千尋ちゃん演じる直美だったと思います。

バタフライの常連の直美は、カウンターの同じ席に座ってマスターや大翔、凜と同じような目線でダメ女を見るひとりでもあるんですよね。

他のダメ女のチャプターでは、それぞれのダメ女にからむときのセリフや表情、仕草で引き立てるし、一方で、仕事が忙しくなって〝自分が頑張らなきゃ~〟と自分を追い詰める完璧主義ダメ女の時は、自分の苦しさや悩みを長ゼリフと完璧な感情で表現してくれました。

僕が、「千尋ちゃんすごいっ」って特に思ったのは、初日皮切り公演の里見とのシーン。

ベロベロに酔った合コン帰りの直美が、結婚に焦る里見に悪がらみするところですが、本当の酔っ払いのようにくだをまいて、大翔曰く「ああなったら手が付けられない」という直美を熱演したところです。

何が凄いかって、初日皮切り公演の最初の見せ場であるこのシーンに、トップギアの照準を合わせていたかのような、そんな大熱演に思えたのです。

光の悲劇のヒロインダメ女、里見の結婚焦り過ぎダメ女。この2つのシーンに直美が絡んで、一気にダメ女の法則という舞台のアウトラインがあの芸術創造館の中に出来上がったと思うのです。

そして、もはや劇団MONAに欠かせない千尋ちゃんの演技の凄みは細かいところにも。
直接話に関わらないシーンでの表情や仕草にも散りばめられていました。

僕が一番好きなのは、ダメ男製造ダメ女の優美ちゃん演じる愛菜がバーに入ってきたシーン。

愛菜が直美への挨拶もそこそこに、大翔を褒めまくり始めたとこで、「私はお邪魔虫ですよねー」って感じでテーブル席にそーッと移動する姿。あの時の細やかな表情とかは秀逸でしたね。

個人的には、完璧主義ダメ女の直美が仕事に求める完璧主義が、中間管理職の僕個人の日頃の悩みとバシバシ重なって、それはそれは共感が凄かったです。(まぁ僕は日頃から100%なんて目指してませんけどね(;'∀'))

 

ここまでがいわゆるダメ女のお話。

ここからはメインの3人のキャラクターについてです。

 

BAR「バタフライ」アルバイト / 矢島大翔 役

芦田雄太さん

あっちーの大翔。映画版の時の記憶が鮮明に残っている僕個人としては、〝おかえり〟という思いだけでなく、4年経ってどれだけ演技の上積みがあるのかという期待の両方を抱いて初日を迎えました。(めっちゃ偉そうだけどごめんね。)

というのも、この4年の間に、演技だけでもタカラモノ・ロミジュリ・ラスメロ・カミオク・あさぼくと、全ての作品に出演していた俳優で、その全てでの好演を漏れなく観てきたから。

そして、その期待は、大きく上振れの形で裏切られました。

ほんまに凄かった。

色んな感情のふり幅をやったり、クセのあるキャラクターを引き出しに詰め込んできたおかげだろうか。大翔の本気度が冒頭からエンディングまで溢れていた気がします。

初日、皮切り公演が終わった直後。

「いや、あっちーの演技の懐の深さがすごい」って、ぼそっと詠嘆してしまうほどの演技だった。

ロミオのようなやり場のない憤りを演じた経験も、カミオクの一ノ瀬のようなニヒルな役の経験も、全部演技の筋肉として身についてるなぁと、とにかく強く実感した5公演でした。

ダメ男製造ダメ女の愛菜(五十嵐優美さん)と、低貞操観念ダメ女の実来(堀井雪乃さん)との絡み以外は、基本的におどおどしたり、「おい、凜!言い過ぎだぞ」「マスター、どうしましょう?」というサブ的なキャラクターなのですが、いずれのシーンの演技も抑揚がはっきりしていて、客席に向かって「皆さんもそう思いますよね?」と同調を誘うようなセリフや表情も細やかに丁寧に演じ分けられていたと思います。

シーンごとに色んな表情を的確に使い分ける演技力と表現力。

感性と精度が際立った役者になっていると強く感じて、次回作〝わたいそ〟も楽しみになった5公演でした。

 

 

謎の女の子 / 栗山凛 役

原知慧さん

いや、もう僕大ファンなので。凜ちゃんの。

100%おかえりっていう感情が、キャスト発表から初日の幕が上がるまでずっと溢れていました。

初日皮切り公演はそういう意味では凜ちゃんだけは冷静に観れなかったかも。

何を言っても、どんな表情をしても、「あー、帰ってきたー」っていう感情が先に立ってしまってて。それくらい待ち遠しかったのでした。

ちーちゃんの凜は、数々のダメ女に対してズバズバと正論をぶちかましていくわけですが、とにかくセリフ量が。。。しかも批判的な発言が多い長ゼリフと掛け合いだから、本当に大変な部分があったと思います。僕もそこに最初は目がいきがちになっていました。
でも、ちーちゃんの演技の一番本質的な凄いところは、長ゼリフがあるからこそ、一方で大事な〝ワンフレーズのセリフの時の目と表情〟にあると思っています。

例えば、大翔が、「凜は夢はないのかよ?」って聞いた後の一言。

テーブルを拭きながら、目線は手元に落としたまま口から出る「あるっちゃあるけど。。」という言葉。その時の表情は、自分のこととなると初めて消極的になる一面が垣間見えて。

大翔に耳打ちして教えた後、大翔が「いいじゃん!言葉にしないと叶わないぞ!」と言われても、かぶりを振って、まるでそんな期待を振り払うような姿は、凜の心の動揺を見事に表現して後のシーンにつなげてくれていました。

もう一つ。

なかなか店に現れない直美のことを、大翔が「ストレス溜まってるんなら発散しに来るんじゃないか?」と、軽く言うことに対して、「そう。それ(そうやってストレスを発散しようとすること)が心配なの。」といったり、その後の「心配だね。。」っていう言葉の時の表情が、本当に心から直美のことを心配している表情で。

その後、直美が来店して、「直美さんはちゃんとわかる人だから」と言いながらグラスを差し出す姿は、本当にぐっと来ました。(前述の通り、自分が励まされている気分になったのかも)

そして。ラストシーン。

映画版のときから毎回「よかったね~」って泣いてしまう一言。

「聴いてください。『ダメ女の法則』」という時のちーちゃんの凜の表情は、いつ何度見ても嬉しさと安堵が心から込み上げてくるのでした。

 

 

BAR「バタフライ」マスター / 安藤蒼生 役

野口一真さん

んー、主役として座長としてお稽古からずっと引っ張ってきて、でもそういう先頭で引っ張ってるというだけじゃなくて、キャスト全員・舞台全体を背中から包んで優しく前に押し出すような、そんな姿が垣間見えた一真君のマスター像でした。

セリフや立ち回りの複雑さといった技術的側面はもはや言うまでもなく完璧で、完璧だからこそ届くマスターのメッセージと表情は優しいけど的確で心強くて。

ダメ女に少しでも共感した観客は一人残らずマスターの言葉や表情に救われていたと思います。(僕ももちろんその一人です。)

一真君の演技面で言えば、まぁ、経験値もあると思いますが、セリフを装飾する〝仕草〟がとにかく見ごたえがありました。

タバコを咥える姿や、灰皿を取りに行く自然な振る舞い。グラスを下げたり、カウンターに両手を掛けて、もみ手しながら語る仕草なんかも、ナチュラルでしたねぇ。

僕が良く見るバーのマスターも似たような感じです感じです。

それらの動きをしながら自然と発せられる言葉も多く、〝普段からそうやって話してるよね〟っていう刷り込みを観客にも植え付けてくれたように思います。

また、ストーリーのクライマックスの一つである、凜への動画メッセージを撮影するシーン。

大翔に煽られたとはいえ、初めて本心で妹に対するメッセージをぶつける熱い姿は、本当に胸を打つ本気の姿でしたね。

5公演の一真君の演技の中には、シナリオ・ストーリー通りのところと、工夫がちりばめられたところと、いわゆるアドリブ寄りの〝ハンドルのあそび〟のような部分が絶妙に組み合わさっていて、その抑揚や強弱の付け方が見事と感じるところが本当に多かったです。

これまでの舞台でも沢山賞賛をさせていただきましたが、また新しい新境地を一つ得てくれたような喜びも感じた好演でした。

 

 

そして。今回の大事な客演。

 

凛の母 役 

竹本友萌さん

本当にありがとうございました。です。

ご本人に直接感想を伝える時間を少しいただけたのですが、凜の母という難しい役どころを完璧に演じていただいて本当に嬉しかったし、友萌さんがお母さん役でよかったなぁって心から思います。

役どころは、ざっくりいうと「いつまでも子離れできないダメ女(ダメ母)」というラベリングもできるかもしれません。

セリフの中にもあるけど、女手ひとつで大事に不自由なく育ててきたという矜持が前面に出ていて、娘がそれを受けて自分の思い通りの人生を歩むのが当然と信じて疑わない母という役どころ。

凜は実は優しくて、その母の想いを知りつつも自分の夢との折り合いがつかない葛藤を抱いていたんじゃないかということが想像できる母と娘の関係性を母の演技を通じて的確に伝えてくれていたと思います。

沢山の舞台経験がある友萌さんの演技をどうこう細かく評価するのは無粋なことなのですが、目線ひとつ、身振り手振りひとつ、そして凜を一喝するセリフや、時に「凜ちゃん」と優しく語り掛ける声色の使い分けなど、そのどれをとってもプロの演技だなーと感嘆しておりました。

千穐楽のラストシーン。

それまでの4公演とは違って、凜のインタビューを覗き込む全てのダメ女と一緒に、凜を応援するうちわをもって一緒に登場した時は、嬉しくて思わず涙が出たなぁ。

実はその最終日に友萌さんにお渡ししたお手紙にはこんなことを書いたのです。

「〝数年後〟の頃は、きっと娘の活動に理解を示して、一番の応援者になってるんだろうなぁって、そんな想像もできるお母さん像だった気がしています。」

想っていた通りのお母さんだったことが、凜ちゃんファンの僕としては言うことなかったです。

 

 

 

 

ここまで、キャストの皆さんの感想でした。

そして、今回の舞台での初の試み。ゲストの皆さんのご出演についても軽く触れさせてください。

 

初日皮切り公演:わたいそメンバーのみなさん

10月に公演が控えている劇団MONAの新作舞台。

「私が扉を開くときいつもミカエシがそこにある」から、優木風見さん、rihoさん、沙耶さん、新見鈴菜さん、杏優さんの5人が登場してくれました。

えーっと。舞台宣伝兼ワチャワチャでした(笑)

例えば、ロミジュリの時にロミオ役だった一真君(マスター)が、ジュリエット役だった沙耶ちゃんに、ロミジュリの出会いのシーンをオマージュして膝をついて手を差し出したり。

あっという間に終わっちゃって、鈴菜ちゃんの帽子がぶかぶかだったのと、ドレス姿の沙耶ちゃんの背中がぱっくりあいてて綺麗だったなーっていう、うっすい印象しか残っていません(笑)

ごめんなさい💦

 

初日夜公演:Piretes Stuntさん

ロミジュリの殺陣の先生としてもはや劇団MONAには欠かせないサポーターであるPiretes Stuntさんの皆さんが登場して、目の前でド派手なアクションを見せてくれました。

最前列で観させてもらってたら、舞台を降りての立ち回りもあって大迫力でした。

ただ。。。なんか、メインのオギさんがアクション以上に派手にセリフをすっ飛ばしたらしくて、前例がないことですがカーテンコールの中でやり直しが行われるというハプニングも楽しかった公演となりました(笑)

 

二日目昼公演:ヒトリルームさん

舞台終わりに登場してダメ女関連の歌を歌ってくれるのかしら?とか思ってたんですが、なんと劇中に、〝流しのヒトリルーム〟としてフラッとバーに現れる感じで。

それも驚いたんですが、歌ってくれた歌は、いずれも僕の涙腺をいじめるものでした。

まずは、「また恋したって」のセルフカバーを弾き語りで。

次に、ご自身の代表曲の一曲「タツルミキ」

 

 

最後は、MONAアーティストでもある一真君に提供した楽曲、

「平行線の向こうに」を一真君とデュオの形で。

もうね。嬉しすぎて大号泣しました。

 

二日目夜公演:トップシークレットゲスト

誰だろうと予想してたんですー。前の日から。

役者さんかなー。歌い手さんかなー。rihoちゃんもヒトリさんも出たし、MONA以外からかも。。。とかね。

なんなら土曜日に大阪にいる有名な芸能人の方を強引に呼んだりしてるんじゃないかって。

例えばご縁があるMBSさんつながりで、当日朝の番組で大阪に来られていた岩城滉一さんとか?バーが似合うよねみたいな妄想も。

ところが(失礼だな)、バーの扉を開けて入ってきたのは、脚本家のみんな大好きケバブ大吾さんでした。

ダメ女の法則の裏話をちょっとしてくれたり、持ってきたギターで乾杯のサビを合唱したりと、まぁまぁ、わちゃわちゃしながらも楽しい時間でした。(笑)

でもさ。

前の日にスタッフさんもいる前で「これでトップシークレットがケバブさんだったらみんな発狂しない?」とか、「いやー、まさかそんなことはないでしょ」とか、平気で言ってたけど大丈夫だったんかな?💦

ともかく、今後MONAフェスでもどんなMONAさんのビッグイベントでも、〝TOP SEACRET GUEST〟っていうフレーズが使えなくなったことは間違いないでしょう。

 

千穐楽公演:レジスタンスの皆さん

YouTuberとして活躍されているレジスタンスの皆さん。主演の一真君もその一員?として時々YouTubeに出演していることもご縁で、今回は逆にレジスタンスをネットの中からリアルの舞台に呼び込んでしまったというわけでした。

満席の千穐楽公演のお客さんも大盛り上がり。癖のある3人のキャラに、日ごろは対等に接している一真君もどうもやりにくそうにしているところが、「あらら、一真君でもそんな顔するのね」って感じで面白かったですね。

今後も折に触れて色んなコラボが出来たら面白いなーと感じました。

 

 

はい。凄く長くなっています。

いつもながら、本当にここまでお付き合いいただいてありがとうございます。

もう少しお付き合いくださいね。

 

今回〝も〟劇団MONAには欠かせない重要なピースの活躍がありました。

 

まず、照明の和泉さん

完璧だったよね。中にはシーン転換の時のチャプターの文字が見にくいという話もあったらしいけど。個人的にはさほど気にならず。(涙拭く暗転の時間だから?w)

それよりも、冒頭でお話ししたピンスポットの使い方から、上下の2元シーンの時の暗転明転の部分、バーのカウンターの上以外の照明をあえて落としてシーンを強調したりとかも、いつもいつも凄く丁寧で素敵なお仕事をしていただきました。

開演前の大きなバタフライのロゴ。最初にあのロゴを観たときに、映画を観ていた頃のことが想起されて、ジーンってなってました。

 

 

 

 

 

次に、音響・PAの有元さん。

突然ですがサントラ作りません?

凜がビシッというところで決まって流れるBGMとか最高でした!

大翔と実来のLINEでの掛け合いのトーク、電話のバイブ音、グーで凜が大翔を殴ったり、凜の母親が凜をぶってしまうところの効果音など。

音の部分による臨場感の演出によって、観客を同じバタフライの客として招いていただきました。

 

あと、音の部分で言えば、開場から舞台の幕が上がるまでのBGMもご機嫌なソウルミュージックやR&Bで本当に素敵な曲ばかりでした。
Shazamとかで曲名調べたりしたんですよ♪

 

千穐楽の公演が終わった後、和泉さんと有元さんには、後ろを向いて手を振った時に気づいていただき、拍手を贈らせていただきました。周りの観客の皆さんも一緒に拍手されていましたが、全公演のお客さんが同じお気持ちで拍手を贈られると思います。そんな素敵なお仕事でした。

 

そして、今回の舞台セット。

ロミジュリの舞台セットでおなじみのENDO工房さんだったんですね。

凄くリアルなバーカウンターやバックボードのリカースタンドも。もちろん、ドアの部分のセットも本物でしたね。

今回も凄く素敵なセットをありがとうございました!

 

 

今回は8月5日にビジュ撮影にもお邪魔したのですが、衣装スタイリストのMaiさんのご尽力も素敵だったと思います。

キャラクターを作る外見の部分でもありながら、そのキャラクターのootdである必要があるから、衣装臭さは派手に出せない現代劇としては120点のコーディネートだったと思います。

個人的には、光のトップスを抜き襟からボタンを留めたシャツにマイナーチェンジさせるところとか、円にデニムのトップスを着せて工夫させるところとか、そういうとこが好きでした♪

 

監督さんと脚本家のケバブ大吾さん

お二人はもちろん映画版の時も制作のトップとしていらっしゃっていて、映画版から持ってこれるところと、舞台ならではのところを上手く融合させて、新しくも懐かしい、懐かしくも新鮮なダメ女の法則を創っていただいたという思いです。

公演時間はそれほど長くなく、ライトな舞台作品という捉え方もできるのかもしれませんが、間違いなく〝凄いもの創ってくれた〟という最大限の賞賛を贈らせていただきたいと思います。

本当にありがとうございました。

 

Bar BUTTERFLYは一旦閉店となってしまいましたが、是非2024年中にお願いしたいです。

舞台「ダメ女の法則 ~Bar BUTTERFLYリニューアルオープン公演~」

舞台「ダメ女の法則 ~Bar BUTTERFLY東京2号店公演~」とかね。

 

最後に、一平さん、NaoさんをはじめとするMONAスタッフの皆さん・芸術創造館のスタッフの皆さんにも大変お世話になりました。

凄く、本当に凄く快適に会場で過ごすことが出来ました。

色々イレギュラーもあって大変だったかと思いますが、真摯にご対応いただいて本当にありがとうございました。

(2日目の夜公演終了後から3日目の昼公演までの間に、座席列を工夫して席数を増やしていただいたとお聞きしています。そういったお心遣いによって、喜びを共感する観客の方が一人でも増えたことが何よりうれしいです。)

 

今回のダメ女の法則。

お稽古見学に伺った時に僭越ながらこんなことをお伝えしました。

「劇団MONAをはじめとするMONAさんのイベントの魅力は、その作品を観た時だけじゃなくて、観た人の帰り道が笑顔で幸せな気分で溢れていること。今度のダメ女も、どうぞ観た人の帰り道が幸せな気分になるような、そんな素敵な作品に仕上げて届けてください。」

(りなちゃんが舞台挨拶でご紹介してくれてたよね♪)

 

安心してください。

僕をはじめ、観劇された皆さんの帰り道は間違いなく、幸せなものだったと断言できます。

 

本当にありがとうございました。

 

 

ここまで、長文にお付き合いいただいて本当にありがとうございました。

また、来月のわたいその感想ブログでお会いしましょう♪

 

おしまい♡