タイの子どもの本日記

タイの子どもの本日記

タイの絵本や子どもの本、タイの文化などについてぽちぽちと書いていきます。もと日本人会バンコク子ども図書館ボランティア。ご質問などはメッセージにお寄せください。

もう1週間前になってしまいましたね・・・

 

PEBACA WHAT A CONCERT IN JAPAN星星星

 

どうかお願いします!お願いお願いお願い

DVDかBlu-rayを出してくださいませ!

あっというまで楽しすぎた90分・・・なのに、おもちゃ箱をひっくりかえした夢のような時間に、正確な記憶がありません~~~ガーン

 

なんとか思い出せることを後の記録のために書いていきますが、記録ともいいようがない・・・

そして、基本PERAYA(KristSingtoのファンダム名)なので、TayNewさん、OffGunさんの部分の記憶や曲名がわからないんという、ごめんなさい~お願い

 

いよいよ当日、会場豊洲PIT 近くの駅、ゆりかもめ新豊洲駅には、PEBACA2025JP合同企画さんのポスターがお出迎え!

 


 

会場入り・・・

 

 

公演は、動画や録音は禁止ですが、静止画なら撮影OKとのこと!

 

しかし・・・先着のチケット取りに出遅れた私の席は、A席の最後列・・・しかも、もう数分遅れていたら、それさえ取れなかったようでした・・・ニヤニヤ

そうするとスタンディングになってしまいますが、それはとしよりの私にはきつい。

今までも豊洲PITでのタイ俳優さんの公演はスタンディングだったので、あきらめていたのです。

だから、今回いすがあるなんて、夢かと思いました!(おおげさ)

ところが、この良いともいえない席があとで奇跡を起こすのでした。

 

さあ、どんな公演になるでしょう!

本国タイで行われた公演は、「お寺の祭り」をテーマに、3~4時間くらいはあった、セットもゲストも含めて豪華で盛大なショーでした。

本国のようすは私のブログのこちらこちらに書いています。

まあ、セットやゲストはムリとして、どんなふうに90分にまとめてくるのかな?

 

星始まりました!

 

6人が出てきた!スマホ(しかも古い機種)のカメラを最大の拡大にしたら、なんとか映りました(ブログに書くために少しでも

写真がほしい)

 

お寺の祭りふうの楽しいオープニングです!雰囲気は本国のと同じです。

 

1曲目はこれ、「ロケットフェスティバル」というXのポストを拝見。

 

 

 

Kristくんの声、伸びがある!Singtoさんもこういうタイ歌謡ふうの歌、じょうずなんですよねラブ

 

すごく明るい雰囲気、そして一人ずつGMMTVの歌手の歌をひとふし歌いました。

そのセトリ、XでシンガポールPEBACAのものをのせてくださっている方がいて、たぶんそれと同じだと思います。

 

3.CHARM 4.Candidate 5.Knock Knock 6.Re-Move on 7.Alright 8.Someone Like Me

 

そして歌のあと、すぐトークです。MC無しで通訳さんは2人体制です。

Kristくんが、わりとしきる感じです。

 

そして・・・Kristくんがみんなに「タイでオーホーホーイっていうかけ声みたいなの、日本語でもあるんだよ!」

も・・・もしや・・・

「ハクシューーー!せーの!」

会場「パン・パパ・パン!」

おーというOffGun,それ知ってる的なTayNew

Kristくん、今年のFMでリョータさんに教えてもらったあれをまだやってるニヤリ 

TayNewもたしかリョータさんMCで教えてもらってたような(そのときのブログはこちら)

それから、Kristくん、今度はタイ式でと、会場に「オーホーホーイ」って言わせます。

そして自分たちはそのあとを、これむずかしいんですよね、「สะมะกึ๊กสะมะกั๊ก サマッコクサマッコク(?!)」

めっちゃ早口です。

そして会場に、「じゃあ次は、ぼくたちがオーホーホーイっていうから、あとを会場でね!」

できませ~ん笑い泣き

 

そこで、「Ossan’s Love Thailand」のこの掛け声の歌をみんなで歌います。

 

 

 

この時のみんなの踊りが超~かわいかった!ラブラブラブ

みなさん忙しいのによく練習したなあ。

 

そのあとお着換えではけるあいだに、スクリーンに映像が流れます。たしかこの時かな、突然

SOTUS

の映像が流れて、会場このサプライズに大歓声!

OffGun,TanNewのドラマ映像も流れます。

KristSingtoのは新ドラマ「Ex-Morning」も流れて、そのドラマでの2人の結婚式シーンも流れて会場大喜び!

 

それからペア2人ずつの歌になりますが、Kristくんがマスクをして出て来ちゃって気がついてとったんですが、Singtoさんと会場から笑いが。

 

 

そしてトークのとき、Kristくんがあかしてくれました。

実は前日体調が悪く、入院していたと。だから、みんなと同じ飛行機で来れなくて遅れてきたのだけれど、薬をたくさんもらって、お医者さんから許可をもらって出ていると。

そんなこと、全然感じさせないステージだったのに・・・

ハイトーンボイスも高く高くひびかせていました。

おだいじにですよ泣くうさぎ

それからその前にあったLAでのKristSingtoこぼれ話を。

Kristくんは最近抹茶をたてるのにはまっていて、お茶碗もたくさん集めている。そのひとつを、LAでスタッフにふるまおうと、一式持ってきたのに、あけてみると、お茶碗が粉々に割れていた。

しかたなく紙コップでやったけど全然あわだてられず、汗かいちゃったと。

Xのポストで日本のファンの方々から「とっておけば継げる」と教えてもらったけど、もう肥料になりそうなくらいこばごなだったのでどうにもならず、日本でいいものを買おうと休みを1日もらっていた。

ところが、日本に来たら、ナーラック(愛すべき)なファンが、お茶碗をプレゼントしてくれた。

「1日あいちゃったけどどうすればいい?」

 

それからLAのUSJで、Singtoさん楽しみにしていたのに、混んでいてエキスプレスも売り切れでアトラクション一つしか乗れず、むかついたSingtoさんがその場でスマホをはげしく打って、今回の来日のあとの日本のUSJをその場で予約したマネ

(このことはSingtoさん自身ポストしていました。そして無事日本のUSJにひとりで行ってまんきつしたようすもポストされました)

 

それからSingtoさん日本の空港で置き去り事件!これについては、あとでくわしく語られます。

私、この2人の歌、「Eye Contact」と「Better Than」3曲聴いたような気がしたのですが、幻だったかしら・・・?

 

OffGunとTayNewのソロ曲ももちろん。(ごめんなさい、Too Cute to Hundle以外曲名がわからなくて)

 



この中で記憶にあるのは、TayNewのマスコットで今バターベアのノン・ヌーイにも負けない大人気のゆるキャラ「POLCASAN」についての説明です。

2人の考えたマスコットで「SAN」はNewくんがつけたして、日本人ふうになったんですが、その名まえを省略するときみんな「ヤイ・サン」と呼ぶ。その「ヤイ」ですが、あとで全員になったときの話題のことを説明してくださったポストがありました。

お許しをいただいたので、掲載させていただきますね。

 

 

この2人のときも、Tayさんが違いを知ってもらうため「New」ってふつうに呼んだら、Newくんが「はい」と答え、次に

「ヤイ・New」って呼んだら、「はぁ~~い」という高い女声で答えていたのですが・・・

 

次のふたりの歌でもNewくんがこのヤイさん声であいのてを入れるものだから、Tayさんがふき出してしまって、Newくんをなぐるまねしてました照れ

 

そして最後のパート、再び6人です。

 

ここでくわしく語られる、Singtoさん日本の空港置き去り事件・・・

Tayさんがバンにのりこんでからふと振りかえって、

「シントーはどこ?(シントー・ユー・ナイ?)」

あわててもどる一行!

「シントーをホントに愛してる~っていうふうに走り寄ろう」と話し合うみんな。

その結果をSingtoさん自身がポストしています。

 

 

(税関を出た後、しばらく置いて行かれたことに気がつかず待っていた。

そしてあまりに長いのでおかしいなと思って、めがねをかけたら、向こうから走ってくるみんなが見えた)

 

「スタッフにも忘れられていたんだよ!」と強調するSingtoさん。

 

これはだめでしょう・・・Singtoさんにとっては慣れている日本で、みなさん出迎えないように言われているので、ひどいめにも合わない日本ですが、俳優さんを忘れるなんて・・・おそらく、第一マネージャーさんがあとから行くKristくんについていたので、目がゆきとどかなかったのかな?汗うさぎ

 

ということで、6人そろうと大騒ぎ、通訳さんが入るすきもありません。

そのちょっとした息継ぎの間になんとかわけいる通訳さん!(このときの通訳さんはおふたりとも達人の方だったのですが)

前にこの6人で制作したドラマ

『I'M TEE, ME TOO』の撮影のとき、Singtoさんが

「ザルにカニを入れたよう」という平たいザルにカニたちを入れてもワサワサ散らばって逃げてしまうかに座かに座かに座という収拾がつかないようすを表すタイの慣用句でつぶやいていましたが、まさにそんな感じです。

 

これですね。(Cr.ig_singto)

 

 

 

そして私にとっては初めて自分の目にする、まさにこの6人のわちゃわちゃ・・・胸にきました。

そのまま『I'M TEE, ME TOO』の主題歌เล็ก ๆ บ่อย ๆ 「レック・レック・ノーイ・ノーイ」を歌って終わりました。

 

そしてそのあと、ハイタッチとグループフォトの時間です。

 

そしてハイタッチの前に驚くべきアナウンスが!

 

「ハイタッチはスマホでの動画撮影を許可します」

 

「えええええ」どよめく会場、起こる拍手、動揺するみなさん。

これって、本国タイではあたりまえですが、日本では珍しいんです。

私ももちろん初めてだし、

「スマホは右手に持って、左手でハイタッチしてください」

そんな器用なこと絶対できなーい。

 

しかし・・・この機会をのがしては!なんとか皆さんのお姿をわがスマホに残したい・・・!

 

と、めっちゃがんばって・・・あとでみたら、奇跡ーー!あまり映りがよくないですが、全員のお姿ありました~~

(あっただけでもう良し)

 

スクショするとこんな感じです。

 

しかもさらにおまけが・・・私の席、サイン入りポラロイドが当選していたのですびっくり

 

終演後もらいにいくと、まさかの全員サイン入り!

 

うれしすぎる~~めっちゃいい記念です~~泣くうさぎ泣くうさぎ泣くうさぎ

 

ということで、不完全な記録でごめんなさい。

でも来られたみなさんそれぞれに、満足して楽しい時間ではなかったでしょうか?

私は海外にはおいそれといけず、日本のイベントにしか参加できないので、またこういう機会があることをお祈りしています。

 

 

 

 

この絵本は、タイから新しく出た絵本『はっぱのへんしんใบไม้แปลงร่าง』です。

タイの植物がとりあげられ、「へんしんしました・・・」のあとで、葉っぱを使って描かれたいろいろな形(トンボやネコさんなど)になりますニコニコ

(こちらの出版元サーン・アクソン社のページで内容が見られます)

 

美しく、日本の絵本好きさんなら、「ステキ!」と手にとることでしょう。

しかし、出版社の編集者Geeさんは断言されました。

「この絵本はタイでは売れないでしょう」

 

前回ご紹介した、

「国際交流基金とJBBYの共同企画「アジアからの風~東南アジア絵本との出会い~」

 

で、タイの児童出版社サーン・アクソン社編集者Geeさんからうかがったお話第3弾です。

(第1弾『小さな小さな通り』はこちら)

(第2弾『NANA』はこちら)

 

理由を述べてくださいました。

 

Geeさんは今回、日本で研修旅行をして、日本では扇子やふすまなどいたるところに「絵」があるのを観ました。

日本では家の中で絵にふれることができるのです。

でも、タイでは絵があるのは、「寺院」か「王宮」だけなのです。

一般の人は絵をふつうは見たことがありません。

それで、タイの大人たちは「絵を読み取る」ことをしません。

ということだそうです。

 

これについて、私は以前から、タイの絵本の絵は奥行きや遠近のない、仏教壁画の影響を受けているのではないかと思っていました。

これは、私の撮影したタイの寺院「ワット・スタット」の壁画です。

在タイ時壁画を撮影したのがここだけだったので、わかりにくい写真でごめんなさい・・・汗うさぎ

 

 

そして、こちらは、1999年ユネスコ野間絵本原画賞を受賞した、プリーダー・パンヤーチャン先生の『みのまわりの木』で
す。

(内容はこちらに書いています)

 

中には、たくさんの子どもたちの姿が描かれています。

 

そしてこちらは、2006年のIBBYのオナーリストに提出された、ウィーラユット・ラートスッウチャイの

『マイヤラープ軍隊を眠らせる』です。

(内容はこちらに書いています)

こういう伝統壁画技法の絵本は何冊も出ています。とても美しいものです。

 

Geeさんのお話は続きます。

絵をよみとることをしない、ということは、文字が多い本でないと、大人は子どもに買わない、ということになります。

これは当日発表があった、ベトナムやマレーシアでも同じ状況です。

 

タイでは、Read Beyond the Content、

「行間を読み取る」ということがないそうです。

 

行間を読む経験がないので、ストーリーは一直線です。

自己啓発コミックや自分をコントロールしようという絵本が多くなります。

マーケティングも親のおそれをつくようなことをするので、あとがきには「脳の発達」などのことが書いてあります。

 

ということですが、これも私はこれまでタイの絵本をあとがきまで何冊も読んできて、必ず、どんなに絵本は楽しく読むものだ、と作家や編集者がわかっている場合でも(中には福音館会長でいらした松居直先生の指導があっても)、

「この絵本はこういうふうにためになる」ということが書いてあるのを見てきました。

 

脳の発達の話には、新しい絵本であとがきを読んだばかりだったので、そうそう!とおもしろく思いました照れ

 

この絵本は、2023年にタイで購入した『どこにいるかな?見つかった?』です。

タイのいろいろな場面、お寺のお祭りや水上マーケット、学校の前などの屋台を描いて、見つけさせる楽しい絵本です。

 

その内容についてこちらのブログに書いています。

 

そして、この絵本の裏表紙です。

 

 

ここで、

 

この絵本は「ひまな時間を、すぐにすぎさる時間に変えてくれる」

「集中することで、子どもたちのIQとEQをもう1段階発達させてくれる」

 

と書いてあります!

そして、医師がこの絵本がいかに有用かをたくさん書いています・・・

 

また「ノンフィクション科学絵本」なども欠けている分野なので、日本や海外からの翻訳が多数入ってきているとのこと。

 

いえいえ、科学絵本だけではありません!

2023年にタイに行った時、紀伊国屋書店系列はもとより、昔からタイで1番絵本をたくさん売っているチュラーロンコン大学ブックショップ教育学部コーナーでも、タイの創作絵本を買いに行ったのに、ずらっと並んでいるハードカバー本は、日本の翻訳絵本ばかりでした。

これには驚きました!びっくりびっくりびっくり

 

 

しかし、サーン・アクソン社はどうして、『はっぱのへんしん』が売れないとわかっていて出版したのでしょうか。

 

それはこの出版社がルンアルン・スクールという学校の傘下にあるという特殊な出版社だからだそうです。

市場競争の必要がないので、教育的指導のない、アーティスティックな絵本を時間をかけて出版できる。

「本でPlayする」

ということをモットーにしているそうです。

教師や親向けのセミナーをしてフィードバックをもらったり、また政府に学習と絵本のかかわりかたについて提言してはたらきかけたりしているそうです。

 

以上で、とにかくメモに走り書きするのでせいいっぱいでしたので、発言を正しくとらえられているかどうか自信はないのですが、私の印象に残った部分をざっと書いていました。

 

このほか、シンガポール、ベトナム、マレーシア、すべて前向きで意欲的な活動の数々をお聞きしました。タイはもともと素地があったので、理解しやすかったので、まとめましたが、他の国については、他の方のご報告やまたの機会を待ちたいと思います。

またこういう機会がぜひあればと思う、充実した時間でした。

 

 

「この表紙の中心にいる女の子ナナは、色が浅黒く、歯もかけています。

とてもタイ的で親近感がもてますが、色が白いことが良しとされるタイでは、

『あまりかわいくない』

と言われるタイプです。

でも、そのメッセージはひそかなもので、書かれてはいません。かわりに勇気や明るさに焦点をあてています」

 

前回ご紹介した、

「国際交流基金とJBBYの共同企画「アジアからの風~東南アジア絵本との出会い~」

 

で、タイの児童出版社サーン・アクソン社編集者Geeさんからうかがったお話第2弾です。

(第1回『小さな小さな通り」についてはこちらです)

 

この『NANA』という絵本は、2024年にタイで10年ぶりにIBBY(国際児童図書評議会)のオナーリストにタイから提出されたものです。

私は持っていて読み、ブログに書いていましたが(こちらです)

でも、お話をうかがってみると、まあなんて浅い読みだったのでしょう!

 

お話は、NANAという山の村の少女が、初めて学校に行く日、お母さんに見送られ、おにいちゃんや友だちのゴリラに助けられ、山をどんどん越えていき、時には木のつるをつかんでたどり、奇妙な動物に助けられ、やっと登校するまでの道のりを描いています。

 

舞台はファンタジーの世界で、タイ的なものは無いと思っていましたが、実はとてもタイの子どもたちに親しみを持たせる「タイ的」なものが描かれていたのです。

 

もう一つのタイ的なものは、ナナやお母さんたちの身なりだそうです。

それはタイの少数山岳民族に似ているので、共感されるようになっているとおっしゃるのです。

それを、どの少数民族かは特定されないように、ファンタジーの世界にしたのだそうです。

 

そして、ここからが全く私の読み取れていなかったことですが・・・

 

どうして学校へ行きたいのか、それは「歯医者さんになりたいから」とナナは言います。

 

そのあとで、おまけのようなページがありました。

私はそれが、ナナの日常を描いたものと思いこんでいました。

熟読したり、さっと読んで見直したりしていなかったからです。

 

でもそれは、ナナでなくて、「ナナのお母さん」の子どものころの姿だったというのです!

 

そういえば、歯がかけている数も多いです。

ナナのお母さんは、子どものころ、たどりにくい道につるを結びつけていました。

それを、ナナが登校するときたどっていたのです!

 

そして、ナナのお母さんは子どものころからお菓子をつくるのがじょうずでした。

そして、岩の下になって傷ついているファンタジーの動物小さい子どものユックユーチウを助け、自分の作ったお菓子を食べさせて介抱します。

そのかたわらには、包帯をまいた子どもゴリラもいます。

きっとそのゴリラも子どもの頃のお母さんが介抱してあげたのでしょう。

 

だから、ゴリラも、巨大になったユックユーチウもナナを助けてくれたという伏線があったのです!

 

実は最初はこの絵本には、このページはなかったのだそうです。

ところがGeeさんは、作者自身から、ナナの登校をどうして助けてくれたのかこう考えている、という話を聴いて、

「それがかんじんなことじゃない!」

と、おどろいて最後のページを描き足して出版したのだそうです。

 

なんとーーー星星星

 

この絵本には、このように、最後の描き足されたページで、実はナナの登校を助けてくれたのは、「母の愛」だったということが明確なメッセージとなったとともに、もうひとつかくれたテーマがあるというのです。

 

このお話にはお母さんが出てきますが、お父さんは出てきません。

つまり、このお話は「ひとり親家庭の問題」がひそかに描かれていたのです。

 

ですから、この絵本を読んだひとり親のお母さんたちから「ありがとう」というフィードバックが多く寄せられたのだそうです。

 

まったく・・・今日のお話を聴きのがしてたら、どうなっていたことでしょう。

とても、タイの絵本を語る資格などないところでした汗うさぎ汗うさぎ汗うさぎ

 

ほんとうにありがとうございます。泣くうさぎ

 

この『ナナ』という絵本をもしごらんになりたい場合は、「世界の子どもの本展 ~国際アンデルセン賞とIBBYオナーリスト2024」という巡回展示におそらく含まれているので、手に取ってごらんになれると思います。

お近くの方はぜひ、ナナという女の子の元気あふれる登校のようすをごらんになってくださいニコニコ

そして1番最後のページも。

ナナが「歯医者さんになりたい」と言ったのは、おそらく村に歯医者さんがいなくて、おかあさんの歯がたくさんかけているからでしょう・・・おねがい

 

 

 

この絵本が展示品にふくまれているかどうかは、ねんのために各主催者に

「タイの絵本はありますか?」とお問い合わせください。

 

2025年の巡回スケジュールはこちらですが、これからまた更新されるかもしれません。

 
近いところでは、太田市美術館で10月4日から19日まで展示されるようです。
 
なお、最初にあげた『NANA』についてのブログはこれから追記訂正いたします。
 

 

 

 

「いなかの道では、小さい生き物たちがよく乗り物にひかれてぺっちゃんこになっているのよ。

でも、今の子どもたちは車に乗って通り過ぎるから、それを見たことがないの。

だからそれを、絵本にしたらどうかしら?」

 

と、作家シリラックさんが企画をもちこんだのは、タイの児童出版社サーン・アクソン社สำนักพิมพ์สานอักษรの編集者、Gee(ジー)さんです。

シリラックさんは、池のそばに住んでいて、植物にもくわしい作家です。

「え、つぶれた小動物たちの絵をのせるの?」

「それはちょっと・・・よくないかも」

しかし、そのアイディアを形にしようと、ジーさんは、「定点観測」の手法を思いつきます。

そして、さまざまな乗り物が最初、頭だけが見えて、子どもたちになんだろうと思わせます。

その乗り物はタイらしいものです。野菜売りのトラックや、アイスクリーム売りのバイクなどです。

テキストは極力少なく。絵に集中してもらうためです。

(これがタイではあまりできないし、みな知らないのです)

そして、道を渡れないカメを最後に救うのは、子どもです。

大人たちが目に止めないカメに子どもだけが気がつくのです。

ヒーローは子どもなのです。

 

これは、先日私が読んでブログにあげたタイの新しい絵本『小さな小さな通り』ができるまでのお話です。

(『小さな小さな通り』の物語のあらすじや作者紹介のブログはこちらをクリックください)

 

こうした貴重なお話を聴けたのが、昨日参加した、国際交流基金とJBBYの共同企画

 

「アジアからの風~東南アジア絵本との出会い~」でした。

 

 

Xのポストで知って、すぐに申し込みましたラブ

その時のお知らせはこちらです

 

参加したのは、シンガポールからCinnamon Art Publishing シナモン・アート出版社の創業者Laura Pehローラ・ペイさん

 

ベトナムの Crabit Kidbooks クラビット・キッドブックス社 編集者 Le The PhuongQuiynh レー・トゥー・フォン・クインさん

 

マレーシアのOdonata Publishing オドナタ出版社 の編集者ウィング・ヤン・ホイさん

 

そしてタイのSaan-aksorn Publishing サーン・アクソン出版社のディレクターで編集者 Kuerkamol(Gee) Niyomクアカモン(ジー)・ニヨムさんです。

 

モデレーターは絵本についてさまざまなご活躍をされている広松由希子さんです。

もともとこのメンバーは、今年のボローニャ絵本展で、JFとJBBY共催で「フォーラム:東南アジアの絵本(広松由希子他)」を催したとき、広松さんがお声をかけた方々だそうです。

そして今回、みなさんが研修で日本に来られ、一般のひともお話を聴ける機会を作ってくださったのでしたおねがい

 

みなさん、働き盛りの女性の方々で、それぞれの絵本に対する見識はとても高くていらして、それを自国に普及するために絵本づくりだけでなく、さまざまな活動をされているお話をしてくだいました。

照れ

 

それがとてもおもしろく、しかもタイのお話は、私もタイの絵本を調べるうちに心あたりのあることが多く、証明された気持ちでした。

またすでに読んでいた『小さな小さな通り』や『ナナ』について、隠れたテーマや本作りについてうかがえて、理解が深まり、視野が広がりました。

 

ということで、無料のイベントでしたので、報告をかねて、何回かにわけて、ブログに書いていきますねニコニコ

よく知っているタイのことが中心になりますが、随時ほかの国のみなさまのお話も入れていきます。

それぞれ3冊ずつ絵本を持ってきてくださいましたが、ほかの国の絵本もおどろくような作品ばかりでした!

 

そして・・・うれしかったのは、たくさんのサーン・アクソン社の絵本を展示に持ってきてくださっていたことです。

 

 

『ローニン』2025年タイ良書賞3-5才部門の最優秀賞作品です(ブログはこちら)。

 

このまんなかにある、鬼の顔のような絵本は『バーバー』。

その下に『小さな小さな通り』もありますね。

 

 

そして『ともだちのうちにいくのはほんとうにたのしいな』

 

2020年タイ良書賞3-5才部門の最優秀賞作品です(ブログはこちら)

 

この3冊、私前から読みたいなと思っていたのです。

そして今回、本文は全部読めました!星星星

うれしいです~ラブラブ

なお、『ともだちのうちにいくのはほんとうにたのしいな』はチェンマイが舞台だそうですよ。

だから、チェンマイふうの夕食風景やたくさんのゾウさんたちが出てくるそうです。

 

このトークイベントですが、参加者はみなさん英語で話され、それを2人体制で同時、逐次通訳されましたが、ほんとうにたいへんだったと思います!ありがとうございました。

 

サーン・アクソン社のホームページはこちらです。

 

つづく

 

2025年にサーン・アクソン社から出版されたタイの絵本

 

『小さな小さな通り』

 

前記事『韓国へ行くタイの絵本』(こちらです)で、ソウルIBBYアジア大会でディスプレイに受け入れられた5冊の絵本の一冊です。

 

この絵本も、『塩の話』(こちらです)といっしょに、タイ絵本仲間でブログ「今日も一歩の足あと」のらくちゃんさんが、今年4月のタイブックフェアに行かれた時購入されたものを貸してくださったのです。それを訳させていただいて、らくちゃんにはお送りして、私のブログで紹介させていただくお許しをいただきました。

今回もありがとうございます!お願い

 

お話じたいは小さい子どもでもわかりますし、絵もとてもいいものです。

そしてあとがきに、高学年でも学べる小動物が道を渡るときどのような事故にあいやすいかが書かれています。

さらに大人向けに、前書き(謝辞)と、あとがき「おとうさんとおかあさんへのお話」があり、その内容は「家」はあたたかく休息や避難できる場所であり、人にとって家を得るのは生涯の目的である、そしてそれは地球上のどの生き物にとっても同じだ、ということが書いてあります。

ということで、こちらも訳すのに思ったより時間がかかり、お借りしてよかったですニコニコ

本文だけならその場でも読めますが、タイの絵本について情報を得たり研究するためには、この前書きとあとがきがキモになるんですよね。ニヤリ

 

登場する生き物は、細い道を渡ろうとする、カエル、ヒキガエル、田カメ、シロハラクイナ、ミズオオトカゲです。

 

村の奥の小さな小さな通りを渡ろうとするのですが、この通りにもけっこう乗り物が通るのです。

これ・・・日本の私の夫の実家もそうです。

まわりは舗装されたあぜ道なんですが、ここがのどかどころか、耕運機から自家用車まで車が通る、通る。

歩道がないぶん、かえってひやっとすることがあります汗うさぎ

 

この村の通りを行くのは、野菜かごを乗せたバイク、アイスクリーム売りのバイク(タイに住んでいた人には郷愁さえ感じる、バイクの横にアイスクリームボックスがついていて、のんきな?電子音のテーマソングとともに通ります)、ショベルカー、野菜を積んだバン。

 

カメさんだけは、足が遅いので、いつも乗り物が通ると手足をひっこめて道のまんなかで「石」になってしまって、なかなか渡れません。ガーン

友だちがひかれてしまうのではと心配して見守っていると、最後のバンから、男の子が降りてきて、カメを抱きあげて、道を渡してくれました。照れ

 

生き物たちがぶじに着いたのは蓮の花咲き、蒲の穂がゆれる美しい池でした。

そうです、そこがみんなの家だったのです。

自転車にのった三人組の人間の家族もそれを見ています。

 

というところで終わります。

 

そして、次にそれぞれの動物からふき出しが出て、登場する生き物たちがどのような事故にあいやすいか書かれています。

 

タイ沼ファンならみんな大好きミズオオトカゲ。バンコクではルンピニー公園に行くとたくさん見られます。

体は大きいのですが、自動車のブレーキがまにあわないと、しっぽが切り落とされてしまうそうです。

 

田カメは、甲羅があるから、ひかれてもだいじょうぶかと思うかもしれないけれど、実は甲羅は背骨の一部なので、損傷すると内臓まで傷ついてしまうとか。

田カメを見つけたら、そっと抱き上げて道を渡るのを助けてほしい、そのとき頭がどちらを向いているのか観察すると、カメの行きたい方角がわかる、と書いてあります

 

なお、この本に出てくる田カメとシロハラクイナは、2019年の野生動物保護法で保護されている野生動物だそうです。

 

作者は、文がシリラック・プッタコート

タイの薬草サムン・プライの研究をして、庭でも育てているそうです。

学校の先生から転身してサーン・アクソン社と仕事をしているそう。

サーン・アクソン社からは、「いのちを伝える総合教材」シリーズなどの本も多数出しているそうです。

 

クォリティの高い絵を描いたのはポンポート・ロートクロ。

シーナカリンウィロート大学卒業後、アメリカに留学し、3Dアニメーターを経て、ストーリーボードアーティストおよびイラストレーターの仕事をしているそうです。

 

また前書きの謝辞を書いているのは、Sueb Nakhasathien(スーブ・ナーカサティアン財団)という財団の取締役で、この財団はタイの自然保護の象徴的存在であるスーブ・ナーカサティアンの遺志を継ぐ目的で設立されたそうです。

財団のミッションは、広大な森林や自然環境、野生動物を保護しつつ、生物多様性維持のために活動を推進することだそうです。

公式サイトはこちらです。

 

美しいかわいらしい絵本のようですが、その中にはたくさんの自然保護と共生への思いと情報がこめられているのですねニコニコ

 

(追記)この絵本について、9月17日「アジアからの風~東南アジアとの絵本の出会い」というイベントで、来日されたサーン・アクソン社でのこの絵本の編集者の方から、この絵本ができるまでのお話を聴けました。ブログのこちらに書いてあります。あわせてどうぞニコニコ