タイで年に1回、一般の本から子どもの本まで部門別に与えられる良書賞のうち、子どもの本関係を追っています。
これまでのものは、カテゴリー「タイ良書賞」でごらんになってくださいね。
それでは、1989年の子どもの本部門から。
3-5才部門は、
最優秀賞は、上にあげた絵本、『旅するおもちゃ』です。
追記・この絵本、2023年11月にバンコクに行って買ってきて読みました。
これは、以前もご紹介して、日本でも児童文学『沼のほとりの子どもたち』が出版されているテープシリ・スクソーパーさんが文を書いています。
(テープシリ・スクソーパーさんについて書いたブログはこちらです)
お話について、検索したら、タイ語サイトでこういう紹介が出てきました。สสส(ソーソーソー、最近の良書賞で子どもが心身ともに健康になるようにとつくられた絵本が受賞している)で、2009年に再販(改訂?)したようです。
「チェンライ県での生活から、地元の知恵を伝えることと、高齢者と若者をつなぐものとしての民俗おもちゃをとりあげた」
ということで、お話は、木から荷車をつくり、水牛にひかせていたが、ある日水牛がいなくなってしまった。
男の子は水牛をさがす旅に出かけ、さまざまな動物に助けてもらう。そうすると、水牛が二頭になり、子ども水牛も生まれていた。
帰り道も動物たちに助けてもらい、最後はおまつりになる」
そうです。この絵本はもとがそうだったのか、ソーソーソーの改訂版がそうなのか、英タイバイリンガルで、タイ語は次のことばがくりかえされるだけだそうです。
“ไถ่ถาม” (お尋ねします)
“เห็นไหม” (見ましたか?)
“อยู่ไหน” (どこですか)
“ทางโน้น” (あちらの道です)
表紙もきれいだし、この版を見てみたいですね。
奨励賞は、『ぼくをたすけて』
これは、タイの代表的作家のおひとりでたびたびご紹介しているクルーク・ユンパンさんの初期の絵本です。
表紙はやっと見つかりましたが、内容はわかりませんでした。
『やさしい心のおかあさんゾウ』
この絵本は、ペーパーバックですが、持っていました!
読んでみると、(買っても読んでいない絵本がたくさん)
「おかあさんと子どものゾウがいたけれど、子どものゾウが猟師の罠にかかってしまって、おかあさんは罠をはずすことができない。猟師が連れていってしまうので、おかあさんは必死に追いかけて、人里に入ってしまう。村の子どもたちはゾウの姿に大喜び。そして、おかあさんゾウが猟師に子どもをとられてしまったことを話すと、その中に猟師の娘がいた。娘はおとうさんに放してくれるようにたのむけれど、お父さんはダメだという。しょんぼりして村に帰ると、野犬が村に来て子どもたちにおそいかかった。おかあさんゾウは鼻を娘にまきつけて、野犬からかまれないように守った。子どもを放すことを断ったのに、やさしい心で娘を守ってくれたので、猟師は子どもゾウを放して、おかあさんに返した」
というお話でした。
全編細かいクレイアートで美しくつくられています。
そして、『ペーンちゃんは友だちがいっぱい』
個人の方のサイトで、内容のご紹介がありました。
やさしいことばで、いろいろな動物のおともだちがいるよろこびを描いているようです。
続いて、6-11才 物語部門です。
最優秀賞は、以前ご紹介した『水牛になりたくない』です。
私も持っていますが、とにかく絵がすばらしいです。この年に良書賞を受賞されていたのですね
奨励賞は『ふわふわちゃんと立ち耳ちゃん』
以前ご紹介した、児童書大手出版社チョムロムデックで社主をされていた代表的絵本作家のおひとりウィリヤ・シリシンさんの作品です。(チョムロムデック社とウィリヤ・シリシンさんの絵本についてはこのブログのこちらをごらんください)
内容はオンライン古書店のサイトにありました。
「若いタイ猫と、ペルシャねこの女の子が、愛し合って結ばれる。そうすると、それぞれの飼い主も知り合って、愛し合うようになる」
というかわいいお話のようです。
『お口の大きいカエルさん』
オンラインショップサイトなどで見ると、 口の大きいのをじまんして、ほかのものに
「ぼくより大きい口ある?」と聞いてまわっていたカエルが、もっと大きい口のヘビにのまれてしまう」
?!!
というショッキングな内容なようですが・・・
(まちがっていたらごめんなさん~)
そして『金色のお米の種』
これは表紙をさがすために画像検索していたら、「金色の米」の写真ばかり出てくるので・・・
そういうお米があるんでしょうか・・・
最後に美しい絵子どもの本部門です。
最優秀賞は、
『紙の工作の説明書』
紙の工作でどういうことができるか書いてあるようです。
奨励賞は、
『金色のお米の種』6-11才部門とW受賞ですね。
そして、全くわからなかったのが
『สิรสาเนื้อทอง 』
ジャータカ(チャードック説話)の一つらしい、という事以外題名の意味も画像も全くわかりませんでした。
最後に『子ぐまくん町に行く』 これも持っていました!
ペーパーバックです。
コラージュふうの絵がくふうがこらされていてきれいです。
読んでみると、
両親にひとりだちするように言われた子ぐまくん。
「でも、けして森から出ないで。私たちは森の中で生きているのだから」
ところが、森は、乱伐されてしまっていて、食べるものがありません。
出会ったゾウに止められましたが、町に行って食べ物をさがさなければどうにもなりません。
でも、おなかはぺこぺこなのに、町では「仕事をさがせ」だの「お金がなければだめ」だの、子ぐまくんの知らないことばかり言われます。とうとうふらふらで倒れてしまって、気がついたら病院のベッド。
獣医さんに、動物園で暮らしたら、安全だしごはんもある、と言われて、ぜったいいや、と飛び出して森にもどってきました。
すると、ゾウが出迎えてくれた森は植林されていて、子ぐまは森で暮らせるようになったのでした」
というようなお話です。
この年の受賞作品は、偶然3作持っていましたが、買った当時はそんなことも知らず、内容も読めず、ただ絵がきれいだな、と思って買ったのでした。
やはりそうした本は、賞をとっているし、今では韻文以外は、日本の絵本と変わらないくらいの速さで読めるようになったので、買っておいてよかったなと思いました。
韻文は調子を整えるために、あまり日常では使わない知らない単語だらけなんで、辞書で調べるのに時間がかかるんですよ~。
では、また調べられたら次の年のものを書きます。