TODAY'S
 
(年金生活の現実)読めば老後が不安になる話

 

こんにちは、生チョコぽん酢です。

民間救急・介護タクシーの仕事をしていると、毎日毎日、本当に色々なことがあります。

これはつい先日の出来事なのですが。

とあるA病院からB病院にストレッチャーで転院搬送のご依頼がきました。

9時30分に出発してB病院には10時30分に到着して欲しいという、何の変哲もない内容です。

概算は1万3千円と提出して仕事を引き受けました。

当日私は定刻に間に合うようにA病院に向かっている最中に、A病院のSWから電話が鳴ります。

SW「今日の〇さんなのですが、急遽家族が来れなくなりまして・・・

とのことで、何やら今朝怪我をされた?という理由から息子さんがA病院に来れなくなり、

ひとまず患者本人だけ乗せて出発、その後B病院に行く前に自宅で息子さんを拾って欲しい、

という内容に急遽変更となりまして。

幸い当日のスケジュールは調整の余地があったので快く変更を引き受け、定刻の5分前にA病院の病棟に着きます。

しかし急遽家族が来れなくなったという事もあり、手続きやら準備に余計な時間がかかってしまい、結局定刻の50分遅れで出発することになりました。

しかも息子さんの家がかなり遠いのですよ・・・。

B病院に遅刻の連絡をしたくとも、この時点で状況が複雑すぎて説明しようがないし(説明したところで相手が理解できない)、

具体的に何分くらい遅れるかの目途も全く立ちませんので、連絡を断念します。

ご本人だけ乗せて出発した後、ひとまず息子さんに電話をしてみることにしたのですね。

私「民間救急〇〇の生チョコと申しますが

今出発したところなので、あと50分ほどでそちらに行けると思います

ところで、怪我をされたとのことですが、歩くことはできますか?外には出てこれるのですか?

これはどういうことかというと、介護タクシーだから歩行困難者でも乗せられるだろと考えている場合は困るからです。

既にストレッチャーを乗せている状態で、更に車椅子を乗せるのは難しいし、現場であたふたしない為にも状況の把握をしなければいけません。

私は不安を抱えながら電話しました。

息子「全然大丈夫ですよ!

??

この回答に、逆に元々持っていた違和感が更に増幅します。

息子「ところで今日はいくらかかりますか?

私「概算では13000円程と言いましたが、既に50分遅れで更に遠回りもしますので、もう1万円くらいはかかると思います

息子「それなら後払いでもいいですか?

???

違和感に加えて大きな不安が生まれます。

これ、支払で揉めるパターンかな?と。

私「後払いっていつ頃ですか?

息子「年金支給日なので来月の中頃です

なんと3週間後に支払わせてくれと。

ここまで空くと本当に支払ってもらえるのかも怪しいし、そもそも後払いの対応は原則出来ないので、

丁重にお断りするのですが、息子さんはそれだと困るの一点張り。

全くお金がないというのです。

でもこれから向かう先も病院です。

一時金の支払や、A病院への支払だってあります。

手持ちゼロ円で1回の年金支給だけで全てを賄いきれるとも思えません。

場合によっては優先順位をつけられて、私への支払を後回しにされるリスクもあるどころか、

実はお金があるけれど渋っているだけの可能性すら残っており、トラブルの臭いがプンプンしてきます。

雲行きが一気に怪しくなりました。

でも乗せてしまった時点でもうどうすることもできず、とりあえず依頼通りに息子さんの家への迂回ルートを進みます。

やべぇ

そわそわしながらも、息子さんの自宅に着きました。

電話をして息子さんが出てこられたのですが、朝っぱらから酒とタバコ臭く、よれよれのジャージ姿の男性だったわけですが・・・

でも見た目とは裏腹に、中身はとても誠実そうな人なのですよ。

なんて言えばいいのか、凄く真面目に生きてきた人がちょっと疲れちゃっている感じ?

実際にお会いして少し安心します。

その後B病院に向かう間、コミュニケーションを取ったのですが、まず最初に分かったのは本当にお金が無いということ。

そして、自分勝手な理由でいちゃもんつけて支払わないタイプの人では無かったということ。

この2点がすぐにわかり私はすっかり安心しました。

そして会話の中で厳しい現実が見えてきます。

お母さん(患者さん)とは別々で暮らしているのですが、かなり危険な状態で発見され、一命をとりとめたとのことで、

私は深く考えずに「無事回復されて良かったですね」と言ったのですが、その返答がとても印象的でした。


息子さん「はい。(間の後、小声で) 正直複雑ですけどね。」


この一言で全てが繋がりました。

要するに息子さん的には、お母さんにはそのまま逝って欲しかったということ。

お母さんはもう90、自宅で倒れて、本当に危ないところで(多分あと数分遅かったら亡くなっていた状況)、偶然発見されて、救急車を呼ばれてしまったのですね。

病院からの情報と照らし合わせても、本当に奇跡の生還だったのです。

しかしそれは都合の良い側面を見ているだけ。

もう片方の側面から見てみますと、

救急車を呼ばれた時点で、そのままガチな救急病院に搬送され、一命をとりとめた時点ですぐに転院しなければいけません。

息子さんからすると、救急車を呼ばれた段階で、A病院の代金、B病院の代金、私への搬送代金に加え、

自宅の後始末、退居費用、退院後の入所先等、一気に、そして無条件に、自動的に、圧し掛かってきたわけです。

これはしんどい。

そしてお母さんも、お金が一切ないと言っても、ちゃらんぽらんな人には見えなくて、むしろ奥ゆかしい控えめな女性なのですよ。

逆に贅沢せず、節度のある暮らしをしてきたからこそ、この歳まで何事もなくやってこれたのでしょう。

私は思うのです。

例え退職時に貯金が500万円あったとしても、ただでさえ少ない年金は、近年かなりの減少傾向にあるのですね。
 
この時のお母さん曰く1万円減っていると言っていました。

年金受給者からすると、勝手に減っていく構図です。

だから今まで収支が±ゼロくらいでギリギリ生活できていた人だと、

貯金を切り崩していくタイムリミット付の生活になってしまうわけですよ。

少しずつ(例えば毎月2万円)切り崩して生活していても、20年も経てば500万円の貯金も空っぽになってしまいます。

その後はもうどうにもならないのです。

だから息子さんは自分の生活費などを充てて、お母さんの生活の支援をしていたのかもしれません。

つまり、朝A病院に来れなかったのは、本当にお金がなくて電車賃も出せなかったからなのでしょう。

でもそのせいで、私への支払が1万円も高くなるのだから本末転倒ではあるのですが、それだけ切羽詰まった状況ということで。

本当に複雑な気持ちになりました。

正直、来月支払われなくても、督促はしないかなって気持ちにすらなっています。

 

  年金の現実的な問題

 

年金は、政府が2019年に行った推計では、30年経てば少なくとも更に2割は減るそうなのです。
 
現時点でも水面下では、生活困窮者が自動的に作り出されてしまう社会システムになり果てていますから、

我々が年金を貰う年齢になった頃には、もう社会システムはどう都合よく考えたところで、破綻していると思うのです。

なぜなら、国民年金だけに加入されていた方はほぼ全員生活が出来なくなると思うから。

俺は厚生年金にも入ってるから関係ないかな」という話ではないのですよ。

ここに厚労省の令和3年度年金事業概況が公開されているのですが、
 
年金被保険者約6700万人の内、
 
厚生年金を除く国民年金だけの第一号被保険者は約1400万人、
 
厚生年金被保険者の配偶者である第三号被保険者は約760万人です。

つまり、国民年金だけに頼る被保険者は2100万人を超えており、これらの人々が年金を貰う頃には、

現時点でもかなり減った年金から、更に少ない金額になるわけで、そもそも生活なんてしていけるわけがないですよね?
 
というか、国民年金を滞納している人すら相当数います。

今なら生活保護を受給した方が得するじゃんみたいな概念は一部でありますが、
 
もうこの頃には厚生年金も含めた社会保障制度そのものが、根幹から崩壊していてもおかしくないのです。


恐らくこれから政府やメディアは口をそろえて

元々年金だけで生活する制度ではない」の様な事を言い始めるかと思いますが、

人間なんて老いれば認知力・精神力・体力の脳・心・体は例外なく衰えてきますから、まともにできる仕事なんて限られてきます。

何と言いますか、大丈夫なのでしょうか?

というか、大丈夫なわけがないのですよ。

その頃の世界のインフレ率も加味すると、日本は既に国家として破綻しているのかもしれません。

今は何事もなく生活できていますが、導火線に火がついている状態なのかなと、私には思えてしまうのでした。
 
本当に、厳しい時代となりました。
 

 

おわり
 

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