料理を美味しくするために、プロの現場では家庭とは違う様々なことが行われます。

今回はその一つ

水塩(みずしお)

を紹介します。

 

みなさんの知らないところで、こんなこだわりを持って仕事がされているんだよということを知ってもらえたらいいなと思います。

若手料理人の方には、今後の料理作りの参考にして頂けたらと思います。

 

水塩というのは簡単に言うと飽和食塩水を作り一晩ほどおいたもののことです。

「塩」ではなく「塩水」であることが美味しさを作るポイントになってきます。

 

実際の現場では、お椀に使われる出汁(吸地)に味をつけるときや

煮物に味をつけるときに使われます。

 

ではこの水塩、何がよいのかと言うと

①塩の溶け残しがなく、一瞬で塩分を出汁に回すことができる

②味がまろやかになる

という理由である。

 

①は異論がないと思いますが

②のついては詳しく説明しておきます。

 

なぜ味付けに水塩を使うとまろやかになるか!?

 

水に塩を混ぜ合わせた直後のものというのは、見た目には水と塩は混ざったように見えますが、分子レベルでいうときれいに混ざり合っていないのです。

塩と水を混ぜて塩水を作り一晩程おくと、塩の分子と水の分子が結合します。

この分子同士が結合することによって、味にまろやかさを作り出すのです。

このできた水塩を使って、出汁に味をつけると、一瞬で味が馴染み丸い優しい味を作り出すという算段です。

逆に出汁に塩で味をつけると尖った味に感じます。

そして、出汁というのは加熱しすぎると出汁の香りが揮発してなくなってしまうため、

椀物のように出汁の香りが重要視されるものには、水塩を使い最短で味をつけるのがベストであるということです。

 

水塩の作り方

【材料】

天然塩(自然塩)300g

水 900cc

卵白 1ケ

 



①鍋に天然塩(自然塩)と卵白を入れてよく混ぜる

②水を少しずつ加え、混ぜ合わせる

③弱火で火にかける(液面がフツフツゆらぐ程度)


ここで説明しておきたいのが

卵白を入れるのはなぜか⁉︎

卵白(砕いたの殻をを入れる場合もあります)使うのは

塩の雑味やアクといったものを取り除くためです。

静かに加熱すると、卵白がアクなどの成分を吸着したり、包み込んだりしながら次第に固まり、液面に上がってきます。

フツフツしてきた頃には、卵白と雑味の成分は固まり、その下にはきれいな水塩ができるのです。

注意点として、ボコボコ煮立たせてしまうと、卵白の一部が砕け、濁りの原因になってしまいます。

フツフツゆらぐ程度がポイントです!


④アク、浮いてきた卵白を引く

飽和状態になると表面に塩の結晶ができ、鍋底に沈んでいきます。

この状態になったら火を止めます。

 



⑤漉して自然に冷ます

⑥冷えたらもう一度漉します。

余熱で水分が蒸発することによって、再度結晶ができてくるので、もう一度漉します。

⑦瓶などに入れて活用します

 



出汁にこの水塩で味をつけ、飲み比べてみてください。

この水塩の価値は、味わってみることが一番です。

一手間かけるだけの味になることを保証します。

 

家庭ではここまでこだわるのは大変かと思いますが、プロの現場では、こういう細部の積み重ねによって、美味しい一皿が完成しているということを知っていただければ幸いです。

 

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