四神降臨 復活編 第1章 始動 (6)新生活
私はいつものように朝5時に起き、身を清めた後、御神体に祈りをささげる。熱心な信仰者は私と共に朝晩の勤めを行うのだ。お勤めが終わったあと、もちろん色々相談にのったりしている。ほとんどがお年寄りだけどね。みな私を慕い、頼ってくれる。よく家族間のトラブルの仲裁を頼まれたりするものだ。別にそういうことは苦ではない。そうであるからこそ、私のことを外部に公言しないのかもしれないね。
「朱央さま、そろそろ時間ですよ。」
「ああ、亜樹か。今母屋に行こうと思っていたんだ。」
私は信仰者にお勤めの礼を言うと祠を出る。今日から私はいち教師である。特命教師であるけれど。
朝食後、私は着替える。昨日用意したスーツを。着替え終わると神主をはじめ皆は驚く。
「んん・・・朱雀様、本当に普通の青年のように見えますよ。」
「キャーかっこいい!さすが朱雀様。」
「朱雀様は体形がよろしいからですわ。はい、お弁当です。亜樹のいる高校は学食がありますが、お口に合わないといけませんので、当分お弁当を・・・。」
「あ、ありがとうございます。」
「それと、これは定期です。亜樹とでしたら電車に乗れますか?使用方法は亜樹に聞いてください。」
私は大き目のカバンにすべてを詰め込む。そのカバンを肩からかけ、神社を出る。小学生の登校時間に重なるのか、子供達が私の側に詰め寄り、挨拶をしていく。
「生き神様!おはよう!!!今度の休みさあ、境内で一緒に遊ぼうよ。」
「ああ、そうだね。早く学校に行きなさい。」
「はあい!いってきます!!」
ホントこの町内の子供たちはいい子達ばかりだ。本当にこの町内の空気は活気に満ち溢れ、平和そのもの。そして昔ながらの交流も盛んな理想的な町・・・。居心地いい。
亜樹と共に電車に乗る。実は初めてだ。なんとか亜樹のいうとおりに人でいっぱいの電車に乗り、何個目かの駅でおり、学校へ向かう。亜樹と同じ制服を着た生徒たちが続々と集まってくる。
「亜樹おはよう!あれえ?隣の人は誰?」
「私の従兄妹の朱央さんだよ。いい男でしょ。今日からうちの先生なんだよ。」
「へえ・・・亜樹にこんなかっこいい従兄妹がいたんだ。初耳・・・。」
「でしょ。ずっと遠いところで学生していたからねぇ・・・。」
私は照れながら亜樹の友達に挨拶を・・・。
おかしくないか?
普通の青年に見えるか?
それだけが心配だ。
変な自家製おやつ
全然更新して無くですみません^^;
更新しているといっても作り置きのものでして^^;
今日は残り物のショートパスタで、おやつ作り。
といっても超簡単。
パスタスナックですよ。
中温の油で揚げて、砂糖または塩をかけるだけ。塩+カレー粉でもおいしいかも・・・。
砂糖はかりんとうみたいといわれましたねえ・・・。
なんかどこかで見たことがあって一度作ってみただけです。
どうかなあ・・・。
追伸。
イラストを描こうと思ったら、描けませんでした。
昨日は滋賀県・米原から自宅まで150キロ近く運転して、肩こりで死んでいます。
だんなってタフだねえ・・・。東京からずっと運転して今日会社へ行きましたからねえ^^;
当分イラストなし更新ですねえ^^;
皆様いつもペタ&Goodありがとうございました。
この場をお借りしてお礼をさせていただきます。
四神降臨 復活編 第1章 始動 (5)繁華街
今の京都は昔ながらの風景を残しつつ、繁華街と言われるところもある。もちろん繁華街など行ったことはない。まずはJR京都駅前で色々探してみる。ここは百貨店というものがあり、いろいろここで揃ってしまうのだから便利なものだ。やはりこういうところは来たことがないから私はキョロキョロしてしまう。それを見て奥さんと亜樹はくすくすと笑う。
「そんなにおかしいですか?」
「もう朱央様ったら、イケメンの顔して行動はまるで・・・・くくくく・・・。」
イケメン?今時のかっこいい男ってことなのか?何度か亜樹からそういう言葉を聞いている。もちろん私は照れ笑い。
「ねぇママ、こうすると私と朱央様って恋人同士に見える?」
といって亜樹は私の腕に手を回してくる。
「どう見ても兄妹かしら・・・。まだ亜樹は16歳ですものね・・・。」
「え~~~そんな。ママったら意地悪。」
本当にこの家族は暖かくて居心地いい。代々この家系はそうだ。だからずっとお世話になっているのであろう・・・。
たくさんの身の回りのものを買い揃え、帰路につく。やはりすごい量だ。大型の乗用車いっぱいになるもんだからね。もちろん私には母屋に私の部屋まで用意される。この日買った物を家具に整理していく。どう見たって私は現代人だ。私の今回の身分設定はここにいる亜樹のいとこになっている。そしてきちんと戸籍まで与えられるという徹底振り・・・。あとはどれだけ私が現代の人として振舞えるかどうかだねえ。
四神降臨 復活編 第1章 始動 (4)朱雀神社
「朱雀様、これを着てください。」
と、散髪屋のご主人。今時の髪型に散髪したあと、ご主人がこの私に今時の服をくれたのだ。
「すみません、息子のお下がりで・・・。こちらには息子さんがおらんから丁度いいと思いまして・・・。神主の私服ではねぇ・・・。これで四条河原町でも買出しにいけますよ。」
私は微笑み、散髪屋のご主人に礼を言う。もちろんこういう服は何度か近所を散歩の際に神主のものを借りたことがある。着方ぐらい知っている。そこまで私は時代遅れではない。試しに着てみると着物と違って楽でいい・・・。まあ和服の場合は気が引き締まっていいものだが。
「さすが朱雀様、どう見ても今時の青年ですね!かっこいいかも。」
神主の奥さんも私の姿を見て微笑んでいる。
「そうですね。我が家に息子がいればこういう感じかもしれません。さ、朱雀様、お買い物に行きましょう。それといつまでも朱雀様ではねぇ・・・。」
ホントそうだ・・・。もちろん私の本名朱央(すおう)と呼んでもらうこととなった。今日から私は朱央さんと呼ばれる。朱雀ではなく源朱央。
我が朱雀神社は京都中心部から南、伏見の辺りにある。小さい神社だから地図にはあまり載らない。別名、火神神社。火の神を祭っているという意味だ。もちろん朱雀は火の鳥といわれる神獣。一部の古来から火を取り扱っている者が信仰しているほかは地元のものしか知られていないというべきか・・・。
「本当に朱雀様にはお世話になりっぱなしで・・・ここ何十年もいや何百年もこの町内では火事ひとつ起こらない。そしてやけどをする者も少ない・・・。消防団などないのも等しい・・・。また朱雀様のお札を頂戴していきますよ。」
「いえ、私の力だけではありませんよ。町内の皆さんが心がけているからこそ火事が起こらないのです。油断は禁物です。いいですか?」
私はお札の紙にササッと呪文を書き、息を吹きかける。これが朱雀神社のお札となる。まあこれがこの私の収入源となる。いつも気持ちだけの代金をもらうのだけど。ま、気持ちだけだからすごい人はど~~んと置いていく人もちらほら・・・。
四神降臨 復活編 第一章 始動 (3) 未解
「朱雀様。もう時間ですよ。」
と、私の末裔に当たる源亜樹が声をかける。ここの神社の神主の娘。巫女をしながら私の身の回りの手伝いをしてくれる。そしてこの時代のありとあらゆる情報を教えてくれるのだ。
「おはよう。亜樹殿。」
「もう、朱雀様たら、亜樹ちゃんでいいよ。今日は明日からの服とかをママと買いに行くんだから・・・。早く起きてご飯食べて。」
「ああ・・・。」
私と亜樹は母屋へ向かい、いつものように朝食をとる。本当にこう長く生きていると朝食も様変わりするものだ。私の場合、いつもはご飯食だが、亜樹の場合はパンとコーヒーを食べる。はじめてこれらを味わったときは驚いたが・・・。
「ねぇ朱雀様、今日は髪を切らないといけないよ。いつまでも垂らし髪じゃねぇ・・・。おかしいよ先生になるのに・・・。」
「後ろで結えばいいじゃないか・・・・。髪を切るなんてねぇ・・・。」
「そんな髪、流行らないよ・・・。近所の床屋さんが今時の髪型にしてくれるって言うから切ろうよね。今時出張してくれる床屋さんもいないよ・・・。みんな朱雀様を思ってやってくれるんだから・・・。」
まあ今まで近所以外公に姿を見せたことはなかったから、今時のことをしないといけないのは必然なのであろう。龍哉様がこの私の姿を見たらきっと苦笑されるであろうな・・・。
「もう嫌なことがまた起きたねぇ・・・。行方不明だなんて・・・。」
テレビのニュースで入る速報。なんと米軍の潜水艦が日本海溝あたりで行方不明になったという。最近多い。日本海溝あたりで頻発する船や飛行機の行方不明事件。確かこの事も調査対象に入っていた。
先生をやりながら調査などできるのであろうか。
本当に疑問である。
四神降臨 復活編 第1章 始動 (2) 夢枕
ああまた同じ夢を見てしまった・・・。龍哉様の夢を・・・。もうあれから150年近く経とうとしているのに・・・。本当にここ半年のうちに何度も・・・。それまでは龍哉様の夢など見たことはなかった・・・。
この私、源朱央は今年で470歳を超えてしまった。私は人じゃないからね。私は朱雀の第2皇子。見た目はまだ青年なのだが・・・。朱雀の者は四神の中で最も長生き。数千年は生きるとされている。不死鳥という者もいるが、もちろん寿命はある。500歳に満たない私などまだまだひよっこで、父である朱雀王はもうすでに1000歳を超えている。昔、私は長年宮中に仕え、隠居された後陽成院に三百年も仕えてきた。院がなくなられてからは私の末裔が守っている朱雀神社に住み、近所の者に生き神様といわれ親しまれている。まあ、私が生き神として生きていると知っているのはこの近所の者達だけだが・・・。誰も公にする者などいない。暗黙の了解というべきか。
私はここまでさまざまな出来事を見てきた。幕末の動乱、明治政府の成立、第一次世界大戦、関東大震災、第2次世界大戦など・・・いい事から嫌な事まですべてだ。今は平成という時代。龍哉様から数えて18代目の帝(今の時代天皇というが・・・)の御世。私が生まれ育った時代とは違い、科学が進歩し、神道、陰陽道など誰も信じようとはしない。もちろん、四神の存在など伝説としてしか扱われない。本当であれば、龍哉様たちが生きていた時代に実際に起こったことを書き記し、代々伝えておきたいところなのだが、そういうことは書物にて書き記すことは禁じられている。私の記憶にのみ存在するのだ。まあ、書き記してあったとしても、伝奇物小説として扱われるのであろう・・・。本当に複雑である。
民間には知られていないのだが、未だに政府には隠された部署が存在する。それはまあいう陰陽寮の様なもので、神仏や魔族、そして科学では解明されないことに関するものを取り扱い、極秘的に処理されている。私も実はそこに所属していて、事あるごとに依頼を受け、対処してきた。また最近複雑な依頼が来ている。
ここのところ頻繁に起こる異常気象そして頻発する地震・・・。科学では説明できないところを解明せよとの依頼である。そして私に仮の身分が与えられた。
それは学校の教師。何故教師なのかはよくわからないのだが、ある私学の高校の歴史教師としての身分が与えられたのだ。
頻繁に起こる天変地異、そして最近よく見る龍哉様の最期の夢。野生の勘というかわからないが、関連があるのではないかと思ってしまうのだが、どうだろう。私は肌身離さず身につけている3つの赤、青、黒の勾玉を見つめ、私の住む祠にて考え込んだ。
四神降臨 復活編 第1章 始動 (1) 聖天子の死
「朱央・・・。お前に頼みがある・・・。これをお前に預かっておいて欲しいんだ・・・。」
「龍哉様・・・。」
あの魔王の戦いから三百年余り。世は幕末の混乱の最中。畿内某所のひっそりとした山荘に住む二人の男。一人は年老い、もう一人は若い男。年老いた男とは半龍半人の元帝、後陽成院こと、龍哉。そして若い男とは元この年老いた男の側近、朱雀の皇子源朱央。半龍半人のために人より長く生き過ぎた年老いた男の命の火は消えようとしていた。年老いた男は若い男に青と黒の勾玉を手渡す。
「もうこれは私には必要ない。朱央・・・お前が持っておいてくれ。いつ魔王が復活するかもしれない。その時のためにお前は生き続け、四神に関わる者たちを導き、この国を守って欲しい・・・。いいか朱央・・・。白の勾玉に関しては西斗の子孫が持っているであろう・・・。朱央のみが頼りだ・・・。生き字引として生き続けよ。」
「龍哉様・・・。」
年老いた者は思い出したように苦笑しながら言う。
「お前もそうだが、長生きはするものではないね・・・。私はどれほど大切な者たちの死を見届けてきたか・・・。最愛の麻耶を亡くした時ほど辛いものはなかった・・・。そして最後まで私を物の怪のように忌み嫌い、近づこうともしなかった我が息子後水尾帝誠仁・・・最後まで和解さえしなかった・・・。孫、曾孫、夜叉孫まで最期を看取ってしまった・・・。それだけじゃない・・・。私から数えて14代もの帝を見てきた・・・。やっと私は麻耶に会える・・・。やっと・・・麻耶に・・・。」
「龍哉様?」
年老いた者は力を失い、永遠の眠りにつく。そしてひっそり江戸時代初期に後陽成帝が埋葬されたとされる墓所に埋葬された。もちろんこの帝が三百年も生きていたことは公にはされていない。
【作者からの一言】
さて始まりました。はい・・・。導入です。舞台は平成の京都でございます。
どうなるかはわかりませんが、これからもよろしくお願いします。