県内のみのフィーバーキャラ はばたん
はばたんとは兵庫県で今年行われる国体のキャラクターである。
くわしくはこちら
昨日全国版のニュースに出ていてびっくり!おお!!!
このキャラは兵庫県限定の人気キャラです・・・。
ちゃんとはばたんダンスまでありますし、踊ったこともあります。
幼稚園のお遊戯でも人気らしいです。
ところでこの国体あのハンカチ王子も出場!!!はばたんとハンカチ王子の人気の軍配は? そしてはばたんの老後は?真夏に倒れたはばたん続出という人間臭さのあるはばたん・・・。一県民としてはキャラクターとして残っておいて欲しいですね^^
不死鳥(フェニックス)であるはばたんよ永遠に・・・。
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実は買っちゃいました^^;といっても漢検ソフトを買うつもりで貯めていたポイントを使って・・・・。もちろんただで注文。3150円は送料を入れても安いですよね^^;これでゲームの世界が広がります。ポイント万歳!
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ポケモンD&Pが届いた!!!
さっきポケモンだいすきクラブセレクトショップの箱に入ったD&P二本組みが到着しました。箱の小ささからあれって思ったんですけれど・・・。
内容物は
が・・・・入っていました。フィギアはちょこっと手に乗る大きさ・・・。抽選でもらえるクリスタルフィギアは入っていませんでした^^;
なんと、もうすでにこのソフトはプレミア価格になっています^^;
もう定価では買えません^^;
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[DS] ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ポケモン2本セット (フィギュア3体・特典付) |
やはりまだまだポケモン人気はすごいっす^^;
また楽天雑誌に書かれる???
このような内容が書かれていました^^;
本日発売された週刊新潮(10月5日号)に当社に関する記事が掲載されておりますが、同記事の内容は8月31日発売の同誌(9月7日号)と同様に事実無根かつ悪意ある憶測に基づく内容であり、当社の信用を著しく傷つけるもので誠に遺憾であります。 以下に事実を誤認、曲解している部分を例示しますと、記事中には当社社長三木谷が7月7日から11日までハワイに行き、14日までは都内ホテルに滞在し、この間業務に従事せずに東京地検特捜部による事情聴取を受けていたかのような表現がありますが、7月7日から14日は、日本国内にて精力的に執務を行っておりました。7日(金)はシステムコンサルタント会社社長との面談の後、終日社内会議を行っており、8日(土)、9日(日)をはさんで、10日(月)にはドイツ銀行が開催したジャパン・カンファレンスにて投資家約100名に対してプレゼンテーションを行っております。 11日(火)は京王プラザ札幌にて約150名の楽天市場出店者様とともに『楽天EXPO』に出席。12日(水)は社内会議をこなす中、外資系証券会社の幹部訪問を受け、13日(木)は仙台にて札幌同様約150名の楽天市場出店者様とともに『楽天EXPO』に出席しております。14日(金)は取締役会等の社内会議に加え、海外からのお客様の訪問を受けております。 このように、記事が指摘する期間について当社社長三木谷がハワイに滞在、あるいは14日まで会社に顔を出さなかったというのは全くの事実誤認であり、しかもこれらの経緯について当社に確認することなく記事化したことは、週刊新潮9月7日号の当社に関する記事への抗議書に対する新潮社からの9月5日付回答書にある『多くの関係者に綿密な取材をした上で問題点を検証し、報道することはジャーナリズムの責務』であるとの主張とかけ離れた良識を欠く姿勢であると考えます。かかる同社の無責任な姿勢に強く憤りを感じるとともに、上記事実こそが本件記事の真実性の欠如の証左であると考えております。 上記の事実誤認のほかにも、流出した情報にはクレジットカード情報は一切含まれておらず、情報流出時期についても『5月に発覚した』とありますが、当社が初めてシステムコンサルタントの方から連絡を頂戴したのは7月16日であり、これらの点についても大きな事実誤認がございます。もちろん、当社社長三木谷が隠蔽を指示した事実もございません。さらに、独禁法違反の指摘についても、当社としては専門家の意見も聴取した上で、告発には理由がないものと判断しております。加えて、当社の退職者の状況についても、楽天(株)の7月の退職者数は29人であり、記事中にある『220人から230人』という記述は事実と大きく乖離しております。 以上のような事実からも明らかなように、同誌の記事内容は事実誤認が甚だしく、当社といたしましては、一連の週刊新潮の記事について新潮社に対して厳重に抗議するとともに、近日中に裁判所に訴状を提出する予定です。
以 上
2006年9月28日
楽天株式会社
infoseekのトップページを見るとこのような内容のページがありました。今日発売の雑誌についてらしいのですが、火のないところには・・・というではありませんか・・・。うちの会社自身、楽天フリマに出店中であります。気にならないというのはうそになりますが・・・。この雑誌自体あまり買わないものなので、買ってまで見ようと思わないのですから・・・。 余談となりますが、先日の東京旅行で六本木ヒルズに行ってきました。もちろん森タワーの前も通りました。「ああここに楽天が入ってんだ・・・殴り込みにでもいこっか」という冗談を飛ばしながら・・・。あくまでも冗談ですが・・・。 昨日も市場出店担当の方からTELがありました。もちろん出店話ですが・・・。今のところまだまだ余裕がないので、フリマ出店で十分です。うちの商売は需要が合いませんからね・・・。よっぽど宣伝費用をかけないと軌道に乗りにくいでしょう・・・。
第102章 やさしさとは
帝を見送った右大臣は寝殿のすのこ縁の階に座り、溜め息をつく。
(本当にあのお方はお優しすぎる・・・。こういうときこそ我を通されたらいいのに・・・。)
「右大臣様・・・。」
と大和守が右大臣に声をかける。
「申し訳ないことを・・・。あの方はああいう方なのだ・・・。兄宮の廃太子の際も、そうだった・・・。兄宮のために東宮になられ、帝になられても周りにばかり気を遣われる。自分自身のお気持ちを押し殺してまで・・・。大和守、帝のお言葉が聞こえたであろう・・・。」
「お優しい御方ではありませんか・・・。当家の姫のことを考えた上のお言葉・・・。あの方ならば、私は一生死ぬまでお仕え出来ます・・・。」
「しかし優しいだけでは帝は務まりません・・・。優しさが仇になることも・・・。優しさがあの方の弱点でもあります。」
「そういうものでしょうか・・・。地方にいる私には到底わかりません。」
右大臣は苦笑して言う。
「まあ、あの方がああいう人であるからこの醍醐源氏である私がこうして一族最高位である右大臣まで登りつめたわけでもあるのだが・・・。本当に帝は皇后を亡くされてから、さらに自分らしさを失っておられる。どうにかしてお助けしたい・・・。それにはやはりあなたの姫が必要なのです・・・。」
すると彩子が右大臣に近づき、微笑んで言う。
「右大臣様、なんとなくですが判ったような気がします。私、右大臣様の亡き姫君の代わりになっても構いません。あの方をお助けするお手伝いが出来れば・・・。」
すると右大臣は微笑んで言う。
「わかりました。姫のお気持ち、きちんと帝にお伝えしましょう・・・。聞き入れて頂けるかはわかりませんが・・・。」
すると、彩子の母君が、突然口を挟む。
「彩子、私はそのようなことは許しません・・・。彩子にまで私と同じようなことを・・・。」
彩子の母君は宮家出身の姫君である。側室の姫ではあるが、前式部卿宮家のれっきとした姫君である。母君はこの大和守と結婚する前はなんと先帝の更衣として後宮にいた事があった。先帝といえば、帝の父君である宇治院のことである。二十六年前、先帝に見初められて、藤壺更衣として入内した。しかしこの入内は皇后(今の皇太后)が密かに綾乃を懐妊中に一年程宇治に籠もっていた時、帝が皇后によく似た藤壷更衣を入内させて一時的に寵愛していた事があったのである。もちろん皇后が後宮に戻ってきた途端寵愛はなくなり、そのまま後宮を出て、この大和守と結婚したのである。そのことでこうして彩子の母君は彩子の申し出を強く反対した。このことを聞いた右大臣は、驚き言う。
「ああ、あなたはあの時の藤壺更衣様でしたか・・・。私は当時頭中将として先帝の側におりました・・・。あの時は、本当に先帝は尋常ではなかった・・・。宇治院はあのようなお方ではないのですよ・・・。まあ原因は私にあったのですが・・・。ですから、私は宇治院の二の宮である今上帝に生涯お仕えしようと思ったのです。」
右大臣は大和守に侘びを言うと、二条院に帰っていった。
一方清涼殿に戻った帝は内大臣と右大将の前に立つ。早々と帰ってきた帝に、二人は驚き問いかける。
「なんとまあ、早いお帰りで・・・。朝になるのではないかと、右大将殿と話していたのですよ。」
帝は内大臣に借りた直衣を脱ぐと、小袖に上着を羽織り脇息にもたれかかり、考え込む。
「帝、いかがでしたか?期待外れだったのでしょうか・・・このように早くお帰りで・・・。」
と、右大将が帝に言う。帝は苦笑して黙り込んだ。内大臣と右大将は向かい合うと、不思議そうな顔をして帝を見つめ何かこそこそという。すると、帝は籐少納言を呼んでいう。
「籐少納言、実は何も食べていないのだけれども、何か食べるものはないかな・・・。それとお二方に酒と肴を・・・。そうだ私も少し飲むとしよう・・・。」
籐少納言は不思議そうな顔をして下がっていく。
「帝、帝はあまり酒がお好きではないはず・・・。」
帝は苦笑していう。
「兄上、この私でも飲みたいときぐらいあるのです。そうそう、大和守の用意した酒、あれはうまかった。あれなら苦手な私でも飲める。」
女官たちが続々と入ってきて、夜食を並べていく。もちろん酒も用意され、女官たちによって杯に注がれていく。帝はそれを一気に飲み干すと、夜食をつまみながらまた何か考え事をする。三人は何も話さないまま時が過ぎ、帝は酔ってきたのか、脇息にもたれかかって、うとうとしだす。右大臣は帝のために白湯を持ってくるように命じ、膳の上にそっと置いておいた。
「右大将殿・・・やはり何かあったのでしょうね・・・。」
「はい・・・。明日こっそりと右大臣様にお聞きするしかないようです・・・。」
すると、帝は気が付いて白湯を飲み干すと、意を決して二人に言う。
「実は、例の姫は皇后に生き写しだった・・・。でも違うんだ・・・。綾乃と違って、あの姫は大和でのびのびと育った姫・・・。小宰相が側にいたから、きっと私に会わすためにそれらしく礼儀作法とかを仕込んだんだろうね・・・。もちろんあの時入内を切り出しても良かったのだけれども、あのような純真な目をした姫を、このようなところに押し込めることは出来ない・・・。あの姫は私のわがままで不幸せになるんじゃないかな・・・。だから一目見ただけでそのまま帰ってきたのです・・・。」
そういうと、帝はそのまま脇息にもたれ眠ってしまった。籐少納言は帝に上着を掛けると、内大臣たちに言う。
「本当に帝は・・・。もう少し帝の好きになされたらよろしいのに・・・。本当に優しいお方です・・・。皇后様がお亡くなりになる直前の清涼殿を抜け出されたとき・・・。あれが本当に帝のお気持ちだと思ったのです・・・。昔の宮様に戻られたと思ったのですが・・・。そう、綾乃様のことになるととてもむきになられたころの・・・。自分の気持ちにもうちょっと素直になられたらよろしいのに・・・。元服されるまではとても素直でいい方でしたが・・・。いつからこのような・・・。」
内大臣はハッと気が付いていった。
「やはり私が東宮を譲位してしまったからか・・・。もともと優しい弟であった。あの頃からだね・・・。自分自身の気持ちを押し殺すようになったのは・・・。原因はやはりこの私にあるかも・・・。今回の件は無理にでも進めないといけない様な気がする。きっと例姫が入内したら大切にされるであろう・・・。弟宮はそういう性格なのです・・・。決して放っておくようなことはしないと思う・・・。明日、右大臣殿と大和守に会うことにしよう・・・。」
そういうと内大臣は帝を見つめて溜め息をつく。
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詳しくはショップをご覧ください。
私が高校時代影響を受けた漫画^^;
- 場所違いだなって思いながらも、こちらにUPさせていただきました^^;
- この小説から始まって、漫画を見、そして今書いている小説の原本に影響を与えた作品です^^;
- 絵はとても綺麗とはいえませんが、面白かったんです・・・。最近再び大人買いしてしまいました。
- 十月に人妻編の最新刊が出るのですが、今からとても楽しみなんですよね^^;
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- 結構時代を無視しまくりの者ですけれど、とても面白くて文庫本を大人買い・・・。最初のほうと後では絵が微妙に違うのが笑えますけれど・・・。でもかわいらしい絵に惚れて買いだしたのを覚えています。
長々とすみませんでした^^;
ではでは・・・
第101章 引き合わせ
大和守は右大臣の提案に驚きながら仮住まいである五条邸に戻ってきた。すると大和守の正妻は、大和守を出迎える。
「殿、彩子の舞い姿はいかがでしたか?私も見られるものなら見てみたかったですわ・・・。」
「ああ・・・。」
いつもの大和守の様子とは違い、何か考え事をしながら帰ってきたので、正妻はおかしいと思った。
「そうだ、明日一番に大切な話があってこちらに右大臣様がこられることになっている。彩子が帰ってきてもこちらには来なくていいといってくれないか・・・。」
「はい・・・。どうかなさったのですか?」
「いや・・・。彩子には想い人か何かはいるのであろうか・・・。」
「さあ・・・どなたかとは文を交わしているらしいのですが・・・。それが殿方なのか、姫君なのかは・・・。」
「明後日に大切なお客様がこられる。身分が相当高い御方なので粗相がないように・・・。」
「はい・・・。」
「あと、彩子に一番良い唐衣を着せなさい・・・。」
「しかし・・・唐衣は持ってきておりませんが・・・。」
「まあいい、何とかしよう・・・。」
大和守は久しぶりの参内で疲れたのか、着替えると眠ってしまった。
次の日、昼前にはもう右大臣が五条邸にやってきて、寝殿の上座に座ると、人払いをして大和守と面会する。すると、右大臣が声をかけると小宰相やら数人の女房たちが何かを持ってくる。そして大和守の前に置く。
「これは・・・。」
「これは明日、宮様がこちらに参られる際に彩子姫にお着せなさい。これはもともと亡き姫のために誂えた物だが、もう必要がなくなったのでね・・・。彩子姫ならきっと似合うであろう。」
いままで娘に着せたことのないような高価な衣で作られた唐衣一式を見た大和守は、驚いて右大臣に言う。
「このような高価なものを・・・。」
「いいのですよ。ここにいる小宰相たちを明日のために置いていきます。宮様に会って頂くわけですから、きちんとした身なりで・・・よろしくお願いしますよ。」
大和守は頭を下げてお礼を言う。
「しかしなぜ、明日こちらに参られるのですか?」
右大臣は真剣な顔つきになり事の一部始終を話す。彩子姫が帝の亡くなった最愛の皇后に生き写しであること、そして一目会ってみたいと仰せであったこと、こちらへは帝の身分を隠し宮様としてお忍びでやってくること、もし帝が彩子姫を所望であれば、右大臣家の養女として入内可能であることなどを話した。大和守は詳しい内容を聞き、驚愕した。もちろん今まで帝に直接会った事もなく、そして自分の姫が帝の目に留まってうまくいけば右大臣家の姫として入内可能というのだから。
「このことは家族のものにも内密に・・・。外に漏れては困る内容なのです。」
「はい・・・。しかし、彩子はなんと思うでしょう・・・。」
「宮様はあまり無理強いをする方ではないから、姫が嫌だといえばお諦めになられるであろうが・・・。しかし今回は事が事だけに・・・。本当に縁談は今までないのでしょうな。」
「はい。」
「では、これから参内するので、明日の事頼みますよ。私も宮様と共にこちらへきます。明日の夕刻に・・・。小宰相、姫君のことを頼んだよ、いいね・・・。」
小宰相は右大臣の言うことに頭を下げ、右大臣が立ち去るまで頭を下げていた。そして小宰相は大和守に言う。
「はじめまして、私小宰相と申します。右大臣様の亡き一の姫様の乳母。また後宮では皇后つきの女官長としてお側におりました。もし、姫様が入内される場合、お妃教育等、姫様の教育を右大臣様から命じられておりますので、何なりとお聞きください。さて、姫様に会わせていただけますか?明日のことについてもいろいろございますし・・・。」
大和守は小宰相を連れて、姫のいる部屋を案内する。彩子は昨日までの疲れのためか、脇息にもたれかかって、ぐったりしている。そこへ父である大和守が、入ってきたので驚いて姿勢を正す。
「まあ、お父様・・・。そちらは?」
「疲れて帰ってきたのにすまないね・・・。彩子、こちらは今日から彩子の身の回りの世話をするよう右大臣様から命じられてお前のためにやってきた小宰相殿だ。いろいろわからないことなどを聞くといい。」
小宰相は彩子の前にやってくると、深々とお辞儀をして言う。
「私は小宰相と申します。よろしくお願いします。まあ、右大臣様の言うとおりの姫君ですこと・・・。お世話し甲斐がありますわ。」
「では、小宰相殿、頼みましたよ。」
「はいお任せください。」
小宰相は彩子に微笑む。彩子はきょとんとして小宰相を見つめる。
「彩子様、昨日までの舞姫の件でたいそうお疲れでしょうが、明日お客様がこちらに参られる前に、礼儀作法を仕込ませていただきます。」
「お客様?」
「はい。とても位のお高い方がこちらに参られます。恥ずかしくない程度に・・・。」
小宰相はまずどれほどの礼儀を知っているか確かめると、礼儀作法を一から教える。やはり田舎育ちの上、自由奔放に育ったようで、亡き皇后とは雲泥の差であった。
(ふう・・・。やはり思ったとおりの鄙びた姫君だわ・・・。これでは帝に御見せできませんね・・・。中宮様も結構礼儀作法がいい方ではなかったのですが、これ程まで・・・・。これでよく舞姫に選ばれたものね・・・。)
小宰相は溜め息をついて彩子を見つめる。彩子もいきなりの厳しい礼儀作法の教育におこって顔を膨らませた。
「どうして私がここまでしないといけないの?」
「それは姫様のためにございます。」
「私のため?」
「姫様にはお好きな方がいらっしゃらないのですか?もしその方と結婚されるときに礼儀作法を知らないとお恥ずかしい思いをするのは姫様だけではなく、大和守様やお母上様なのですよ。」
彩子はうつむいていう。
「私も好きな人くらいいるもの・・・。でも片思い・・・。」
「どのような方ですの?」
小宰相は微笑んで彩子に聞くと彩子は顔を赤らめて言う。
「お父様の部下である、大和国少掾の和気様よ・・・。ずっとお兄様のようにお優しい方で・・・。でも片思いなのです・・・。少掾様にはお相手がいるの・・・。私の四つ上のお姉さま・・・。お姉さまは少掾様の北の方だから・・・」
「そうなのですか・・・。それはそれは・・・。しかし姫様は十七と言うお年頃・・・。そろそろ大和守様もお相手をお探しでは?」
「そうね・・・。お父様はお姉さまみたいに地方役人を婿には迎えたくないらしいの。だから舞姫を引き受けたの。そうしたらきっと都のある程度の位の方との縁談が来るかもしれないって・・・。」
「それなら断然礼儀作法を・・・。今日はお疲れでしょうから、これでお休みを・・・。」
そういうと小宰相は優しい顔で彩子を見つめると、彩子も微笑んで寝所に入り横になる。やはりこの彩子もやれば出来るタイプのようで飲み込みが早く、帝が訪れる夕刻までには何とかさまになった。
一方帝は夕刻まで公務をこなし、本来であれば、天皇家の文様の入った直衣を着ていくところであるが、やはりお忍びということと、帝という立場を隠しての訪問ということで、兄宮である一条院宮家の文様の入った直衣一式を借りて着替える。清涼殿に帝が不在とわかればちょっとした騒動になるので、兄弟であり背格好の似た兄宮である内大臣が急遽宿直をすることになり、また側には右大将源常隆が内大臣の側に控える形になった。
「兄上、この直衣をお借りいたします。」
「帝、早めのお帰りを・・・。今日の宿直は皆、帝の顔をあまり知らないもの達。その直衣の文様を見て、私と勘違いをする者もいることでしょう。また、車も私のものをお使いください。」
「兄上、皆は気付かないでしょうか・・・。」
「はい、最近帝は父君に似てこられたのです。背格好も似ているので大丈夫でしょう。」
すると右大臣も言う。
「そういえばそうですね・・・。三十路近くになられたからでしょうか・・・。母宮に似ておられた帝が最近宇治院に似てこられたのは気のせいではなかったか・・・。」
帝は自分の頬を引っ張っていう。
「そうかな・・・。最近男顔になってきたからかな・・・。顔って変わるものなのかな・・・。」
和やかに話していると、右大将が参内してくる。すると入れ替わりに帝と右大臣は清涼殿を出て行く。右大将は御簾の中に入ると、内大臣に言う。
「ほう・・・。帝が内大臣様の直衣をお付けになるとやはり内大臣様と間違ってしまいますね・・・。本当にここ数年で帝のお顔つきが変わられた。さすが母君は違えど、ご兄弟であられる・・・。」
「右大将殿はわが父上によく似ている。右大将殿が帝の身代わりをされてもわかるものは太政官の一部のみ・・・。またこちらを抜けられる際は頼むことにしよう・・・。」
「またまたご冗談を・・・。さて、空蝉宿直をしましょうか・・・。今夜中に戻られるといいのですがね・・・。」
内大臣と右大将は思い出したように笑い出すと、籐少納言が用意した夕餉を食べながら歓談することにした。
日が沈んでしまったので、灯篭のみ明かりのためか、内裏を出る道中に出会うものたちは皆、帝を内大臣と勘違いをし、通り過ぎるたびに頭を下げお辞儀する。今日は珍しく内大臣と右大臣が一緒に内裏を出るので、皆は不思議に思ったが、そんなこともあるであろうと気にとめるものは少なかった。内裏外に横付けされた車に各自乗り込むと、右大臣家の別邸である五条邸に向けて車を出す。内大臣の一部の従者以外は、帝を内大臣と勘違いをしている。予定の刻限を少し過ぎてしまったが、無事に五条邸に到着した帝は五条邸の寝殿に通され、上座に右大臣は帝の右側に座り大和守が現れるのを待つ。大和守が現れると、大和守は帝の前に座り深々と挨拶をする。
「宮様、わざわざこちらに御出で頂きましてとてもうれしく思っております。はじめてお目にかかります。大和守源靖伴と申します。」
帝は微笑んでいう。
「突然私のわがままでこちらにお邪魔してすまなかったね。さぞかし驚かれたことでしょう・・・。」
「本日はお気に召されるかわかりませんが、私の任国より取り寄せました食材で、膳を作らせましたので、どうぞお召し上がりを・・・。」
「いえ、こちらこそ気を遣わせて悪かったね・・・。」
「宮様、これは私の妻、悠子でございます。さ、悠子、宮様に杯を・・・。」
大和守の妻が帝に近寄り杯を渡そうとすると、帝は丁重に断った。
「すみません。私は酒が苦手なもので・・・。白湯にしてもらえませんか・・・。」
すると右大臣が言う。
「宮様、せっかく大和守が用意した酒です。大和もおいしく良い酒があります。一口でも口をお付けなさいませ。こちらの酒は右大臣家が取り寄せているものと同じでございます。」
「そうだね・・・。せっかくだから一杯だけ・・・。」
そういうと帝は杯を受け取り、一杯だけ飲むことにした。すると右大臣は話を切り出す。
「大和守、今日宮様が来られた理由を覚えているのか?」
大和守はハッとして女房を呼び、彩子を呼ぶ。少し経つと、小宰相に先導され、昨日右大臣により用意された唐衣で着飾った彩子が入ってきた。この日のために一日みっちりと行儀作法を仕込まれた彩子は父君である大和守が見違えるほど雅な姫君になっていた。
「当家の二の姫、彩子でございます。さ、彩子前へ・・・。」
彩子は父君のいうとおりに帝の御前に座ると、小宰相に言われたとおりに挨拶をする。
「初めてお目にかかります。正五位上大和守の娘、源彩子でございます。よりしくお願い申し上げます。」
今までよりも近くで見た彩子を見て帝は、持っていた杯を落としてしまう。
(まさしく、綾乃ではないか・・・。姿形だけではなく、声までも・・・。)
帝は杯を落としてしまったことに気付くと慌てて取り乱した。
「すみません・・・。取り乱してしまいました・・・。」
右大臣は微笑むと、帝に言う。
「宮様、お気に召されましたか?」
帝の頭の中は真っ白になりじっと彩子のことを見つめていた。すると次第に帝の目に涙が溜まっていく。帝は気付かれまいと、懐紙で涙をふき取ると、立ち上がって右大臣に言う。
「ありがとう、右大臣殿。もう戻らなければ・・・。兄上も右大将も心配している・・・。大和守殿、おもてなしどうもありがとう・・・。これで気が晴れました。では失礼します。」
そういうと、帝は寝殿を飛び出し、乗ってきた車に乗り込もうとする。すると右大臣が声をかける。
「宮様。何を遠慮されているのですか?」
「右大臣殿、私は一目見たいといったのです。それ以上のことは望みません。」
「しかし!」
「生き写しだからといって綾乃の代わりにはならない。綾乃の代わりにされる姫君には迷惑な話。この姫を側に置いたとしても綾乃はもう戻ってきません。堅苦しい後宮に置くことなどできない。あのように純真な姫を鈴華や鈴音のいる後宮に入れるなど・・・。わかるよ・・・あの姫は今まで自由奔放に生きてきたんだろう。目を見たらわかる。あのような姫を籠の鳥にはしたくはないのだ。私は内裏に戻る。この日のためにいろいろ走り回ってくれた右大臣には感謝するよ。大和守によろしく伝えよ。」
そういうと帝は車に乗り込み五条邸を後にした。
第100章 面影
貴船の静養から戻ってきた帝は元の清々しい顔つきで、秋の除目について検討に入る。今回の除目はいろいろと異動が激しい。今年は何故か高齢のため引退を希望するもの、病のため官位を返上するもの、亡くなる者、そして皇后崩御により皇后職廃止など様々な理由でも異動が多い。兼任しているものならばいいが、専任のものは職を与えなければならない。兵部省や式部省から続々と人事についての報告があがってくるのを帝は一つ一つチェックする。殿上を許されているもの以外はほとんど式部、兵部各省に任せることにしたが、殿上人に関してはやはり帝の側近に当たるため、帝は人事案を見ながら一つ一つ決めていった。
秋の除目発表の日、役人たちは皆ハラハラしながら発表を待っている。昇進にとても喜ぶもの、何もなくうなだれるもの、様々な者達がこの日を迎えた。主だった者の昇進はこうなった。右大臣が高齢のため、引退を表明し、内大臣兼右大将である源朝臣将直卿が、右大臣に昇進し、兼任で東宮傅に。異例だが頭中将であった源常隆が二十七歳という若さで右大将に昇進した。帝の兄である中務卿宮は、兼任で内大臣。鈴華鈴音の父である関白太政大臣が、蔵人別当を兼任した。この人事はまさしく東宮は皇后腹の康仁親王であると皆に知らしめた結果となった。
秋の除目が終わり、そろそろ豊明節会の舞姫選び入る。五節舞の伝統を守るために、担当の者たちは十月に入ると走り回っている。もちろん舞姫になるためにはたくさんの財が必要であり、選ぶにも選ばれるにも相当な覚悟がいる。今年は四人選出しないといけないので、公卿から二人、殿上人と受領から二人を選出する。なかなか適齢の姫君がいないようで、土御門左大臣殿は三の姫、権大納言殿は四の姫、橘参議殿の一の姫、大和守の二の姫が何とか決まった。大和守源靖伴は右大臣源将直卿の遠縁にあたり、同じ源氏の流れをくむ一族である。右大臣が嫡流であるのに対し、大和守は三代前の分家である。舞姫に決まったものの舞姫に出す余裕はないので、大和の国からわざわざ都に出てきて、右大臣と面会をし後見をお願いにやってきた。もちろん親戚であるこの大和守の申し出に右大臣は快く承諾をし、大和守の姫君のために、五条邸を節会が終わるまで貸す事も決めた。もちろん大和守は大変感謝して自分の国に戻って行った。帝にもどこの誰の娘が舞姫に出るか報告が来る。ある日の大臣たちとの歓談の際にも、この話題が出てくる。もちろんこの話を出してきたのは帝である。
「土御門殿、舞姫に出されるのはこれで二度目ですね・・・。大変なことで・・・。」
「いえいえ、堀川殿も中宮様と女御様を出された事があります。これくらいうちの家ではたやすいこと・・・。権大納言家は堀川殿が後見されるようですし・・・。」
「ええ聞いていますよ。参議殿は私の父上である宇治院が後見を申し出ているし、大和守は右大臣殿が後見をすると聞きましたが・・・。」
と帝が右大臣に聞くと、右大臣はうなずいて言う。
「はい。私の曾お爺様から分家した家なので、これくらいは当たり前です。大和守が私に申し出をしなくても私が申し出ていましたよ。それぞれもう練習に入っているようですね・・・。」
すると内大臣である帝の兄宮がいう。
「今年は麗しい姫君が揃っていると聞きます。姫君達の縁談話のほうもさぞかしたくさん集まることでしょう。」
すると土御門左大臣が口を挟む。
「帝、もうそろそろ新しい女御を召されてはいかがなものかと・・・。中宮様はもう二十七、女御様はまだ二十歳であられますが、未だ御懐妊の兆候はなし・・・。皇后様が崩御されてもうすぐで半年になりますし・・・。」
すると慌てて右大臣が左大臣にいう。
「土御門殿、お二方の父君であられる堀川殿の前でそのようなこと・・・。」
「本当のことをいったまでです。右大臣殿は孫であられる東宮様がいるのでいいではありませんか・・・。」
堀川殿は苦笑して言う。
「本当にそうですね・・・。まだ中宮や女御が帝のご寵愛があるのでいいのですが・・・。中宮に関しては身を引かなければならない年頃ではあります。しかしながら・・・。」
堀川殿は帝のほうをチラッと見ると帝は苦笑していう。
「私には今のところこれ以上妃は必要ないよ。皇子三人に姫宮が一人いれば十分だから・・・。」
一同は気まずい雰囲気でありながらも、何とかこの場を乗り切って様々な話題を話し合った。もちろん帝は皇后綾乃を忘れたわけではない。女御や中宮のところに新しい女官が入ってきたと聞くと、綾乃の面影を追い求めるが、やはり綾乃に似たものはなかなかいなかった。でももしかして綾乃に似た者が現れるのではないかと無意識に考えている。
11月に入り常寧殿ではまず帳台の試みが行われる。これは五節舞のリハーサルを帝の前で披露するのである。御簾の中に帝、左に中宮鈴華、右に女御鈴音が座って始まるのを待つ。
「帝、今年もこの季節がやってきましたね・・・。昨年は皇后様のご病気で盛大に節会を行わなかったですし・・・。」
「そうだね鈴華・・・。明後日は新嘗祭・・・。毎日が大変ですよ私は・・・。鈴華や鈴音は楽しめるだけ楽しめばいい・・・。」
帝は苦笑して鈴華を見る。すると鈴音が言う。
「東宮様は遅いですわね・・・。」
「もうすぐ来るよ。ほらほら。」
東宮は何とか始まるまでにやってきて、帝と中宮の間に座る。そしてきちんと帝や中宮、女御に挨拶をする。三人は微笑んで東宮を見つめると、舞姫たちが入ってきて帳台の試みが始まる。帝と東宮はなんとなく見ていたが、いきなり東宮が帝の袖を引っ張り帝の耳元でいう。
「父上、前の左の舞姫・・・誰かに似ていない?」
帝は東宮にいわれるようにその舞姫を見ると帝は持っていた扇を落とした。鈴華はそれに気が付いて帝のもとに駆け寄り、扇を拾うと帝に手渡す。
「帝、どうかなさいましたか?」
「鈴華・・・いや・・・ありがとう・・・。」
帝はその舞姫をじっと見つめたまま動かなかった。舞が終わってもじっとその舞姫を目で追っている帝に鈴華は不思議そうに帝が見ている舞姫を見てみる。
(まあ、あれは綾乃様?いえ、よく似ているけれど・・・。)
鈴華はそう思って近くにいた鈴華の乳母にこっそりと言う。
「あの舞姫はどちらの姫君か調べてきてくれないかしら・・・。」
乳母は頭を下げると早速舞姫の控え部屋に入って姫君についている女童に聞く。
「ちょっといいかしら?あなたが付いている姫君はどちらの姫君かしら?」
すると女童は不思議そうに言う。
「私は二条院の姫君の乳母子ですが、あの姫様は右大臣様の遠縁である大和守さまのご息女彩子(さやこ)様と聞いております・・・。」
「そう、ありがとう・・・。」
そういうと、鈴華の乳母はその女童に菓子を与えて、藤壺に戻った。戻ってきた乳母に鈴華は聞く。
「わかったかしら・・・。どちらの姫様か・・・。」
「はい、右大臣様縁の大和守ご息女彩子姫様と聞きました・・・。」
「そう・・・ありがとう・・・。」
「どうかなさいましたか?」
「え、なんでもないわ。」
(やはり綾乃様の縁の姫君でしたのね・・・。)
と鈴華は思った。一方清涼殿に戻った帝は、あの姫君のことで頭がいっぱいであった。本当であれば、今すぐにでも後宮に行ってその姫と会いたかったが、そういうわけにも行かず、じっと考えていた。次の日もまた次の日も帝はその姫君を目で追いながら、見つめていた。
この日の夜は新嘗祭のため、特別の黄櫨染御袍を着て神殿にて新嘗祭を行う。毎年のことながら、この時はとても緊張した顔つきで、神殿へ向かう。神官とともに神事を行った帝は、最後まで滞りなく済ませると、清涼殿へ戻ってくる。清涼殿では鈴華と鈴音が帝の帰りを待っていた。清涼殿に入ると帝は緊張から解放されて、ほっとした表情で、鈴華達に微笑む。
「やはり年中神事があるとはいえ、この日が一番緊張して疲れるよ・・・。」
鈴華は帝の黄櫨染御袍を脱がせると、常に着ている直衣を女官に持ってこさせ、着付けを手伝う。鈴音は帝が脱いだ黄櫨染御袍を明日の節会のために大切に掛ける。直衣を着た帝は脇息にもたれかかって、溜め息をつくとまたあの姫のことを考える。
「鈴音、もう御殿に戻っていいわよ。もう遅いから・・・。私は帝と話があります。」
と鈴華が言う。
「はいお姉さま。では帝、わたくしはこれで・・・。」
「んん・・・。」
鈴音は帝に頭を下げると、承香殿に戻っていった。鈴華は鈴音が戻っていったのを確認すると、帝の前に座ってじっと見つめる。すると帝は鈴華の表情に気付くと鈴華にいう。
「どうかした?鈴華・・・。君は藤壺に戻らないの?」
鈴華は人払いをすると、帝にさらに詰め寄る。
「最近の雅和様はなんだか変です。何かお隠しになって?」
「え?何が?」
「知っていますのよ。舞姫のある姫だけを目で追っておられる。」
「ああ、そういえばそうかもしれないね・・・。だから?」
「だから?って・・・。雅和様、わたしは知っていますのよ。あの姫・・・綾乃様の生き写しだとお考えでは?あの姫はどこの姫か調べさせました。」
帝は黙ったままで、鈴華と目をあわそうとしなかった。
「雅和様は最近綾乃様によく似た者はいないかと探しておられるように思っているのです。どのようになさりたいかはなんとなくわかりますけれど・・・。」
鈴華はむくれた様子で、後ろを向いた。
「鈴華のいうとおりだよ・・・。そう、あの綾乃に似た姫が気になってしょうがない。出来るものならあの姫を側に置きたいと思っているよ。」
「だと思いました。あの姫は雅和様の側に置けないような身分の姫です。血筋は確かなのですが・・・。家柄が低すぎます。あの姫は大和守二の姫彩子姫です。母君は前式部卿宮の側室腹の姫。もちろん右大臣様と遠縁の家柄ですので、似ていても不思議ではありません。」
「そう・・・大和守の・・・。ありがとう、鈴華いろいろ調べてくれて・・・。」
「いいえ!私の家柄で調べられないものなどありません!では失礼します!」
そういうと鈴華は怒った様子で清涼殿を後にする。帝は鈴華のことを気にしつつも、彩子姫のことで頭がいっぱいであった。
朝一番に帝は右大臣を呼びつける。右大臣は何事かという表情で、御前に座り帝の言葉を待つ。
「右大臣。大和守の彩子姫のことなのだけれども、決まった人はいるのかな・・・。詳しく知っている事があればすべて話してくれないかな・・・。」
右大臣は不思議そうな顔をしながら帝に言う。
「彩子姫は、歳は十七。決まったものがいるとは聞いておりません。それくらいしか・・・。どうかしたのですか?もしかしてお気に召されたとか・・・。」
「んん・・・。綾乃に似ているのですよ。とても・・・。つい気になってしまって・・・。」
「私は彩子姫の姿はまだ見ておりませんが・・・・。確かに私と大和守は顔が似ております。しかし・・・。」
「では今日の五節舞を見ればわかるよ。右大臣はきっと驚くから・・・。直接彩子姫に会いたいのです。」
右大臣は少し考えていう。
「明日以降当分の間、わが五条邸に大和守、北の方、彩子姫は滞在予定ですが・・・。しかし・・・。」
「何とか抜け出して彩子姫と引き合わせて欲しい。あなたなら出来るであろう・・・。後見を引き受けたのだから・・・。」
「御意・・・。」
と、困った様子で右大臣は答えると、帝はうれしそうに右大臣を下がらせる。もちろん右大臣は節会で行われる五節舞で、彩子姫が舞う姿を見て、本当に驚く。まさしく初夏に亡くなった自分の愛しいわが子綾乃の生き写しだった。右大臣は納得して、帝の御為と、引き合わせるための根回しをすることに決めたのである。
(もしどうしても帝がお側に彩子姫をおきたいと仰せならば、養女として迎えてもいいのではないか・・・。)
とそこまで右大臣は帝のためを思い、大和守にも話を進める。もちろん大和守は驚き、本当にそのようなことをしてもいいものかと思ったのである。
第99章 忘れていた自分
帝が綾乃の最期を看取り、皇族縁の寺院である聖護院にて穢れを落とした後、帝はうなだれながらも内裏に戻ってきた。滞りもなく綾乃の葬儀も終了し帝は喪に服した。公務も手につかず、紫宸殿のすのこ縁に座ると、1日中満開の右近の橘をじっと溜め息をつきながら眺めている。側には中務卿宮と内大臣が控えている。殿上人たちは帝の様子を見て口々に言う。
(皇后様を失われ、帝は相当気が滅入っておられる・・・。)
(皇后様は帝の初恋の姫君であり、相当ご寵愛・・・。)
(お食事もあまり摂られていないそうな・・・。ああやって葬儀の後からずっと橘を眺めておられる。大事に至らないといいが・・・。)
(しかし、皇后様の最期を帝が看取られたというから、それが唯一の救いであられるな・・・。)
(内大臣殿も最愛の姫を失われたのだから相当なことであったろうに・・・。喪に服されつつも、ああやって毎日のように帝の側についておられる。)
殿上人たちは最愛の皇后を亡くした帝にみな同情をする。そして最愛の母君を失った東宮の行く末もみな心配をする。
(摂関家の中宮腹の三の宮か四の宮を東宮に立てようとしている輩もいるらしいな・・・。)
(そうそう・・・。皇后様亡き後は中宮様が一身にご寵愛を受けられるであろうからな・・・。女御様も中宮様の同腹のご姉妹であられるし・・・。これからは堀川様の天下というべきか・・・・。)
もちろんこのことは内大臣の耳にも入っている。内大臣は綾乃の死の後、帝にすべての役職返上を願い出たが、帝は許さなかったどころかこれからも側近として側にいて欲しいと頼んだ経緯がある。もちろんこれは東宮の変更はないということでもあり、これからも東宮の後ろ盾の一人としてよろしく頼むということに値していた。この秋の除目にも引退を表明している右大臣には継ぐべき子がおらず、内大臣の嫡男博雅を養子にという話があった。もちろんこれは綾乃の子である東宮のためでもある。博雅の元服も少し早めではあるが、年明け早々に行われる事になっている。
橘の花が散り始めた頃、内大臣は帝に言う。
「もうそろそろご公務に戻られてはいかがでしょう・・・。いつまでもこのような帝であられるのであれば、殿上人のはおろか、都中の者たちの秩序が乱れます。帝のお気持ちは良くわかります・・・。私も最愛の姫を亡くしてしまったのですから・・・。」
帝はふっと内大臣の顔を見て思った。
(そうだ・・・内大臣も悲しんでいるのだ・・・。そして都中の秩序が乱れれば・・・。)
「内大臣、ありがとう・・・。いつまで経っても綾乃のことばかり考えたら、綾乃は成仏できない・・・。そして綾乃は私のこのような姿など見たくはないだろうね・・・。わかったよ。公務に戻ろう・・・。」
帝は涙をふき取ると立ち上がって、清涼殿に戻る。清涼殿に戻ると、大臣の四人を呼んではっきりという。
「皇后が亡くなり、様々な憶測が出てきているというのを耳にした。ここではっきりしておく。誰が私の次に帝位につくのか。それは今までどおり、東宮康仁親王である。後見人は右大臣、内大臣に引き続きやってもらう。雅博、雅盛両親王に関しては帝位継承順位には加えるが、康仁親王が何もない限り、帝位に就くことはない。そして東宮を梨壷から東宮御所に移す。中宮の子、篤子内親王は斎院とする。篤子内親王、雅博、雅盛両親王は今までの梅壷から堀川邸にて慣例に従い、親王、内親王を養育すべし。東宮傅は中務卿宮に兼任してもらう。異論は受け付けません。以上。」
そういうと帝は大臣たちを下がらせる。大臣たちをはじめ様々なものたちは、帝の急なお達しに驚き、慌てる。急に子供たちを実家である堀川邸に移されることになったことを知った鈴華は、驚き清涼殿を訪れる。
「帝、どういうおつもりでしょうか?」
「鈴華・・・そろそろ来ると思っていたよ。」
「あれ程側での養育をお許しになっていたのに・・・。」
帝は苦笑していう。
「けじめをつけただけです。このままの状態であれば、きっと摂関家の者たちが東宮廃太子を迫ってくるでしょう。もちろん摂関家の者達が異論を唱えないように考えてはいます。内裏の乱れは都、そして国の乱れとなるのです・・・。いいかい?鈴華・・・。」
「でも篤子まで・・・。」
「篤子の斎院の件は前々から考えていたことなのです・・・。本来なら伊勢斎宮に・・・。もう何年も置いていない。また、雅博、雅盛に関しては臣籍に下らせます。私はあまり後ろ盾の少ない帝であるから、子供たちを十分養っていく事が出来ない。わかってください、すずか・・・。」
鈴華は涙を浮かべてうなずくと、、藤壺に戻っていった。
次の日からも帝は綾乃の死を忘れようとするかのように精力的に公務をこなしていた。元服したての頃を知っている内大臣はまるで無我夢中で仕事をし過労で倒れてしまった中務卿宮時代を思い出す。その時は綾乃のために一生懸命昼夜を問わずに仕事をしていたが、今回は綾乃を忘れようとしているのが目に見えてわかる。たぶん何かに集中しないと思い出してしまうのであろう。帝の側に仕えているものたちも休んでいられないほどの仕事の与えようであった。公務が終わっても、喪中なのでしょうがないのだが、中宮や女御を清涼殿に呼ぶこともなく眠る直前まで書物などを読んでいる。やはり蔵人別当も兼ねている内大臣にとって帝の体が気になってしょうがなかった。
残暑の厳しい8月終わり、内大臣は帝に提案をしてみた。
「帝、今年は特に厳しい暑さでございます。中宮様をお連れになって貴船のほうに静養にいかれたらいかがでしょうか・・・。丁度も喪明けたことですし・・・。貴船はとても涼しいところでありますし、都の騒がしさもございません。そちらでゆっくりとお体をお安めになられては・・・。9月に入りますと秋の除目について忙しくなります。」
帝は微笑んでいう。
「ありがとう内大臣。そろそろ静養もいいかもしれないね・・・。たくさん仕事をこなし過ぎたかな・・・。そのように手配を頼んでいいかな・・・。」
「御意。」
内大臣は久しぶりの帝の笑顔を見て、安堵の表情を見せた。
(少しずつではあるが立ち直ってきておられるように思う・・・。でも・・・。)
やはり内大臣はなんだか帝が気になってしょうがなかった。もちろん帝の乳母である籐少納言も、側にいて帝の様子がおかしいことに気付いていた。
「帝、もう喪が明けましたのに・・・。中宮様や女御様をお呼びになられないのでしょうか・・・。」
「ん?んん・・・。そんな気にならないのだよ・・・。一人にさせてくれないか・・・。」
喪が明けてからというもの人前では明るく振舞ってはいるが、夜一人になると、誰も近づけずに、一人で籠もって何かをしている事が多いのである。また相変わらず食欲もなく、食事も半ばで箸を止めてしまうのである。
貴船行きの日程が決まり、二泊三日の短い時間であるが、帝は貴船行きを伝えるために久しぶりに藤壺に渡る。藤壷では久しぶりの帝のお出ましに鈴華は胸躍らせた。帝が入ってくると、鈴華は帝を上座に座ったのを確認して、自分は帝の右手に座った。
「今まですまなかったね鈴華・・・。」
「いいえ。鈴華はとてもうれしいです・・・。」
鈴華は微笑む。いつもなら微笑み返してくる帝がずっとうつむいたままで黙っている。
「帝?」
帝はハッとして鈴華の顔を見ると、話し出す。
「今度貴船に行くことになったことは聞きましたか?もちろん鈴華と鈴音も一緒のどうかと思ったのですよ。今までいろいろ放っておいたからね・・・。気晴らしにどうかなっと思ってね・・・。」
「はい。貴船には行った事ありません。いろいろ話には聞いていましたが・・・。帝に御供できるなんて鈴華はうれしいです。」
鈴華は扇で顔を隠しながらうれしそうに話す。帝は鈴華のうれしそうな表情にやっと微笑み返した。その夜は久しぶりに鈴華の御帳台に泊まった。鈴華は帝に言う。
「雅和様、早くいつもの雅和様に戻ってください。綾乃様のことは忘れて欲しいとはいいません。たくさんの思い出をお持ちなのですもの・・・。私も初恋の君のことを忘れようとは思っておりません。きっといい事がありますわ。だから早くいつもの雅和様に戻ってください・・・。鈴音もそう思っているはずです。利発で優しくて笑顔の素敵な雅和様に・・・。」
「そうだな・・・。ありがとう鈴華・・・。」
「何でもご相談ください。もう何年一緒にいるのですか?もう私は昔のようなうっかり姫ではありません。綾乃様には負けますけど、きっとしっかりした妃になりますから。」
帝は微笑んで、鈴華を抱きしめて鈴華を見つめる。
「雅和様・・・最近雅和様に龍笛の音が聞こえません・・・。また始められてはいかがですか?きっと気分も晴れますわ。」
帝はそういえば最近吹いていないことに気が付く。そして二階厨子の中になおしたままであることにも気付いた。
「すっかり忘れていたね。そうだよ・・・最近触ってもいなかった・・・。」
「雅和様は雅和様でいいのです。無理してほかを演じなくてもいいのですよ。昔私にも言っていただいたではありませんか・・・。雅和様は雅和様そのままでいいのです。」
帝はここ最近自分を忘れていたことに気が付いた。それを思い出した帝は何か吹っ切れた感じがして、いつもどおりの満面の笑みで鈴華を見つめ、鈴華にキスをした。鈴華も微笑み返す。
「ありがとう鈴華。頼りになるよ。はっきりいってくれるのはやはり鈴華だけだね・・・。」
そういうと二人は長い夜をゆっくり過ごした。